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映画「アーヤと魔女」:子供のころの魔法の世界のお話。

「ハウルの動く城」のダイアナ・ウィン・ジョーンズの最後の物語を、スタジオジブリが映画化!企画は宮崎駿氏、監督は宮崎吾朗氏。

1、まずはあらすじ。

10歳のアーヤは孤児院暮らし。しおらしく・・なんて、とんでもない。
人を思い通りに操る天才のアーヤは孤児院の暮らしを満喫していた。
けれどある日、怪しげな魔女に引き取られることに!
下働きにこきつかわれて、でも一向に魔法は教えてもらえない。
不満をつのらせるアーヤに、使い魔の猫が、魔法を教えようと話しかける・・・

といったところでしょうか。

2、この映画、やたら評判悪いんだよねぇ。

ネットで探してみると、悪い評価が多いんだよね。

まあ、確かに。

その設定、そのシーン、要るの?という、話のあらが多い。

地下の車を見つけるのに、わざわざ汚い神殿を通らせる意味はなかったし、
(その汚い神殿は、まったく話に関係なかった)

お母さんを襲った、12人の魔女とやらも全く話に出てこない。
(これはストーリー・メイキングとしては、致命的にマズいのでは。)

そうなると、バンドの設定も要るのかなぁ、という気すらしてくる。
(12人の魔女に襲われるだけの、理由として薄いような。)

あと、話の盛り上がりがない、という意見も多いね。

結局ずっと、魔女の家の中でこきつかわれてて、
それが改善していく、だけのお話だから。

うん、だけどさ。

3、みるみる状況が良くなってくのは気持ちがいい。

いやー、相手は性格悪い魔女なのですよ。
あと、得体のしれない、悪魔?と。

主人公が、従来の純粋無垢なジブリ・ヒロインでないことに
不満をかんじる意見もあったけど、

まかろんは結構、楽しめました。

あの性格悪い相手とやりあうには、これくらいの
ふてぶてしさは必要だって、ね。

大人のキャラだと嫌味に見えたかもしれませんが、
10歳の女の子が、大人命令や脅し次々打ち返していく様は、
結構、小気味よくて、リズムもいい。

まかろんは観てて、いけいけー、やっちまえー、って気分でした😄

4、魔法の空気が、楽しいっ。

盛り上がりがない、という人は
スターウォーズ並みの大ドラマとかが頭にあるのでしょう。

いや、それは当然のことだけど。

でも、消えるドア、魔法で隠れた空間、使い魔。
食卓の魔法、作業室の細かな描写。

どれも、身近だからこその、不思議な感覚が楽しかったです。

大魔法合戦だけが魔法じゃない。

降る雨のなかで、道端の花を見るのも魔法だし、
蝉がシャワシャワ鳴くなかで、かき氷アイスをかじるのも魔法だし、

ひろったどんぐりとか
古いおもちゃ箱で見つけたオルゴールとか、

そういう感じが、ぎゅっと詰まった映画だと思いました。

5、子供になった気分で、スキップして帰りたくなる。

観終わったとき、まかろんの頭には
松任谷由実さんの「やさしさに包まれたなら」が流れていました。

そう、ジブリの誇る「魔女の宅急便」の、EDテーマの曲です。

小さい頃は 神様がいて
不思議に夢を 叶えてくれた


アーヤの映画では、やたらとあやつる、あやつると言ってますが、
そして確かにアーヤは健気な我慢の “良い子” じゃないけど。

やられっぱなしは、お断り!

やって欲しいことは、きちんと言う!

ダメなら、そうなるように考える!
そして行動する!


アーヤは、何もしないで人を動かすだけのキャラじゃないです。

ガンガン、行動する。

子供らしく、ね。

普通はそういう、もともと持ってた
嫌と言う力、考える力、行動力は、だんだん、抑え込まれて失っていく。

身の程を超えないよう、みんなで大人しくするよう、教えられる。


でも。

今、日本は幸せな国でしょうか。

民度が高いと言われて、確かにみんなルールに従順で
大きな暴動も起こさないし、
電車やサービスは分単位、ミリ単位で提供されるけど。

ものすごく小さな枠しか与えられなくて
どこにも何にも出口が見えなくて。

ただ互いの出方を見張って、
なんの責任も負わないでいいように、何もしない、できない。

そんな社会になってはいないでしょうか。

ウチらはホントは、そんなじゃなかった。


アーヤのNO!で、動きで、

世界がみるみる、変わっていく。


もっと、NOと言っていいんだ。

もっと、これやりたい、って動いていい。

もっと、画策しちゃっていい。


イジ悪してきたヤツにお返ししたら
大声で笑ってイイ


そうして、大きく世界に、こんにちは!と飛びこんでいこう。


今、日本に、ウチらに必要なのは
こーゆー、明るいふてぶてしさなのではないでしょうか。


子供になった気分で、スキップして帰りたくなる、
そういう、映画だと思いました。

6、まー、いろいろ粗さはあるけどさ。

とにかく、アーヤをわざわざ孤児院に預けなきゃいけないほどの、
12人の魔女との抗争、とやらをきちんと設定しとかないのは、

致命的に、マズイ。

お母さんが何しでかして、
魔女たちはどーゆー罰則を与えようとしていて、

それは何故そんなに悪いことなのか。

できればそれは魔法使い社会特有の、何か
魔法的な力場に障りがあるから、とか、そんなのがイイ。

なんかバンドでトラブって、
なーんてちらっと言ってたけど、いやぁ、理由として弱いっすよ。


原作者のダイアナさんは書き上げる前に亡くなったとのことで、
そういう設定が原作に書かれてないのかもしれない。

だけど、そこはこちらで補完してもいいでしょうか、って
原作者側と交渉できなかったのかな。


すんごい設定ぶちかませるクリエーター、
ぜったい山ほどいるよ、日本にだって、さ。


あとねー、序盤で「お陀仏」とか言ってたけど

英国を舞台にしておいて、仏教用語は止めろや、と思うんだけどねぇ。

物語作るとき、当時の服装とか小物とか習慣とか、
必死に時代考証するでしょ?

それと一緒でさぁ。


お母さんの追われてる理由が穴だらけといい、
そーゆー、甘さ、というか、子供向けだからこの程度でいい、っての?

ディズニーは、そんなこと、絶対考えないと思うんだけど。


7、というわけで。

というわけで、TVとかでタダで観るなら
きっと貴方も幸せを感じる作品だと思う。

まかろんは映画ファーストデイで1200円で観られたので、
これまた幸せに帰りました。

レンタルDVDでも良いかもしれない。

また観たいな、と思う。

参考になったかな?


じゃーねっ、アーヤみたいに生きようぜっ。👋


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