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今、痛感するM&Aの価値|ニュース解説

自粛期間真っ只中の4月21日に執筆しています。
不況を経験したことのない経営者からすれば、今ほどCash is kingという言葉の意味を痛感することはないでしょう。僕も金ないので泣きそうです。

下記はM&A BANKの動画です。
不況時にはじめてM&Aの価値に気付く人経営者が多いだろうという話をしています。
先日のプレミアム記事でも言及しましたが、今回はそこを深掘ってみます。


今、痛感するM&Aの価値

もっと現預金を貯めておくべきだった、M&Aを検討すべきだったと言っても意味はありません。
過去には戻れないのですがら、今何ができるかを考えるべきです。

まず大前提として、何をするにも死なないためのCashを確保する必要があるので、政策金融公庫の融資を筆頭に資金確保しましょう。
そして、多くの会社がビジネスモデルの見直しを行うと思います。流石に現在のビジネスをオペレーション含め全く変える予定はないという経営者は少数派だと思います。

それと同時に、M&Aも現実的な手段としてリアルに考える方が増えると思います。
なぜなら、キャッシュを手元に確保するため、会社をスリム化するため、事業ポートフォリオを入れ替えるため、M&Aはとても有効な手段です。
何も全てを売るということでなくても、会社の株式の一部売却(増資含む)や、一部事業の譲渡などもあります。

また、上記は1年程度の短期の話を想定してますが、中長期でも実は同じことです。
キャッシュの確保や事業の入れ替えは本来いつの時代も必要です。
ただそれが認知されていなかっただけで、もはや出資含む広義のM&Aは全ての企業、経営者にとって必須の経営手法になると考えています。


今、買い手を見つけるのは難しい

とはいえ、今の状況で買い手や出資者を自力で見つけることは相当ハードルが高いです。
個人的には去年までと比べ、意欲的な買い手の数は8割減といった印象です。

自力では難しいからM&A仲介会社などに依頼することも当然あり得ます。
今まで売却希望の方からの問い合わせ時に、FAや仲介会社に紹介するケースもありました。
ただ、仲介会社にも優先順位があり、必ずしも積極的に買い手を探してきてくれるわけではありません。
そこで、M&A BANKでも人力で買い手候補に打診するケースもありました。
昨日新サービスをリリースしましたが、これは正にここの非効率を解消することが目的の一つです。

なので、もしも少しでも売却を考えるならば、信頼のおける仲介会社などに連絡してみる、M&A系のwebサービスに登録するなどできることをすぐに行動をとることが望ましいです。


価格の考え方

買い手候補は見つかったとして、希望金額で売れるかはまた別の話です。
想像通りだと思いますが、売り手から見ればやはり今は良い値がつきにくいです。
買い手は減っており、また新規投資に慎重になっている状況なので当然のことです。
もちろん、一部にはこれを好機と考え積極的な買い手もおり、希望金額が通るケースもあります。
それでも多くの場合、やはり昨年までのようには中々いかないでしょう。

ただ、だからといってこの考え方は危険です。
「去年より今の方が売却金額が低いから売らない」

なぜなら、そもそも去年と今(もっというと今後)は全く経済環境が異なるためです。
売却金額が希望より低かろうが、事業の一部を縮小売却して将来性のある事業にフォーカスする、という選択肢も十分魅力的なはずです。
景気が回復するまで我慢し続けるのも一つの手段、一方今売却することで次のチャレンジをしたり抜本的な出血防止策をすることも一つの手段です。
そのため、単純に売却金額だけで判断するのは危険なのです。

今回はいつもにも増して「M&Aすべき」的な論調でしたが、M&Aサービスを始めたから言っているわけではなく、これは以前から一貫して言い続けていることです。
ただその必要性が今、より一層増しているということです。



執筆者

冨岡 大悟  M&A BANK株式会社 代表取締役/公認会計士
KPMG/あずさ監査法人のIPO部に所属。IPO関連業務、M&AのDD、会計監査等に従事。フロンティア・マネジメント株式会社にて、M&Aアドバイザー業務等に携わる。その後オーストラリアに駐在、日系企業の海外進出支援・事業開発業務等に携わる。帰国後、TOMIOKA C.P.A OFFICEを開設。IPO、M&A、資金調達、事業開発等のコンサルティングを行う。同時に、IdeaLink株式会社の取締役CFOの他、上場準備会社を中心に3社の社外役員に就任。

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