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病める時も。 マカピーの日々 #1430

マカピーです。
ハナさんはフィリピンに来ても患者さんと接していました。

3年前にこちらで手術を受けフィリピン南部で療養していたハナさんは静養出来る場所を求め北部ルソン島に来ます。

彼女はフィリピンの医学部出身で親戚の多いこの地でのへき地医療をするのに必要な言葉も習得していました。

彼女は自身の療養目的だったので医療行為に関わるつもりはなかったのです。

ところが自分よりも周囲の住民の健康状態を見て改善出来る事に気付きます。

健康相談から簡単な治療をすると「治す医者がいる」とうわさで沢山の訪問があり、薬を入手して住居の一角がクリニックになり夜明け前から患者が訪れるようになったそうです。

地元ではこうやってトウモロコシを脱穀します

「私は診察料を要求しないし、医師免許価格で入手出来る薬を市価で請求するだけだし、お金が払えない人にも診察したわ」

今回の旅でもかつてクリニックを手伝ってくれたレンやジョシュに会いに行くと幾人かの患者が来ていました。

口コミってすごい!

北部ルソン島は乾季に入り3ヶ月以上も雨がありません。

クリニックのあった丘陵地は見渡す限りの収穫を終えたトウモロコシ畑と乾季の熱風に枯れ上がった疎林が広がっていました。

そんな小さな集落にレンは小さな雑貨店を開いていました。

手元のスマホでこの周辺気温が34℃である事はわかりましたがトタン屋根の下はまるでサウナのようでした。

レンの持ってきた扇風機はその暑い空気をかき混ぜているだけでおそらく40℃位に達していたでしょう。


甲状腺の患者さんは財産を失いました

エアコンが無いと寝られないと言うハナさんは、劣悪な状況にも一切の文句も言わず患者の苦痛を除く事に集中します。

すごい集中力です。

患者の一人は甲状腺異常の中年男性でした。

彼はこれまで病院に支払った医療費で財産であった水牛4頭に土地さえも手放していました。

ハナさんは彼が持ってきた病院からの薬のうちで適当でないものを交換し4ヶ月分施薬し食事の注意点を伝えました。

それでも合計代金は病院の一回の医師診察料の3割程でした。

たしかに病院はその経営視点から施設費、雇用費、維持管理費をまかなう利益を生まねばなりません。

それは理解出来るのですが、大きな病院で正しい診断と施薬が出来ていないケースが多いのでハナさんはため息をつくのでした。

脳梗塞のハリー叔父の病院での検査記録を見ても料金しかわからないのにハナさんは憤慨していました。

「あれだけの医療費を取りながら、これしか記入しないで金を巻き上げるってどうよ!」


ネコ、イヌ、アヒル、ニワトリが足元を徘徊

レンはマカピーほかにも昼食を振る舞ってくれました。

そうなると犬、ネコ、アヒル、バリケン(アヒルの一種)、ニワトリが人の足の間をこぼれ落ちてくる残飯めがけて走り回るカオスが暑さを倍加するのでした。

ハナさんが診察している間マカピーは椅子に腰掛けながら居眠りしていました。

そのあたりからマカピーの体調が崩れ始めたのです。

レン家族が近隣町のモールへ行くと言うので子供達3人を乗せ約30km走りました。

モール内で軽い食事をしますがハロハロ(フィリピンのかき氷)を食べ店内をウインドウショッピングするも悪寒が走りインフルエンザ初期症状が出てきました。

ヤバヤバ

明日は長距離バスに飛行機に乗る予定なんです。

マカピーはハナさんに相談して皆さんと別れ駐車場の車でリクライニングにして休みました。

驚いた事に1時間足らずでしたが、マカピーは復活したんです!

これで旅が出来る!


こちらではこうした耕運機に荷台を付けたものが活躍します

ハリー叔父の家に戻ると沢山の人がいました。

誰なのかな?

ハナさんに診てもらいた人が帰りを待っていたんです。

結局ハナさんが患者から開放されたのは深夜過ぎでしたマカピーは既に寝ていました。

早朝になると、そのハナさんがお腹が痛いと言うのです。

エアコンじゃなくて扇風機だと体調不良になるハナさんでした。

彼女はハリー叔父のマッサージをすると約束していたので、自ら痛み止め注射をして吐き気を抑えながら施術するのでした。

農繁期でフレディ達が朝食を準備していないので、ハナさんはレストランへ行きテイクアウトする事にしました。


年季の入った自転車ですね

すると注文が出来上がる前に店内で待っていると、家族グループの奥さんと思しき女性がハナさんのところへやってきてこう言うのです。

「ドクトラ(女性医師)よね。私です。以前助けてもらった。戻って来てくれたんですね。みんなが待ってます」

「残念だけど今日帰るのよ。電話番号をあげるから連絡してちょうだい」

彼女は子宮頸がんを治療してもらった患者さんでハナさんが直ぐに彼女と気づかなかったのは、彼女が既にふっくらとした健康な容姿になっていたからでした。

テイクアウトを持ち帰りながらハナさんと話しました。

数日滞在して、このままフレディ達にハリー叔父を任せておくと、リハビリどころか家も乗っ取られちゃうとハナさんは心配します。

たしかに彼らは医療に関する知識もないし、隣の敷地から次第にこの家の中に侵食し掃除も洗濯も出来ていない状況でしたから、明日からまた元の状況に戻りそうです。

さてマカピーたちは今日この地を離れますが次の一手をどうするのかしら?

マカピーでした。
最後までお読み頂きありがとうございます! 人には病める時があるものです

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