暗殺者グレイマンについて

Netflixで『グレイマン』という映画が今年の7月22日に配信される。
それを知っている人はまあそれなりに多いだろう。Netflixに登録している人は多く(もちろん私もだ)、Twitterで予告が流れてきたりする。

ただ、その映画の原作を知っている人はどれくらいいるだろうか?私の観測範囲(主にTwitter)ではそう多いとは思えない。
そもそもハヤカワ文庫で売られている海外小説(『女王陛下のユリシーズ号』『鷲は舞い降りた』『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』など)を読んでいる人とは中々遭遇できない。あくまでも私が属する界隈に少なかったり、観測範囲が狭いからだとは思うが。

という訳で、その『グレイマン』の原作『暗殺者グレイマン』を紹介する。

作者はマーク・グリーニー。彼はトム・クランシーとジャック・ライアンシリーズを共著したり、クランシーの死後にグリーニー1人でシリーズの著作を引き継いでいる。
この暗殺者グレイマンは単作ではなく、既に10作も出ているシリーズものである(5作目にあたる『暗殺者の反撃』からは上下巻になっているので全部揃えると冊数は中々のものになる)。

本作の主人公について


このグレイマンシリーズにおける主人公はコートランド・ジェントリー(以下コート)。通称"グレイマン(目立たない男)"。
コートはそういう通称で呼ばれているだけあって凄腕の暗殺者だ。かつてCIAの特殊活動部の部隊(ゴルフ・シエラ。いわゆる暗殺部隊)に所属していた。しかし、本編開始4年前にコートに対しての"目撃しだい射殺シュート・オン・サイト"という指令が出る(この理由は後に5作目の『暗殺者の反撃』において判明する)。これによって彼を殺しに来た元同僚たちをコートは返り討ちにして身を潜めた....(詳細は是非本作を買って読んでもらえると嬉しい)
コートはその後、元MI5のサー・ドナルド・フィッツロイが経営する民間警備会社で雇われ、暗殺を請け負うようになった。

本作はとある仕事(シリアでナイジェリアのエネルギー大臣の暗殺)を行い、脱出のためにイラクでランドローバーを走らせている....というところから始まる。そしてすぐに彼の、事態をややこしくすると分かっているのに胸糞悪いものを見過ごせず首を突っ込んで巻き込まれてしまうという魅力を見ることができる。
なんとまあ、墜落した米軍のチヌーク(輸送ヘリ)と兵士の遺体の周りで踊るタリバンを対物ライフルで狙撃したり、生き残った兵士を助けるなどという行動をする。コート本人はこんなことしたらヤバくなると分かっているのにである。シリーズ通してしょっちゅうこんなことをする。

ちなみにコートはシリーズ通してよく長物(アサルトライフルとか)を落とす。何なら拳銃も弾き飛ばされたりして近接戦闘をしたりするので本当に生傷が絶えない。無敵の暗殺者?いやいや、基本的に1作の最後のページに到達する頃には撃たれたり刺されたり骨が折れていたりとボロボロなのが当たり前になっている。これもある意味魅力の1つかもしれない。
ちなみに作中でたびたび言及される「キエフ(キーウ)での仕事」という彼の伝説がどういうものかに関しては4作目の『暗殺者の復讐』において判明する。

ロイドについて


さて、次は映画でクリス・エヴァンスが演じるもう1人のメインキャラ、ロイドについて語っていこう。
ぶっちゃけ言ってしまおう…

ロイドはクリス・エヴァンスが演じるようなタフガイみたいな奴じゃねえ!

本当にこれに尽きる。なんかこうもっと、『コマンドー』のサリーみたいな感じなんだよな…知恵の回る卑劣な奴って感じで。ちなみに個人的にはコール・ハウザーが演じたらいいなあとか思ってた。

ロイドは元CIAで、辞める時に機密情報とかを持ち出しちゃったりしているハイパー最悪野郎だ。そのためコートの経歴を知っている。コートが参加していた作戦の支援とかもしていたらしいのだが当のコートは彼のことを一切覚えていないのである。哀れ。

原作においてはローラングループという多国籍企業の弁護士なのだが、映画ではローラングループ出てこないんじゃないだろうか…

その他主要登場人物

サー・ドナルド・フィッツロイ

上述の通り元MI5。チェルトナム・セキュリティ・サービスという民間警備会社の創立者。映画ではビリー・ボブ・ソーントンが演じるっぽい?

クルト・リーゲル

ローラングループの保安部門の責任者。汚れ仕事担当。映画で出てこなさそうな人その1。

マルク・ローラン

ローラングループのCEO。映画で出てこなさそうな人その2。

キム・ソンパク

韓国の情報機関の暗殺者。道中のメイン敵みたいな存在なんだけど映画の予告でインド人っぽい見た目の暗殺者が目立ってたから多分キムの役割はそいつが担うのかな…

モーリス

コートのCIA時代の主任教官。現在は銀行家。世界各国の情報機関の暗殺チームから狙われるコートを手助けする。

サーボ・ラースロー

偽造屋。なんというかこう、ザ・小物悪党って感じの奴。

映画に対する期待について

グレイマンシリーズ10作全作読破済みの原作ファンの自分としては、正直予告を見る限りとても期待できていない。原作にそんなん無かったでしょ...みたいな白昼堂々の超ド派手襲撃シーンとか誰だよお前原作におらんかったろみたいな奴らばっかり出てくる。もうグレイマンじゃなくていいだろ。

こんな感じで既に不満しかないのだが配信されたら勿論観る。観たうえで原作ファンとしての立場から正直に感想を述べる。もしかしたらまたnoteに書くことになるかもしれない。正直このたかが2300文字くらいしかない記事に何週間もかかってるあたり面倒になって書かないかもしれないが。

最後に

今回は暗殺者グレイマンについて書いたが、本当に気が向いたら2作目(暗殺者の正義)以降の感想も書こうと思う。1つ記事書くのにどれくらいかかるか分からないけど。
最後までこの駄文を読んでくれた方に感謝を。

グレイマンシリーズ新作『SIERRA SIX(原題)』はいつ日本で発売されるかな…

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