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銀ちゃんといっしょ 57

アウトドアでアソブ

私は元々アウトドアには縁がありませんでした

都会育ちだった事もあるし
父親が全くといって良いほど
〝子どもたちが喜ぶ事〟
などに興味がなかったからです

年に一度
母親が全ての段取りをして
父親の職場の保有する東京近隣の保養所へ
ぞろぞろと行っていただけでした

私が覚えているのは
駅のホームで荷物を全て母親に任せて
ポケットに手を突っ込んで
煙草を吸っている父親の姿でした

あとは……あとは……

保養所の横を流れる川の流れの音が
すごくうるさかった事でしょうか

それとは正反対に
主人はアウトドアで何日でも過ごせそうな人です
火を興したり
飯ごうでご飯を炊いたり
自然のものを使って遊んだり
高い所も暗い所も水も怖くありません

3人の子どもたちがまだ幼稚園に上がる前から
海へ 山へ 川へ 雪山へ……

私は子どもたちと同じレベルです

どんな格好をすれば良いのか
どんな準備をすれば良いのか
全くわからないところからでした

運動神経も自慢できるほど悪いので
(脚立の二段目以上に上がれないレベル)
とにかく
おにぎりとみんなの着替えの準備をするだけ

そうしてついて行くだけでした

子どもたちは毎回遊びきりました

海へ行ったら
朝一番に浜辺で陣取り
陽が暮れて誰もいなくなるまで遊んでいたり

川へ行ったら
石を積むだけで何時間も遊んだり

雪の積もった山道では
何十回も汗をかくほどそりで滑り降りたり

良い経験をさせてやれたと思っています

子どもたちが大きくなり
私の母親が病づいて施設に入ったりして
そういう遊びもなかなかできなくなりました

去年の今ごろ
主人が寂しそうに
〝河原でバーベキューをやりたいな…〟
と呟きました

私は正直なところ
家の中で快適温度の中でゴロゴロしているのが
一番好きです

聞かなかったふりをしようかと思いました

実際
2回ほど聞こえなかったふりをしました
内緒です

聞こえなかったふりのまま
主人がいない時に子どもたちに言いました
〝父ちゃんバーベキューしたいって〟と
子どもたちは快諾してくれました

良かった…!
めんどくさがっているのは私だけのようです

もう私のする事はほとんどありません
準備でも現地でも
飯ごうでご飯を炊くのも
子どもたちだけでやりました

お肉とソーセージばっかりだった昔と違い
海鮮があったりキノコ類が増えたり
焼き肉のタレだけではなくポン酢があったり

満足そうな主人と楽しそうな子どもたち

私は胃を切ったせいで消化不良を起こすので
あまり外では思うように食べられないけど
その平和で楽チンなバーベキューの様子で
お腹いっぱいになりました

昔のように
誰かが溺れかけたとか
うんちもらしちゃったとか
ハプニングは何もないけれど

じわじわっと焼けていくお肉のように
静かに静かに時が流れ
美味しく美味しく噛みしめるような幸せ

抜けるような夏の青空のもと
そんな河原でのバーベキューでした

今年は長男がバイクで旅に出たり
長女の部活が毎日のようにあったりして
家族で遊ぶ予定は何もありません

そうして1人ずつ巣だっていくんですね

寂しい?

ホッとしています

内緒です

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