犬のかたちをしているもの

同棲している彼がドトールでわたしに会わせたのは、彼の子どもを妊娠したミナシロさん。
卵巣の病気を抱えたわたしと彼とに、生まれた子供を育ててほしいという話が持ち込まれる。
わたしは彼とは子どもをつくるような交渉はない。
そんなわたしを好きだという彼は、どうやらこの話に乗る気。

そんな状況のわたしが、困惑してじたばたしていく姿が描かれている小説。
田舎育ちで東京に出てきた才女の中には、そんな人もいるかもねえと感じさせられた。

状況があまりにレアなので読み進めたが、結末はやっぱりねというもの。

女性の病気の真実をあけすけに語ることについてはなんかなあと思った。もちろん知りたいけど、文章にするのははしたない気がする。例えばYouTubeで、この小説の内容の生々しくグロい動画をアップされたとしたら、見たくないなあと思う。
でも、世の中にたくさんいる知りたがり屋さんたちは見ちゃうんだろうな。
数字は上がっていくんだろうなという感じ。

受賞する小説ってこういう新しさが必要なのかなと思った。

今どきの小説を読んだぞという満足感と、友だちには勧めないな、2回に手に取ることはないな、というのが素直な感想。

高瀬隼子作 集英社 第43回すばる文学賞受賞作

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