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映画「ヤクザと家族」の余韻が未だに抜けない

エンドロールで流れるKing Gnu常田大希が主宰する音楽プロジェクト“millennium parade”の主題歌”Family”の歌詞に涙が止まらなくなった。
ストーリーからなのか、はたまた刹那に胸が締め付けられたからなのか、歌詞から走馬灯にリンクしていくエンドロールがとにかくもうツラい。
映画「ヤクザと家族」を観てきた。
普段映画レビュー的なものはあんまり書かないけれど(年末にまとめてくらい)ここ数ヶ月内で観た作品の中でダントツに良すぎたから書いておく。
いざ言葉にしようと思っても何から書いていいのか分からない、そんな余韻に引っ張られてる。
来年の日本アカデミーで何部門獲るんだろうって今年の発表があったばかりなのでそんな事を考えてしまう。

<個人感想 〜ネタバレなし〜>

20年間に亘るヒューマンでテーマは"ヤクザ"という物語。
事前に予備知識なしに大まかなストーリーだけで映画を観るクセがあるので、予告を観た時に漫画の「莫逆家族」みたいな話なのかと思ってた。

綾野剛舘ひろしのタッグ作。
新聞記者の藤井道人監督作品で、20年という年月で社会環境が大きく変化した事を描きたかったそう。
1999年から2019年を生きた人ならばわかるはず。
義理人情を重きとした柴咲組と経済ヤクザの侠葉組の抗争の中に県警が絡む所謂ヤクザ作品だけれど昭和から平成にあった任侠モノとは違う。
親のいない山本がヤクザを通して家族を知り、恋人を通じて愛を知るストーリー。
キャストは豪華でキャラクターにどっぷり魅入ってしまう。
3年前に東映が打ち出した「孤狼の血」(続編公開期待大!)のような日活ロマン復活よろしく的なバイオレンスムービーとは逆サイド。
かつて「仁義なき戦い」「極道の妻たち」が代表作として溢れていた時代があった。
あの頃、劇場を出る客が風を切って歩いていると聞かされた。
余談だけれど、子供の頃にパイナップル(手りゅう弾の隠語)っていう言葉を覚えたのは極妻です。
ヤクザ作品を見てバイオレンスに興奮して濡れ場シーンでどきどきしてるそんな子供だった。
なので元々この手の作風が好きなだけかも知れない。

社会問題の落とし込みをヤクザにしているけれど、どこにでも溢れる生き辛さがリアル。
「義理」「人情」「筋」という言葉がある。
つまるところの任侠は日本人にとって物凄く大切なことだと思う。
歴史的に見てもそれが今まで繋いできたんじゃないか。
言葉のイメージではなく、本来の意味合いとして。
世の中に蔓延るネガティブな話題はどれもそれが欠けたものだったりして。
暴対法が当たり前になった世の中で隅に追いやられた人たちがいることは確かにすぐ近くにある。
もちろん暴力団・半グレはNGだけれど、ヤクザでしか生きられない人たちがいるっていう現実を通して想うことが沢山ある。
ちなみに抜けてからが地獄という話が生々しく描かれてる。
人権無視、生きる資格もないくらいに暴対法で追いやられているリアリティ。
監修はアンダーグラウンドでおなじみの実話ナックルズTABLOという二大巨頭で妙に納得してしまう。

バイオレンスがあるので苦手な人もいるかもしれないけれど、ノワール系作品が好きな人もそうでない人も本当に観て欲しい。
1月にしてこれを超える作品に今年出会えるか心配。
そのくらい感化されてしまった。
正に魂揺さぶられた。
近々”2ヤクザ”してきます。
MVを見て泣いたアナタと語りてぇ!!
そんな気分。押忍。


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