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自由に水が飲みたいって言えない

脱水は、夏だけではありません。
冬ももちろん脱水になります。
その理由は寒いから飲むとトイレに行きたくなるから飲み控えする、
暖房の効いた部屋にずっといる(乾燥してくる)
また身体が思うように自由に動けなくて台所にまで行くのが面倒、など。
様々な理由で冬も水分が足らずに脱水になる方が居ます。
認知症のある方は特に、です。
まず口渇感を感じてもすぐさま行動に移せない、喉が渇いたと表現すらできない、喉が渇いてもどこに飲み物があるのか分からない。冷蔵庫にたくさんのミネラルウォーターがあったとしても。冷蔵庫に入っている状態では扉が閉まっている以上、分かりません。扉を開けさえすればそこにあることは分かっても開けると言う動作さえ出来ない。

分からないってすぐ側に置いてありますよ、ほらベッドサイドにストロー刺してあるでしょう、と言ってもご本人の目線の中に肝心のコップが入っていない。
その状態で「あの方は水分を勧めても全然飲みません。」と言うスタッフ。
でも、デイサービスで出されたコップに入っている水分はしっかり飲まれる。むしろグビグビ飲む。飲まれた後、とても満足そうな顔をされていたと。
失語がある方だと余計かもしれません。
脱水が起こっているのかは、排尿量や皮膚の状態、実際の水分摂取量や脈拍からわかることが多いですがそうなる前に、ちょこちょこ飲んでいただきたいですね。
何かのついでに一口二口飲んでいただく。もちろん、心不全の患者さんや透析をされている患者さんでは摂取量に制限がある場合もあるので気をつけなければいけませんが。
脱水の状態が続くと、大体尿路感染症になって発熱します。
発熱して身体がだるいところに、点滴で繋がれる時間ができ、認知症のある方にとっては不快極まりない状況です。
出来れば、そのような状態は回避したいところですね。

逆に。
今まで在宅で生活していて、施設入所となった患者さん。
水分摂取を励行している施設であると普段カラカラの状態なりに長年身体が適応していたところに、水分が沢山毎日入ることで軽い心不全を起こしている方もみえます。
量には適正があるので、その方の今までの水分摂取量はチェックできたらしておいた方が良さそうです。

認知症のある方は、自由に自分から「これしたい」「あれしてほしい」が言えない状態です。うまく表出できないというか。
こちらが表情や日常生活行動を見て予測して行くことも、認知症のある方を看ていく楽しみの一つであると私は思います。

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