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ケイさんの友達って マカピーな日々#0588

マカピーです。

ケイさんは、恰幅がよい大阪人です。とても聡明な人で講演会などで彼のマシンガントークに面食らった人が沢山いたと関係者から聞いたことがあります。

ケイさんは自分の考えている事をたくさん伝えたくて早口になってしまうのは昔から変わらないなと、その方のケイさん評価を聞いてマカピーは可笑しくなりました。

ケイさんと出会ったのはマレイシア国で、その後も交友が続いています。そのケイさんから伺った興味深いお話を披露します。

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ある日、ケイは旅先で出会った友人をフィリピンに訪ねててきました。ジープニーを乗り継いで教えられた住所に従ってマニラの郊外の住宅地に到着した時に妙な違和感を感じました。

本当にこの家でいいのかな?

ケイは立派な門構えの家の前に立って、呼び鈴を鳴らそうかと逡巡していると、ちょうど中からラフな格好した懐かしいルイスが通用門から顔を出したのでした。

二人は握手してしっかりハグしあいました。

ルイス:「よく来てくれたね、ケイ」

ケイ:「もう4年くらいになるかな?」

ルイスはニッコリとしながら「母が待ってるから、こっちにどうぞ」とケイを中に入れました。

この時点でもケイはルイスの母がこの邸宅の使用人として働いているのだと思ったのでした。

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ルイスの後を付いて歩くと、邸内の回廊の壁にさりげなく飾られている絵画が気になりました。

ケイ:「ルイス、さっきからこの壁にあるフレイムの絵が気になるんだ。この絵なんかパブロ・ピカソだよね?」

ルイス:「そう、一緒に訪ねたバルセロナの美術館にも同じシリーズがあったよね!」

ケイ:「ああ、あったけど。でもこれらの飾っている絵画は?」

ルイス:「レプリカじゃないよ。全部オリジナルだよ」

ケイ:「すごい!まるで美術館じゃないか。すごいリッチな家なんだね」

ルイス:「さあ、母が君に会いたがっているから行こう」

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邸宅のゆったりしたロビーから応接室にごく自然に案内するルイスって、もしかすると?と考えながら行くとナラ材を潤沢に使った重厚な応接室に質素な服装の小柄な初老の女性が背筋を伸ばして座っていました。

ルイス:「ケイ、僕の母です。お母さん、僕の親友のケイを紹介します」

母親:「ケイ、初めまして!あなたの事はルイスからたくさん聞いてます。ようこそいらっしゃいました。なんだかキョトンとしているわね、もしかしたらタガログ語の方が理解しやすいかしら?」

ケイ:「いいえ、とんでもないです!ただこの様な場所でお会いできるとは想像していませんで少し動揺してたんです」

母親:「なるほど。どうやら、ルイスは自分の素性をあなたに教えていないらしいわね」

ルイス:「ごめんケイ。ぼくらは旅先で会った友人のままでいたかったんで身元を明かしていなかったんだ。ここはボクの家なんだ。そして2年前に父が亡くなったんで、ボクがここの主人であり相続した会社のオーナーてことになるんだ」

ケイ:「ボクはてっきり、さっきまで普通のフィリピン家庭の青年だと思っていたんだよ!ちょっとひどいなあ!」

ルイス:「ケイ正直に伝えなかったことを謝るよ!ただね、当時僕が金持ちの息子だと分かったら君は僕とあんな風にバックパッカー旅行しただろうか?」

ケイ:「・・・確かに、ボクの気持ちの中でリッチな若者という色眼鏡で見たろうね!」

母親:「どうやら、つもる話が長引きそうだから、ランチをしながら続きをしましょう」

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ケイがルイスに出会ったのは、パリのポンピドゥーセンターの庭にある「動く噴水」の近くで3人のアズテック音楽をやるグループをじっと聞いている姿になぜか声をかけたのです。

しかも「コモスタ・カ?」(タガログ語で元気?)と声をかけると、ルイスは振り返って目を丸くして「どうして、ボクがフィリピン人だってわかったの?」と聞き返したのが始まりだったのです。

ケイはJOCV(青年海外協力隊)でフィリピンに1年半ほど活動をしたことがあったのですが交通事故に遭い任期を短縮して日本で治療することになりましたが、脚の骨折の治療が長引き再び任地に戻ることができなかったのでした。

ケイはその後大学院に入学して本格的に国際協力を学び再び途上国で活動する道に進むのですが、仕事が決まってから2か月ほどヨーロッパ諸国をバックパックをしている最中にフィリピン人ルイスと意気投合して一緒に各地を巡ったのでした。

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ルイス:「ボクは毎晩君と話をしながら、不思議に思ったんだ。この若者は話に聞く『嫌な日本人』とは違うような気がする。これだけの学歴があり有名企業にも就職できる実力がありながら、途上国のために働きたいって言っているのだから最初は頭がおかしいのかと思ったよ(笑)」

ケイ:「そうだったね。安宿のドミトリーなんかでいろんな国からの若者と、これからの世界はどうあるべきだ、なんて白熱した議論をしたよね」

ルイス:「ボクはその時にこう思ったんだ、自分の素性は言わないでおこう。でも必ず後で会って正直に伝える時期が来るって思っていたんだ。今日それが叶ってとてもうれしいよ、ケイ」

ケイ:「うん、ありがとうルイス」

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。情熱のある人が素敵です!



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