ロクロウさんに会った朝 マカピーの日々 #1115
マカピーです。
早朝散歩でロクロウさんに出会ったんです。
どうして、今朝に限ってマカピーがその散歩ルートを取ったのかは全くの偶然だったんです。
いつものコースで行こうと歩き始めて義父母宅が見え「あ、窓が開いているから元気だな!」と確認しんです。
そしたら急にその前を通過するコースじゃなくてもいいって思えたんです。それで目の前の変則五差路の右から2番目を選択する事にしました。
今日は何か珍しい草花でもあるかしら?
もちろんこのコースも月に一度くらいは歩くのですが、田植えの終わった田んぼや庭先の花などを愛でながら行くと、向こう側から老人が歩いてくるのに出会いました。
朝の6時ですし、ちゃんとした服装で散歩している雰囲気なのですが何か言いたそうな様子でもありました。
彼は「あの、お尋ねしてもいいでしょうか?実はここに行きたいのですが。散歩に来て帰り道が分からなくなっちゃったんです」と首から下げたカードホルダーの住所を見せたのです。
そこには本人のカタカナ名で「ロクロウ」あり住所が大きく「UR○○団地」その裏には女性名の連絡先もありました。
もしかして「認知症による徘徊?」とマカピーの頭によぎるものがありましたので質問する事にしました。
マカピー:「あ、この団地ですね。ボクも同じ方向だから一緒に行きましょう。この辺りは道路が真っ直ぐでなく迷いやすいと思います。ところでボクは群馬出身ですが、オジサンはどちらの出身なのですか?」
ロクロウ:「ワシは青森県のおいらせ町だけど実家があるだけでね。6人兄弟の末っ子だったんで仕事で川崎に出て来て結婚したんだ。子供が独立したけど、一昨年女房が死んでしまったんで長男夫婦がいる埼玉県に来たんだ。そうオレ一人っきりで住んでるんだ。たまに長男の嫁さんが料理を差し入れてくれるんだ」
と、一気に話してくれたわけではなく歩きながらいくつも質問し、それにロクロウさんがポツポツ返事した要約です(笑)
試しに年齢を尋ねると「昭和17年3月2日生まれ。今年81歳だ」とキチンと毎年変わる年齢を言えるので安心しました。
団地近くの公園を抜けながらロクロウさんは「ワシの6人いた兄弟も3人は死んでしまった。それからワシの息子3人もいたけど、次男がイジメにあって隣のアパートの4階から飛び降りて死んじまったんだ」
「川崎のアパートは月8万円だったけどこっちは月5万円だ。4リットル瓶の焼酎とビールを買ってきておいて飲むのが楽しみなんだ」とも。
UR団地の通りに出ると、バス停では勤めに行く人々が列を作っていました。
その後ろの団地内の商店街を指してロクロウさんは「ああ、あのあたりでたまに飲んだりするんだよ」と記憶が戻って来たようなのでマカピーはホッとしました。
そこで横断歩道を渡って先ほどの名札にある棟番号を探すのですが、通りからは見えません。
マカピー:「こっちですか?」
ロクロウ:「さあ・・・みんな同じ5階建てだなあ!」
マカピー:「そりゃ、団地ですから同じ作りですものね(笑)」
ロクロウ:「うーん、どっちかなあ・・・」
オイオイ、大丈夫かい?
マカピーは「ここが9棟ってあるからむこうかな?」とロクロウさんと連れ立って行ってはその棟の番号を確認して、ようやく目的地の棟に辿り着きました。
マカピー:「入口は三つありますけど、どっちですか?」
ロクロウ:「2階なんだ。201にオレの名前があるんだけどなあ」
的はずれの答えに、マカピーは行って右の入口の郵便受けの番号を見ると違うようです。
マカピー:「あっちの一番左らしいですよ」
ロクロウさんは左の入口の郵便受けを指して「お、ほらあったオレの名前が。ここだここだ」と嬉しそうです。
マカピー:「よかったね。まだ土地勘がないから遠くまで行かない方が良いよ。じゃあボクはこれで!」
ロクロウ:「はあ、アンタはオレを送ってきてくれたんか? そりゃ悪かったな。じゃあ家に上がってビールでも飲んで行けって!」
マカピー:「(笑)ありがとうございます。でもボクも家に帰って朝飯食べますね。じゃあお元気でね」
マカピー妻にメッセージを送り帰途につきました。
「道に迷った老人を送ったので、これから帰ります」
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。ロクロウさん元気でねー!
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