見出し画像

【ネタバレ・辛口注意!】映画「竜とそばかすの姫」:俺TUEEEE!!の女の子版かな、って。

「時をかける少女」「未来のミライ」など、数々の賞にも輝く細田 守 監督が送る、仮想世界冒険アニメーション!

1、まずはあらすじ

画像1

幼い頃に、母を亡くした17歳の女子高校生、すず。かつて幼いながらも音楽が大好きだったすずは、そのトラウマから歌が歌えなくなっていた。「なぜ母さんはわたしを置いていったの」「なぜわたしは独りなの」「なぜ」「なぜ」・・

そんなすずに、友人からインターネット仮想世界<U>への招待状が送られる。
<U>で違う姿を得て、歌いはじめるすず。瞬く間に、世界1億人以上のファンを持つ歌姫に。しかし初の巨大コンサートは、乱入してきた“竜”にめちゃくちゃに。

世界中で湧きおこる、“竜”への「正体探し」排除の渦のなか、すずは“竜”を救いたいと願うようになる・・「あなたは、誰?」

といったところでしょうか。

2、いや、けどさぁ・・50億人世界の大歌姫ってわりには視野がちっぽけだね

いや、この作品好きな人、ごめんなさい。
まかろんも(あとで書くけど)、好きです。

だけど50億人世界で1億人以上のファンをもつ、
<U>世界で1番の歌姫!とかゆーなら、

そんなにおどおど、わたし何にもできないですー、なんて
ちまっこい精神じゃ、そんな立場になれないって。
(と思うけど、そういう人会ったことないから、まかろんの想像だけどさ)


音楽に対してピュアなんですー、って言ったって、
少なくともそれだけの立場の者が作品を発表します、
コンサートやります、って言ったら。

世界レベルの技術者が結集するはずだよ。

そーゆー人たちと、意見をやりとりしないといけないはず。


友達のあの、頭の良い子が間に入ったんだよ、って言ったって。

最後の決断はいつだって、本人がしないといけない。

自分の歌、自分のコンサートなんだから。

友達だって、頭が良いなら尚のこと、
お膳立てはする、だけどここはアンタが決めることだよ、って意見をするはず。

世界レベルの技術者と、すずちゃん、意見をやり取りして、
まだあんなイジイジした性格でいられたのかな?


世界的な歌姫に、本当になったのなら
どうしたってその過程で変わると思います。

その辺りのリアリティがね、脚本に足りないと思う。

すずの変わらなさは、
1万人かそこらのコミュニティで注目されました程度かな、と
思います。

それなら、そんなに変わらないでも達成できる、かもしれない。


以前、何かの論評に、
とあるアニメで「お金持ちの家」という設定で
食卓にフライドチキンとピザが乗ってたなんての読んだことあるけど。


その辺りの “付け焼き刃” 的なものを、感じます。(ごめんなさい)

3、え、出会ったばかりの人に“どこの誰か”、無理やり聞き出そうとするの?

これ、気にならなかったですか?

初見からまかろん、ドン引きしてました。

だってわたしは善意で・・!と思います?


あなたが電車でおばあさんや、ベビーカー連れの人に席を譲ったとします。

相手の方はありがとうと言って、席に座ってくれます。
あなたは “善意の” 良い人、です。

さてそこで、「あなたは誰?」「どこの誰?」と聞き出すとします。
相手はどう反応するでしょう。

ドン引きですね。

なぜドン引きするのでしょう。

個人情報だからです。


そしてここは<U>、アンヴェイル(顔バレ身元バレ)が
最大の処刑となる場です。

そこで出くわした相手に、
しかも問題抱えて、身元など明かしたくないのアリアリな人に、

身元を教えろと迫る? 追いかけてまでしつこく聞く?

あり得なくないですか。


もし。

誰かに何かしてあげたいなら、まず、

相手のヴェールをはがそうとしない、
その中で、できることを少しずつしてあげる、

それが鉄則なのではないでしょうか。

一般社会ならそうする、と思うのですが。


<次、【ネタバレ】入ります>

画像2



4、【ネタバレ】ばっと手を広げて、それでわたしは他と違う?

・・、ネタバレ入りますけど、オッケーですか? では行きます。


“竜”が
「助ける助ける言って、みな口先だけだ、何も変わらない」と怒ってましたが。

うーん、虐待体験者から言うと、

「助ける」と言ってくれて、虐待者と話までしてくれる誰かが

そんなに何人もいたの???

って、そこでびっくり 😲です。


いや、虐待は・・まかろん、自分の経験しか知らないんだけど。


虐待は、
誰も気づかないし、見て見ぬふりだし、
意見などわざわざ虐待者にしないし、

そうして、

被害者意識をもちすぎなんだ、
逃げる努力をしないお前が悪い、と

弱いほうにむしろ、お説教がいきます。

なので・・

その以前の何人もの人と、すずちゃんと、
何が違うのかな、と疑問に思います。

そういう人が本当に一人でもいたなら。
とっくに “竜” の世界は変わってたのではないでしょうか。

悪いけど、あれくらいのこと
他の人だってやったのでは、と思います。


他の人のはダメで、すずちゃんだけ物の分かった行動ができた、
拍手喝采〜✨っていうのは

主人公補正では?と思うのです。

5、<U>で歌ってるとき、すずは何してるの??

<U>で大歌姫として歌っているとき、ホントは現実世界
すずが声を出してる、はずだと思うのですが。
(ついでにいうと、身振りやダンスも・・? それは頭の中だけなのかな?)

驚くことに、その描写はただの一瞬も、
この作品内ではありません。


大歌姫として歌うとき、現実世界でも歌っている様子を
少しでも描けば、

すずは大歌姫とは関係ない、ただのおどおどした小娘、なんて
キャラクターではいられなくなるはずだと思うのですが。


歌ってるとき。
たとえ、アバターの仮面をかぶっていての発声でも

必ず、大歌姫としての思考、試み、経験を呼び起こさないと
いけなくなるはずです。

そうしたら、その行動は現実のすずも、変えます。
変わらないではいられません。


なぜ、描かなかったのか。

6、【超辛口 注意!】俺TUEEEE〜!の女の子版だな、って。

俺TUEEEE〜!って何のことかと言いますと。

「小説家になろう」という小説投稿サイトがあるんですね。
そこで、主に男性読者を意識した小説形式というのがありまして。

何も良いところのない、ダメダメな俺
勉強もできなきゃ、スポーツやなにかの才能もない。
顔も良くないし、努力もできない・・

異世界に転生したら、急にスゲー能力ついて、
敵は全員ぶちのめせる!!
女の子に、モテモテ!!ハーレム状態!ご主人様!!!

俺、主人公!!

俺TUEEEE〜〜(おれつえーー = おれ、強えー)!!

というお話のジャンルについたあだ名です。


まあ、男性にとっては超ウキウキの展開でしょう。


では女性はこのような
浅はかな展開など求めはしないのか、と言いますと。

女性は女性で、昔からあるニーズがあります。

何も良いところのない、ダメダメなわたし
勉強もできなきゃ、スポーツやなにかの才能もない。
顔も良くないし、努力もできない・・

だけど、強い “彼” の本当の辛さ、寂しさを
分かってあげられるのは、“わたしだけ” なの。

世界一強い彼の、“特別な” 存在になれるのは、
“わたしだけ” なの・・・


うん。

「竜とそばかすの姫」、どんぴしゃだね!!!


というわけで、

まかろんは、

「女の子自身が強くなる」
「世界レベルに自分で向き合える女の子」なんて

製作者も、市場も、
誰も考えてなかったことが、

「<U>で歌姫として活動中の、すずの(現実の)様子を描かない」ことに
つながるのではないかと

思うのです。


ダメダメなわたし、を変えたくないのです。

“現実”を変える努力はしたくないし、
強い女の子なんて誰も知らない、考えられないのです。

ただ、だけ見ていたい。


「竜とそばかすの姫」の大好評は
そういう・・製作者と市場のニーズがぴったり合ったが故の
結果ではないかと思うのです。

7、とは言え、やっぱり面白い!

まあ、昔からあるニーズに乗っかった話、
というのは、・・・


気持ち良いものでございます。


それに、仮想世界の描写が素晴らしい!!

この中に入ってみたい、自分も体験してみたい。

そう、思わせる映像表現です。


そして、そう・・


わたしもBelleになって、この世界で歌姫として歌ってみたい。


そう、感じさせる素晴らしい映像体験です。


まかろん、2回も観に行ったし、
パンフも買ったし、ガチャガチャもしちゃったよ!


<U>のイヤホン(に似せた、コードレスイヤホン)が売り出されると聞いて、
買おうか、まじで悩むくらい、面白かった!!


製作側の戦略に、うまうまと乗せられてます。

8、最後にちょっとイジワル。

ほんとに50億人登録の仮想世界の、最注目の歌姫なら。

顔バレしたら、のんびり“竜” のところまでたどり着けないんじゃないかな?

一瞬で個人情報が世界中に出回ってさ。

ファンや悪意の人に、あの人!って話しかけられて。
取材とか、話を聞かせてください、とか。

歌って〜、とか。


それとねぇ、

多分、絶対、Belleなんて登録入力したら・・



「その名前はすでに使われています」って、登録できないと思うよ。😁



それじゃあ、またね、

ここまで読んでくれて(くれる人いるかな、長くてごめんなさい)ありがとっ。


バイビー🙏✨



この記事が参加している募集

#映画感想文

66,996件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?