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テロの記憶 in New York (14): 10周年、そして20周年を迎えた現在

▶シリーズ初回
テロの記憶 in New York (1): 始まり
https://note.com/maca39inches/n/n37d2051568e3
▶前回
テロの記憶 in New York (13): その後の数年
https://note.com/maca39inches/n/nb2a7a74c2995


2011年9月11日、日本で東日本大震災が発生してからちょうど半年後のこの日は、テロから10年目になる日でした。 この日は日曜日で、私は、WTCでの式典をテレビやインターネットの中継で見たあと、10年前に立っていた同じ場所に行ってみました。 2つのタワーが崩れるのを見ていた、あの道路のあの場所です。

最寄りの地下鉄からその場所に着くまでがすでに、あぁ変わってないなぁと懐かしく思うところと、変わってしまってさみしくなるところの連続でした。 いざその地点に着いて、同じようにワールドトレードセンターの方向を見てみると、10年前のことはもちろん思い出すんだけど、それよりも、この10年あれからいろいろあったんだよなぁ、早いなぁ、ほんとに10年も経ったのかな、という気持ちになっていました。

10年前とは見える風景が全く違って、あの時のツインタワーはなくなり、新しいビルが建っているけど、そのことをゆっくり反芻する気持ちにはなれませんでした。 あの時のことは、私にとってまだ終わっていない、まだ気持ちの整理はついていないんだ、と思いました。 曇り空が、私の気持ちを表しているようでした。

その翌日、2011年9月12日、the National September 11 Memorial & Museum (9/11 Memorial & Museum) が一般にオープンしました。 私はずっと行く気になれなくて、まだ行ったことはありません。

その後私は日本に戻り、現在、テロから20年目を迎えました。 20年目の節目ということで、9月11日になる前から、各メディアでの報道が多かったですね。 日本でもいろいろ見かけました。 それらを見ながら、当日のことやその後起こったこと、世の中の変化などを自然と思いだしていました。 そして初めて、このことを自分の中から出して、言葉にしてみようと思ったのです。

文章にするにあたって、今まで無意識に避けていた、事件のときの映像などをオンライン上で探して見てみました。 初めて見るものもあったと思います。

また、何時何分に何があった、というタイムラインをじっくり見直すと、気付いたことがありました。 私が学校の教室から階段を使って降り、外に出た瞬間に見た爆発の炎は、2機目の飛行機がサウスタワーに突入したときのものだったのではないかということです。

私はおそらく、1機目の突入、2機目の突入、サウスタワーの崩壊、ノースタワーの崩壊の全て、直接居合わせて目撃していたのではないかということを、今回20年目にして初めて認識しました。

こうやって言葉にできるまで、私の場合は20年が必要だったのだなと思います。 そう考えると、ここ30年ぐらい日本で発生している大災害などを経験したかたも、心の傷をまだ言葉にできずにいても不思議ではありません。 ほかにも、広島や長崎での被爆体験をお持ちのかたが、戦後50年以上も経って初めて体験を語り始めた、ということもあったようです。

人間の心はすぐに揺らいで脆いのかと思えば、そんな状態でも何とか生きていこうと強くもあるのですよね。

テロ30年を迎える時には、また違った気持ちになるのでしょうか。 いま初めて、次にニューヨークに行く機会があったら、9/11メモリアル&ミュージアム を訪れてみようかな、と思っています。


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