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死を待つ人に会ったら マカピーな日々#0950

マカピーです。ボルネオ島北部マレーシア国サバ州にいます!
偶然にも訪ねた家にマカピーが今まで見たことのない病人がいました!

マカピーたちの出張に同行したのは、ハナさんの友達のミリさんでした。そして彼女の親戚のいるという家を一緒に探したのでした。

それは幹線道路から2㎞程入った場所にある地図に載っていないような場所なんですが、グーグルマップでだいたい見当を付けてゆくとクラパサウィ(油ヤシ)の林の中に家がありました。


足元がドロドロの中を親戚の家を目指す

ぬかるみに足を取られながらその家に行くと、誰もいませんでした。

近くの古いマンゴの木にはリスが走り回っていて、しずかで森閑とした空間が広がっていました。

見れば50mほど離れたところにも人家がありそちらに行って見る事にしたのは、ハナさんがトイレを借りたかったからでした。

ハナ:「こんにちは、トイレを使わせてください」
主人:「どうぞ、使ってください。そちらです」
ミリ:「あら、奥さんどうしたの、具合が悪いの?」

マカピーも家に上がり、椅子に座ることにしたのですがその奥さんのお腹を見て声が出ませんでした。

油ヤシの林になる前の巨大な木の切り株が炭化して残っていました

なんと、膨張した巨大なお腹をしているのです。
妊娠などではなく、明らかに病変による鼓脹です。

奥さん:「もう10年にもなるの。病院でも治らないからって死ぬのを待っているの」
主人:「もう、ぼくらにはここの家以外何もないんです。畑も売ってしまったし、薬を買うお金もありません」

確かに何もないさっぱりした家で、庭に少しばかりのナスやトウガラシが植わっていました。

わずかばかりの菜園

トイレから帰って来たハナさんが、早速診察します。
ハナ:「明らかに虚血性大腸炎ね、あなた薬はずっと飲んでいたの?」
主人:「コタキナバルの病院でもダメだって言われたんです。でもお金が尽きてしまい薬も飲んでいません」

ハナ:「いい、わたしはあなたと同じ症状の患者を診たことがあるの。でも今では彼女は元気になったわ」
奥さんの顔が少し明るくなるのが分かりました。

ミリ:「あのね、この人はこう見えても医者なのよ。彼女の言う事をきけばいいのよ、絶対死ぬなんて言っちゃだめよ!」
ハナ:「この症状になっては普通の製剤を使っても効果はないの。その薬を飲まなくなったのは良い事よ。まず食生活を変える事トウガラシなどの辛いもの、塩辛いもの、炭酸飲料、コーヒーなどの刺激物は禁物よ。それからここに地元でも手に入る生薬を書いておくからこれを煎じて毎日飲むの、分かった?」

マカピーはこの奥さんの様子を見て40歳前後かな?って思い尋ねました。

マカピー:「ところで何歳なの?」
奥さん:「分からないの。私は田舎生まれで記録が無いんです」

タガログ語も分かるというので、どうやら国籍も持っていないフィリピン系の移民らしいのでした。

切り出されたヤシの実(小さな実の集合体)は道路際に運び出されます

念のためにミリさんが、ハナさんの書いた処方をマレー語に書き直して渡しておきました。

ハナ:「いい、たまたまトイレに借りに来ただけだけど、これは神がめぐり合わせてくれたチャンスなのよ。だから私の指示に従って治してしっかり生きなさいね」

マカピー達は駐車した車まで、足元を気にしながらも言葉少なに戻るのでした。

マカピー:「これから、彼らはどうなるんだろうかしら?」
ハナ:「神は導いてくれるわよ!私たちはできる事をしたのよ」

クラパサウィの林の奥で、ひっそりと暮らす人の生活を垣間見たのですが、たまたまその光景が衝撃的でマカピーの脳裏を離れなかったのでした。

一個で15㎏ほどの重さがあります! 

マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。生れたところが違うだけで、いろいろな人生があるのですね!




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