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2020年マイベスト映画編③

12.デッド・ドント・ダイ

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ジム・ジャームッシュの新作でしかもゾンビ映画とはなんだっ!って事でワクワクしながら観に行った。
淡々と進んでいくホラーだけどグロが全く怖くなくてむしろコメディに仕上げるジャームッシュ。
死ぬ前に依存していたものに縛られ続けているゾンビっていう定義もロメロ作品へのオマージュみたいで観ていて楽しい。
ゾンビ映画は昨今多めに出てくるけれどグロ表現有りきだから苦手な人もいるかも知れないけれど、社会風刺や皮肉たっぷりな所に注目したらこれを入り口に面白く観れるかも。
コーヒー&シガレッツをはじめ過去の作品のパロディを突っ込んできたり。
ネタバレじゃないけれど出演していたパンク界のゴッドファーザーことイギーポップの「コーヒー」しか言えないゾンビをはじめ、あれもこれもでカメオ出演の豪華さたるや。
主人公のアダム・ドライバー。
斧を振り回すシーンがあるけれどライトセーバーをグルングルン回してるようにしか見えなくてもうスターウォーズのカイロレンそのまんま。
あとで知ったけれど、そんな演出だったらしく。
もしかしたら見つけていないオマージュが沢山組み込まれているのかも。
ジム・ジャームッシュの遊び満載ですね。
あとキーホルダーがスターデストロイヤーだった時はくすっと笑ってしまった。
一瞬なんで探してみてください。
それにしてもビル・マーレイ(ゴーストバスターズ出演)がおじいちゃんになってて時代を感じてしまった。

13.ばるぼら

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去年公開だったと思ってたのに年末になるとは。待ってました。
所謂、原作が手塚治虫作品の中で「黒手塚」と言われるダークなひと作品。
MWもすでに映画化されていたけどばるぼらは観てみたかった!
しかも二階堂ふみさんとまさかの稲垣吾郎さんっていう。
手塚眞監督だからもうたまらない。
芸術とエロティズム、オカルトにタブーな作品。
小説家の美倉(稲垣吾郎)がホームレスのばるぼら(二階堂ふみ)と出会って魅力に取り憑かれていくストーリー。
異常性欲にカニバリズムまでの禁忌が取り扱われてるし、こんなダーティーな稲垣さんを観たことなくてゾクゾクする。
地獄でなぜ悪い以来何かと観てしまう二階堂ふみさんも思い切ったトリッキーな役所でも違和感全くないし、ばるぼらのイメージそのままで。
ハマり役でムネーモシューネ役の渡辺えりさんには一番驚いた。
漫画からそのまま出て来たような感じ。怖い。
原作についての考察は山ほど出てるので省くけれど、上映中にとにかく読んでいる時のあの淫靡な感じが漂っていて凄くよかった。

14.ジョーンの秘密

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実話系スパイ作品ってだけじゃない。
平和ってなんだろって鑑了した後に考えさせられる。
大筋としてはスパイ容疑で80代のジョーンがMI5に逮捕されることで、過去に何があったのかこれまでどんな思いで生きてきたのかっていうストーリー。
原爆開発に躍起になっていた世界情勢時にソ連へ情報漏洩をしたわけだけどもどれが正義でどれが正しいのかわからなくなる。
時代に沿ったものが正しいわけではないでしょう。
広島原爆が軸にあって、純粋に良し悪しの判断に靄がかかる。
観終わった後にそんな気持ちになった。
ジョーンの若かりし頃の役でキングスマンに出ているソフィー・クックソンが演じて魅入ってしまう。
主演のジュディー・デンチは007のMのイメージでしかなかったけど少し観方が変わっちゃった。

15. リトル・ジョー

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「観葉植物のホラーってなんだね」と観に行ったもののなるほどねー!っていう新感覚ホラー。
世話をしないと枯れちゃうけど、ちゃんと世話をすると感じたことのない多幸感を味わえますという植物の開発に成功したことから物語が始まります。
だんだんと周りの人の行動がおかしくなっていくけれど、でもそれって本当にリトルジョーから出る花粉のせいなの?っていう。
不穏な空気感は最後まで続くけど画的なもの(明色彩)と音で終始不安が続く。
その点は流れで次に出すけれどミッドサマーに共通するところだったり。
色使いの恐怖ってあるけれど(陰影やブルーフィルムなど)決して暗いわけじゃなくそれでも怖くなる。
例えば対話している相手に現実味を帯びていないような価値観に不快を覚える精神面での恐怖が一際ゾッとする。
急変しますが、この作品はとにかくオシャレ。
ファッショナブルなホラー映画ってあんまりないしパッと思いつかない。
そんな意味でもやっぱりイギリス映画というだけあって007シリーズQ役のベン・ウィショーが出てるのも推せる。

16.ミッドサマー

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まぁ今年はどこでも話題になったミッドサマー。
結局モンスター大活躍の血みどろブシャー!なホラーよりもオカルトのおどろおどろしさが怖かったりする。
観に行ったのはR15の方でその後に公開になった少々長尺のR18は結局行きませんでした。
これまたA24作品でヘレディタリーのアリ・アスター監督ってだけで期待しちゃった。
90年に1度の祝祭に訪れて主人公ダニーをはじめとした5名が異様な風習で惨劇に巻き込まれていくっていう。
エログロが少しありのスリラー扱いなんだけども(ホラーと銘打ってない)、スリラーらしい伏線がありすぎて何が何だか。
あれはなんだの考察がしばらく続いていたので、観たあとでも楽しめるというだけのそんなありきたりな作品じゃなかった。
簡単に言うとルーン文字の意味や文化人類学を少しでも知識があったらこれはとなれる。
ネタバレじゃなく後半のひと山でSEXシーンがあるんだけれど「ふはっ!」と声が出てしまい、その後の笑いを堪えるのが大変だった(観たらわかるはず)。
怪作のウィッカーマン(ニコラスケイジのリメイクは無視)を元ネタにした土着的風習がテーマではあるけれど、そもそも今作ホラーの定義が狂ってるしそんな意味でも見もの。
主演のダニー役は若草物語のフローレンス・ピューなわけだけども、なんでこんな役を引き受けたんだよ!と突っ込みたくなった。
観終わったら両手を挙げてみんなで手を震わせよう。


次でマイベストのラストです。
17作目からいきます。


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