見出し画像

おとなの火遊び マカピーの日々#1019

マカピーです。
大人の火遊びって何でしょう?

佐藤春夫作詞の「海辺の恋」を小椋佳が歌っていたのを思い出します。
こぼれ松葉をかき集め、乙女のごとき君なりき
こぼれ松葉に火を放ち、童のごとき我なりき・・・

マカピーはマレーシアの浜辺に来てモンタナナモの木の葉をかきあつめ
火をつけて喜んでいたのは、あのアガス(サンドフライ)に手足80か所ほど喰われ、そのあとが痒くて痒くて眠れないほどの日が続いていたからです。

葉っぱやゴミに火をつけてその煙に咳き込みながらも、懐かしく感じた夕暮れとなりました。

今でも、アガスに刺された村に行くとまず最初に海の水で赤くぽつぽつ発疹状態になった刺された跡を洗うのでした。


モンタナナモの木は季節によって一斉に葉を落とすのです!

いろいろな薬やサロンパスも試したのですがどうもうまく行かないのですがホームステイのオバチャンが庭先でアロエベラの葉を一本取っていたので貰ってきて、その液を付けると結構いい感じです。

さすがに「医者いらず」と呼ばれたアロエベラだけの事はあります!

東京の農業の学校へ通っていた際に、専門コースの始まる3年生から研究室に入る事にしたのは「卒論」というのがあり、このテーマを探すのに必要であるらしいと分かったからでした。

マカピーは特別「植物病理」をやりたかった訳ではなかったんですが、まあここならいいかなあってな感じでした。

ところが、御多分に漏れずこの学校はかなりの「飲んだくれ」で、なにかというと「コンパ」がありました。

女性が少なかった学校ゆえに?「次回のコンパではスカートで出席するように」と先輩から言い渡されたクラスメートもいました。

いまどきこんな事を言ったらセクハラで訴えられますよね!

それもそのはずで、栄養学科のみに女学生が多くその他の学科にはちらほらとしか女子がいませんでした。

しかもその植物病理研究室ときたら「とんでもなく臭い」ところでした。


それは細菌性の病原菌(例えばレタスの軟腐病)を培養する寒天培地を大量に作り、処分していたからです。

つまり菌が発生しやすい「寝床」を作ってあげるのがこの作業で、他の雑菌が入りにくいようにクリーンベンチと呼ばれる特殊な作業テーブルでコンタミ(雑菌による汚染)を防ぎながら作業をするのでした。

最初は病理所見のある部位から、白金耳とよばれる針金で試験管に流し込んだ傾斜培地に塗布しインキュベーターで培養するとカビ状のものが発生します。

培地の栄養条件によって生える菌種もちがうのですが、さらにそこに発生した殺菌するためにガスバーナーで白金耳が赤くなるまで待ち、、、と試験管の綿栓(めんせん)を指に挟みながらシャーレの培地に塗布し試験管に再度栓をする際にはこの綿栓をバーナーで火をつけて、スポッとはめ込むのでした。

一連の流れは慣れないとなかなか難しいものでした。

ややもすると、綿栓がぼうぼうと燃え盛ってしまうと手が付けられなくなるからで最初の頃は火傷がたえないのでした。ヤレヤレ

バーナーで眉毛を焦がしたこともありました!

綿栓を使う理由は菌を生やすために一定の空気が入らないといけなかったからで、雑菌の混入を防ぐために綿栓を使っていたのです。

試験管は研究室におそらく数千本はあると思うのですが、当時は使い捨てではないので実験使用したものは寸胴(ずんどう)で煮沸して再利用します。

そして、これらの消耗品つくりをするのが新入研究室生の役目でした。


浜に打ち上げられたカラギーナンとよばれる海藻

つまり綿栓づくりも試験管洗いも「奴隷(どれい)」がいないといけなかったから一種の師弟関係の中で卒業年次生の卒論ができるように手伝わされていたと思うのです。

ちなみに綿栓というのは布団用の綿から層になったものを上手にはぎ取り、それを綿栓台とよばれるすべり止めのギザギザのあるテーブルで折りたたみながらコロコロと手のひらで圧力を加えながら形を整え、試験管にちょうど収まるサイズに仕上げます。

それから試験管洗いやシャーレの洗浄もまずは培地を廃棄するのですが、ドロドロ状態、カビだらけのものをかきだして煮沸しますが、特にブイヨン培地と呼ばれる牛肉エキスの培地を使ったものの臭いは強烈で、これが研究室の「臭い」の元凶だったんですね。

試験管洗いも流しで試験管ブラシを使って中のこびりつきが無いようにチェックしながら洗い、更に台に試験管を並べごしごしと洗うのですが、ガラスに傷があったりするとパキンッとわれる事があります。

そして運が悪いと、作業をしていた奴隷の指をその鋭い切り口が裂いて流血事件が発生するのでした!

研究室内は常にバーナーの火傷やガラスでの切り傷などが絶えない場所だったんですね。

そんな時にアロエの葉っぱの一部を切り取っては傷口につけるのが研究室の習わしでした。

大概これでOKという万能薬だったんですね。


左手の少し赤く紅葉したのがモンタナナモの木です

後年になって、仕事で北海道大学の研究室を伺った時に同伴した女性担当が顔をしかめたのに気付いたマカピーは尋ねました。

マカピー:「ああ、この臭いでしょう?培地の臭いなんです」
女性担当:「マカピーさんご存じだったんですか?」
マカピー:「学生時代に同じような作業をしていたんでこの臭いを嗅ぐと当時の事が思い出されるんです。それにしても臭いだけは変わってないんだなあ!」

そうなんです、現代ではコンタミ防止にはディスポーザブルのものが多く使用されるようになり、綿栓つくりの話をしても知らない人が多いのでしょうね。

可愛いマキガイがありました

マレーシアに来てアロエのお世話になったので学生時代を思い出しました。

マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。それにしてもアロエパワーはすごい!?






もしもサポートいただければとても嬉しいです。そのサポートは感謝のバトンタッチとして使わせていただきます!