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またもや祈祷師登場 マカピーの日々#1034

マカピーです。
今度は咳き込みが厳しくなってきたのでした。

マレーシアで仕事を開始して、まあ体だけは丈夫だから!と思っていたのですがさにあらず。

地方に定住化をはかってから便秘や下痢、アガス(サンドフライ)の痒みにも困りました。そして今度は咳き込みが激しくなると胸の奥がジーンと痛くなるので顔をしかめていたのを、ハナさんが観察していたのです。

で、昨日トムボーイで教師をしているマイマイが朝食の後でマカピー達のホームステイを訪ねてきたのでした。

ハナさんとマイマイはいつものように賑やかに話しながら合意したらしいのです。

「今からマイマイの生まれ故郷の町に行こうという事になった」と一方的な宣言を受けたんですけど、さすがに午前11時だというのにこれから250㎞も離れた町に出かけるって遅くない?

「ええ、これから本当に行くの?」とノリノリの二人の決定に従うのでした。

途中幾度か雨に降られながらも4時間ほどの走行の末に、無事にその町のマイマイの実家に到着しました。

どこへ行ってもこうして初対面の客人を泊めてくれる家があるというのは助かります。

そこにはマイマイのお姉さんが、言葉の不自由な旦那さんと暮らしていたのですが5年前にお父さんが亡くなっていて、彼のお墓はそこから少し離れた港に近い墓地にありました。

ところが家の敷地内に新しいお墓があったので不思議に思いました。

すると居間に飾ってある大学卒業の写真を指して「この子のお墓なのよ」とマイマイの姉さんが言うのでした。

姉さん:「2021年にCOVIT-19のワクチン接種を受けた後発熱してあっと言う間に死んじゃったの。この町から彼の死亡を聞いて彼の入院先のコタキナバルに駆け付けた時は「ロックダウン」の状況で、遺体を引き取りに行くのさえもいくつもの検問があり大変だったの」
マカピー:「それは残念でしたね。ところで彼は何歳だったのですか?」
姉さん:「当時28歳で、大学院を卒業したところでした」

マカピーはマカピー三男と同じ年であることにショックを受けました。マカピーの三男はワクチン接種を受けても元気ですが、こうして死んでしまうケースがあり、運悪く家族を失った人は何も言えないのでした。

ハナさんが言うのに「当時はね、強制でワクチン接種を断る選択肢がなかったのよ、可哀そうにね」

お姉さんは、亡くなった息子の話をするにつけ当時を思い出すのか目頭を押さえるのでした。

トドン(ヘシャブ)の裾で涙を拭く姿は自慢の息子だっただけにいまだに心の傷が癒されていないのが分かりマカピーも胸が詰まりました。

息子のお墓を見ると偶然に水たまりがあるのか、小鳥が来て水浴びをしているのが分かり「ああ、彼はこうして小鳥と遊んでいるのかな?」って眺めていました。

夕方になりマイマイの実家に若い人が訪ねてきました。

これが、マカピーの世話になる祈祷師だったのです!(それで分かった。ハナさんがこの町に来た理由が!)

ところが直ぐに施術した前回と違って彼は「まず水浴びをしてください」というので、マイマイがマカピーを連れて行ったドアを開けると戸外です。

え、ここでマンディ(水浴び)するの?

家の中の水浴びじゃないんだ?

だってお隣さんから丸見えだよ!

仕方がないので、そこのバケツにあった汲み置きの水を使ってさっさと着替えしているとマイマイががきて、「え、もうマンディしたの?」聞くので終わったと伝えると「そのまま待っていて。祈祷師がマンディするから!」
「え、もう一回するの?」

どうやら水浴びを通じての祈祷の儀式だったのを知らずにマカピーは自分で普通のマンディをしてしまっていたのでした。

また上半身裸になって、今晩のパジャマ用に持ってきていたユニクロのステテコ姿で、腰掛に腰を下ろすと祈祷師はホースを蛇口につないでそれをマカピーの頭からかけ流すのでした。

5分ほど頭の頂点辺りから水を流しながら祈祷師はブツブツと呪文を唱えています。

マカピーは水が口や鼻に入って窒息しないように静かにしていました。

なんだか修験者が滝に打たれている姿を想像したのですが、こちらはホースからの緩やかでぬるい水でした。

やがて、それが終わると着替えて来なさいというので、持参していたサロン(腰巻)姿で居間に戻りました。

名前を聞かれ何やら手のひらで数えた後、自分の水があるかというのでバッグに入れてあったミネラルウオータ(1.5リットル)を見せると、真鍮製の鍵を求めてきました。

車のキーだったらあるけどというと、自分の持っていたキーをそのボトルの下に挟んでキャップを開けるとそこに呪文を吹き込むのでした。

これを3日間、毎回少しづつ(三回に分けて)飲むように!

更にもう一本にも同じ事をして、こちらは3日間毎朝のマンディで頭からかけるようにと指導されました。

それで終わりかと思ったらハナさんと一時間以上いろいろ話したのですが時々言葉がローカルになるので後で尋ねてみると「タウソグ語(スルー族)」だったのでした。

そうか、この人もハナさんと同じ部族なんだ!

祈祷師曰く、この病気の元はある人の呪いだというのです!(いわゆるブラックマジック)

え、それってジュルの事?

祈祷師はこの呪いはオラン・スンガイ(Orang Sungai)族のものでハナさんに掛けられたのだけど、通じないので近くにいたマカピーが被害を受けたのだとも。

オイオイ、どういう事よ?

つまりハナさんには強力なバリアがあり呪いを跳ね返せるけど、この日本人にはそれがないので彼が病気になっちゃったというのです。

一週間ほど前にロビンの娘が咳き込んでいたので、マカピーはてっきりそれがうつったのだと思ってましたけど。

ただ、ハナさんから貰う薬でも改善せず、咳き込みがひどくなると胸が痛くなるのでした。

祈祷師は続けます。

オランスンガイの祈祷師に依頼したのは、背の高い肌の黒い人です。彼の奥さんはそんなことすべきではないと彼に言うのだけど、彼はいう事を聞かずに祈祷師にハナさんを苦しめるように依頼したんです。

ハナさんはジュルと一緒にコタキナバルを往復した時の事を思い出しこういうのでした。

ハナさん:「キナバル山のふもとを通過する時にジュルが言っていたオランスンガイの知り合いがいるって祈祷師の事だったんだ。祈祷師にはジュルの事言っていないのに彼の体格も肌の色も確かに言う通りよ!」

祈祷師:「今回この呪いは払われ、呪いを依頼した人に返って行くことなります」

うーん、そういうものかしら。

この儀式の後でマカピー達は車で元のホームステイまで戻るのですが必ずその沿道でジュルの奥さんがやっている食料雑貨の店の前を通るのですが、今回はジュルが店の前でトラックの脇でしゃがんでいる姿を見かけたのです!

昨年11月末に会って以来の姿でした。

ずいぶんと彼にはダメージを受けました。

その上、事業を乗っ取ろうとしてできなかった腹いせに「呪い」までかけるとしたら相当のワルです。

ハナさん:「いい、神は見ているのよ!それに私たちがきちんと会社登記が終わったら警察に訴える事だってできるのよ。彼が奪ったもの、詐取したものを押収してもらう事も出来るけど今はその時じゃないわ」

ナルホド

マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。呪いって何だろう?






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