【般若を木村昴が語る】「『フリースタイルダンジョン』初代ラスボス・般若 その圧倒的に独自な世界と衝撃の出会いについて! 」【HIPHOP HOORAY VOL.6 ヤングジャンプ公式】
『ヒプノシスマイク』でも活躍の、声優界イチのガチなヘッズ・木村昴の日本語RAP連載!
日本のHIPHOPの代表選手であり孤高の存在でもある般若についての前半戦!!
木村 昴 きむら すばる:1990年6月29日生まれ。ドイツ出身。『ドラえもん』ジャイアン/剛田武役、『輪るピングドラム』高倉冠葉役等を担当。『ヒプノシスマイク』ではイケブクロ・ ディビジョン代表Buster Bros!!!を率いる山田一郎役。天才劇団バカバッカを主宰。ラッパーとしても『フリースタイルダンジョン』にも出演していたラッパー・掌幻と“掌幻と昴”として活動中。
※本記事は週刊ヤングジャンプ2020年25号に掲載された内容をnote用に一部改変して収録しました。
『フリースタイルダンジョン』初代ラスボス・般若
その圧倒的に独自な世界と衝撃の出会いについて!
今回は僕がナレーションをさせて頂いている『フリースタイルダンジョン』でも初代ラスボスを務められていた、ラッパーの般若さんについてお話ししたいと思います。
僕が最初に般若さんのラップに出会ったのは、ZEEBRAさんの『GOLDEN MIC(REMIX) feat.KASHI DA HANDSOME、AI、童子-T、般若』。
『GOLDEN MIC(REMIX)feat.KASHI DA HANDSOME,A1,童子-T, 般若』:
2003年リリースのZEEBRAのアルバム『TOKYO'S FINEST』収録曲
その印象はとにかく“独特”でしたね。そこから般若さんのソロアルバム『おはよう日本』を聴き、もう完全にノックアウトされました。
『おはよう日本』:2004年発売。ソロアーティストとしての般若のファーストアルバム
ラップのスタイル、声質、言い回し、スタンス……どれをとっても独自で独特! オリジナリティの塊だなって。セカンドアルバムに入ってる『やっちゃった』という曲とか、強烈な歌詞と物語、ラップのうまさ……どれも一級品なのに、『みんなのうた』みたいなノリでラップしちゃうキャッチーさもスゴく衝撃的で。そういうギャップが魅力的な人だと思いましたね。
般若さんの曲を聴いて感じたのは、熱くて、ストイックな人なんだろうな、ということで。それこそ般若さんが尊敬して、兄貴と呼んでいる長渕剛さんのような人を想像しました。一方でソロになる前は妄走族というグループを組まれていて。
妄走族:1998年に東京・三軒茶屋近辺で結成。2000年にアルバムデビューした東京ストリートシーンの伝説的グループ
——渋谷を中心に活動した、かなり“やんちゃ”なグループでしたね。
でも般若さんの曲からは、タフさやハードさは感じるけど、恐怖は覚えないんですよね。それは般若さんが高校生の頃、女性ラッパーのRUMIさん、DJ BAKUさんと般若というグループを組んでたのを知って、こんなに泥臭い人が、女性とタッグを組めるってことは、やっぱり優しさが根底にあるんだろうな、って
“般若”というグループ:もともと“般若”という名前は、彼が妄走族以前にRUMIとDJ BAKUと組んでいたグループの名前だった。
——般若さんの優しさは曲はもちろん、『ダンジョン』でのR-指定さんとのラスボス継承バトルなどからも感じられますね。
般若さんは超一流のラッパーであり、MCバトルに関しても『UMB』という日本最高峰の大会で優勝経験があって(2008年)、その優勝を期にMCバトルは引退してたんですが、『ダンジョン』が始まる時にラスボスとしてバトルに復帰されて。
UMB:2005年より始まったフリースタイルバトルのトーナメントイベント・ULTIMATE MC BATTLEの略。他の優勝経験者はR-指定、DOTAMAら
だから『ダンジョン』という新しいムーブメントが始まる時に、そこに敢えてチャレンジするという姿勢には、本当に感動しましたね
——実際に会ったことは?
アニメ『DEVILMAN crybaby』の収録ですね。それまでライヴで客席から拝見したことはあったんですが、同じ現場に立ったのは、その収録が初めて。やっぱりめちゃくちゃ緊張しましたね
『DEVILMAN crybaby』:永井豪の『デビルマン』を原作に、2018年にNetflixより配信されたアニメーション作品。ラップが大きくフィーチャーされていてバトルの場面も。般若はバボ役、木村昴はガビ役で出演
——般若さんは人見知りでシャイな方でもありますからね。
緊張してたら、急にスタジオで腕立て伏せ始めたんですよ、般若さん! 今まで収録でそんな人に会ったことないから、余計にパニックになりましたよ。“これは……俺が何かやらかしたら、ぶん殴るためにパンプアップしてるのかな……”って(笑)
——乱暴者すぎるでしょ(笑)!
でもそのとき、僕は自分の収録が幸いメチャクチャ調子良くて、一発OKだったんですね。そしたら、後ろから般若さんがボソッと“すげえ”って。それがもうとにかく嬉しかった!! しかも後日読んだインタビューで、般若さんが“木村くんには今度バスローブを贈ろうと思う”っておっしゃってくれてて!
バスローブ:『フリースタイルダンジョン』出演時の般若の扮装を連想させる
——褒め方が独特すぎますね(笑)。
そうなんですよ! そういう、一瞬考えさせるような表現が、般若さんの魅力だと思うんですよね。良かったよ! とか直接的に言うんじゃなくて、色んな捉え方を含んだ表現をされる方だし、それがラップのダブル・ミーニングだったり、複雑なリリックにつながってるのかなって。僕も言葉遊びにシビれるタイプなんで、特にそういった部分に影響を受けましたね。
後編ではそんな般若さんの歌詞の解説をさせて頂きます!
#StayHome推奨曲 『インダハウス』Youtube公開中。
ファンサイト「来れたら来て」(https://hannyaofficial.fensi.plus/)更新中。
撮影◎門嶋淳矢
取材・文◎高木“JET”晋一郎
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