生地獄


2月に義母が亡くなってから

一人暮らしになってしまった
義父の家に

毎週、休みのたびに
様子を見に行っている

僕は基本的に
週休1日なので

正直、結構ツラい…

でも、自分の親に
介護が必要になった時は

奥さんの力を借りる事に
なるので

今、自分が出来る事は
積極的にやろう!

と、思っている

昨日も休みだったので
昼過ぎに義父宅にお邪魔した

コンビニやスーパーの
弁当だと食べないので

夕飯のオカズを作ったり
ケアマネと打ち合わせして

夕方に帰宅しようとすると

奥さんに義父が

「ちょっと話がある…」

と、切り出した

話を聞くと

「お父さん、今日死ぬから」

え?何で

「もう生きれない」

「1人ぼっちで寂しい」

「これ以上、生きていても
仕方ない」

「お前たちに迷惑をかけたくない」

そんなネガティブ発言を
一通りした後、

少し落ち着いた様で

僕に、

「見っともない姿を見せて申し訳ない、気持ちの整理がつかないんだよ…」

妻に先立たれた男は弱い

そんな言葉を何度も聞いたが

僕の目の前に、その弱い男が
リアルに立っている…

こんなにも弱くなるのか…

こんなにもダメになるのか…

率直な感想を述べるなら

哀れだ…


と、なる

未来に何の希望も無い

日々の暮らしに
何の楽しみも無い

食べたい物も無い

欲しい物も無い

行きたい場所も無い…

例えるならそれは

面白くも何ともない
いつ終わるかも分からない

クソ映画を観続ける事…

そう考えると
義父の苦痛が分かる気もする…

そんな映画なら

途中で映画館を出るだろう

その、映画館を出る!
と、言う行為が

義父が口走った

「今日、死ぬから」

と、言う事なのだろう

死んでしまう不幸もあれば

死ねない不幸もあるんだなぁ

でも、人生はいつ終わるか
分からないし

ラストシーンに
何が待ってるのかも分からない

最期の最期で

「あぁ…生きてて良かった」

と、思える事が
あるかも知れない

加速度的に認知機能が
低下している義父は

昨日の発言を
覚えていないかも知れない

死にたい人間が

少し体調を崩しただけで

「救急車を呼んでくれ」

とか、言うだろうか?

本質的には

生きたいのだ

義父の「死にたい」は

「寂しい!」

と言う気持ちが爆発した

悲鳴なんだと思う…

結局は

人生はゴールまで

歩き続けるしかないのだ

どんなに辛くても…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?