なぜ?歯医者の治療が短い理由!!(一般の方向け)

 はじめまして、こんにちは。歯科医師のマキアートと申します。歯科医師になり早くも10年近くが経とうとしています。(早いものである)
 
 さて、知人によく歯科治療が短く、何度も来院する必要が本当にあるのか??と聞かれることがあり、今回筆を取る決意を固めた次第です。(定期的に歯科的な話を投稿させて頂こうと思いますので、気楽に読みに来て頂けますと幸いです。)

 はじめに「なぜ?歯医者の治療が短い理由!!」を説明する前に、保険治療と自費治療に関して説明をしていこうと思います。一般の方向けにざっくりとお伝えする形になるので、専門の方がご覧になった時はツッコミどころが満載かもしれないですが、ご理解いただければと思います。

 保険治療とは、、、「国が認めた安全な最低限の治療」この一言になります。
例えば「白いプラスティックの樹脂詰めますね〜」や「銀歯の詰め物をしますね〜」と言った具合である。最近では、白い樹脂の詰め物もできるようになり、見た目も白くできる、夢のような治療を、保険ができるようになってきました。

(最近では、詰め物をしたかわからないほど、白い樹脂を使った保険治療ができるようになりました。)

 ただ、最低限の治療になるので、そこに美しさや、痛みが出ないように丁寧にすることは含まれていません。極論、適当に治療しても保険治療的には問題ないのです。

 また自費治療とは、、、「その歯医者さんができる最高の治療」この一言になります。自費治療に関しては、「高額な治療!」や「歯医者さんが儲けたいだけ!」と思われがちですが、そんなことはありません。しっかりと時間をかけて丁寧に治療が行われていれば、結果的に長持ちする歯を獲得することができます。

 僕の勤めている歯科医院のスタッフも、金歯で治療をしているおかげで、25年歯が欠けない状態でキープされていたので、決して悪い治療ではないと思います。

 さて、また保険治療の方に話を戻しますが、この保険治療が歯科治療の時間を短くする元凶にもなっています。それは「どんな治療を行っても、同じ金額しか請求できない」という点です。(患者さんからしたら、痛みがなかったのに検診で虫歯と言われて治療となった際に、安い金額で済むのはありがたいですよね)

 これを料理で例えて説明すると、読者さんが一生懸命お客さんにご飯を作っています。作る料理を凄くこだわり、食材を調達し原材料が1万円を超え、料理する時間が1時間を超えてしまったとします。
 
 けれども、国からは「そんなにこだわっても料金は変わらないから2000円ね。」と決められているため、500円の材料で5分で作る料理ともらえるお金は同じになってしまう。それが「保険治療」なのです!!
 
 そんなの、ゆっくり丁寧に治療をすればするほど経営難になってしまいます。また、場合によっては、原材料の方が高くついてしまうこともしばしば・・・それなら安い原材料で高くお金をもらったほうがお得ですよね。

こだわって作ったラーメンとカップラーメンの値段は一緒のイメージ

 例え話が分かりにくかったかもしれないので、補足で別の話をします。昭和時代に喫茶店で飲むコーヒーは1杯100円程度でした。ですが令和になり、喫茶店で飲むコーヒーが1杯500円と言われたら『まぁ大体そのくらいかな?』と感じると思います。

 コーヒーの物価は5倍になっていますが、歯科治療の料金は昭和時代からほとんど変わっていません。

 下図ABの黄色いところが歯科関係です。歯科に掛かっている医療費(つまり、日本の歯医者さんが請求している医療費の全額)がほとんど変わっていないことがわかります。

平成 21 年度厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業研究事業) 「歯科疾患等の需要予測および患者等の需要に基づく適正な歯科医師数に関する研究」より引用

  逆に、医科の医療費は年々上昇傾向になっています。(医科の先生方を敵対視していません!)数年に一回保険点数の改定(料金の変更)があるのですが、歯科関係はほとんど点数が変わらない状態で、毎年終了しています。 

 話を戻しますが、なんで歯科医院はそれで経営していけるの?と思うかもしれません。長い時間で治療をすればするほど経営難に繋がりますし、もし急なキャンセルになったらその間の収入はなしになってしまいますので、より痛手になってしまいます。

 そのため「短い時間で少しずつ治療をする」しかお金が稼げないことになってしまいます。(僕も患者さんとゆっくりお話しをして、一つひとつ丁寧に仕事をしていきたいのが本心ではあります。)
 
 あまり言いたくないのですが、患者さんによっては「保険治療だからいつでも来れる」と、気分で予約を変更する方もおられます。そういった方が多いと、保険治療の取れる時間も短くなってしまいますし、麻酔して削って埋めての行程を30分で予定していたのに、10分遅刻されてしまうと治療する時間がさらに短く、治療も雑になる原因にもなります。それが、歯科医院が短い時間で少しずつ治療する原因になっています。

illustACより引用

 今回はこれで以上になります。色々とわかりにく部分もあったかと思います。また次回は、別の内容で歯科治療や保険・自費治療に関して説明をして、皆さんの知識習得のお手伝いができればと思います。


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