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マノンの帰国なるか? マカピーの日々 ♯1555

割引あり

マカピーです。
ハナさんの息子のアジズから連絡が入りました。

「予定通りマノンを車が迎えに来たんだけど、問題があるんだ」

「どうしたの?」

「荷物がものすごく多くて、車に入りきらないんだって。迎えに来たハッサンが困っていたよ」

「そう、連絡ありがとう。ハッサンと話してみるわ」

マノンはあの崩れかけた一軒家の中から、あらゆるものを引っ張り出してきてフィリピンに持って行くようなのです。

ハナさんがハッサンに連絡したところによると、「フィリピンでは高いから、持って帰る」と食器まで荷物に入っているとの事でした。

マノンに対しては幾度も「身軽にバッグ一つで帰ろうね」って伝えてあったけれどダメだったのね。

ハッサンもその量と内容に呆れてしまって、貴重品以外に置いて行くことを勧めるのですがマノンが頑として捨てないので、仕方なく港町までガラクタ荷物と一緒にマノンを運んでくれました。

これまでマノンの事を書いてきましたが、これが最後になりそうなのでお話します。

彼の身分証明書と言えば1983年のフィリピンの運転免許証のコピーだけなのです。

40年間もマレーシアに住んでいて、これまでどうして移民局に捕まらなかったのかと思うのですが、「人畜無害」のマノンは取り調べの対象にもなっていなかったのかも知れません。

フィリピンのミンダナオ島はサンボアンガの出身のマノンはずっと出稼ぎをして家族を支えてきたという事です。

その間一度もフィリピンに帰っていで、現在80歳です。

昨年、初めてマノンと会ってからいろいろな事件もありましたが、ハナさんは親身に話をして心身と共に衰えが目立ち始めたマノンに帰国を勧めたのです。

彼もようやく帰国する決心をしたのですが、教会の帰国支援金が出た後の8月20日にこだわったのです。

それも無理からぬところがあるにしても、フィリピン人の友人たちも彼の帰国を心配していました。

ハナさんが同伴する話もあったのですが、それも断ったので知り合いに頼んでフィリピンまで送り届けてもらう手はずを整えてハナさんはフィリピンに来たのです。

40年間にマレーシアとフィリピンとの間の出入国関連の厳しさは増して、違法滞在者の取り締まりが強化されています。

マノンのケースではパスポートも持っていないので、フェリーを使うにしてもまともな出入国手続きが出来ないのです。

下手をすると、出国手続きが出来ずにそのまま移民局の収容所に入れられてしまう可能性があります。

そこでハナさんがハッサンに頼んだのが、夜陰に紛れてフィリピンに送り返してもらう手続きでした。

違法? 

密航?

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