見出し画像

Prologue

Europe Trip 2016

成田で泣いたのはこれが初めてだった。


徹夜が連日続いた中、1月23日、父の車で成田へ。
PM8:00過ぎ、荷物が不安なため、一度開けてチェック。
洗濯洗剤が一つ足りないことに気付く。
PM8:30チェックイン。雪のため出発が早まったことを知らされる。
PM9:25にゲート前だった。急いでセキュリティへ。
人もまばらな成田。父とハグをすると、ここ数日の忙しさからの解放か、これから始まる旅への不安からか涙が出てきた。成田で泣いたのはこれが初めてだった。自分でもなぜ泣いたのか、明確な理由はわからない。
父に背を向け、セキュリティチェックへ向かった。
父は私の涙に気付いただろうか。

搭乗ゲートに着くと、時間はギリギリだった。ゲートはイミグレを通過して右手一番奥だった。いまだ涙は止まらず、ふと聞こえてきたアナウンスに耳を傾けると、出発が先ほどの時刻からさらに15分遅れるとのことだった。あたふた忙しいトルコ航空を見ていると次第に涙も引っ込んだ。飛行機の出発直前までSNSで友達と「行ってらっしゃい」「行ってきます」のやりとり。
いよいよ飛行機の扉が閉まった。もう戻れない。行くしかない。3月13日にまた母国日本の土を無事踏めることを祈るばかりだ。

飛行機の機種は少し古めだったが、シートが全てトルコブルーなことが少しうれしかった。青は私の好きな色だからだ。しかし私の席のモニターがどうも調子が悪い。お気に入りの映画「マイ・インターン」を見つけたのだが、再生ボタンを押しても画面は真っ白なまま。「戻る」「再生」をそのまま三回ほど繰り返し、諦めた。

機内では食事もあまりのどを通らず、ほとんど寝て過ごした。もうロングフライトには慣れっこなのでとにかく13時間爆睡した。

降機時、隣の席の日本人男性と少し話した。彼は出張で同じくイスタンブールで飛行機を乗り換えたあと、ドイツのシュッツトガルトに向かうそうだ。私の荷物を手伝ってくれたこのやさしい紳士に短かったが別れを告げ、イスタンブール=アタトゥルク空港の乗り継ぎデスクへ向かった。

ここからが長かった。日本を早めに出発したため、空港で7時間も暇をする羽目になった。まるでいつぞやのアブダビでの乗り継ぎを思い出す。
その時も早めに着いて早朝3:50くらいで次の便が11:30.今の私は4:00に着き、11:30.なんとも因縁深い。

今回は直行便でイスタンブールに来たが、前回はイスタンブールに来るためにアブダビで7時間。何とも言えない思いを馳せながら、ここでも私はバッグを両腕でホールドして寝ることに決めた。(wifiはつながらない。)
寝ても覚めても時はうまいこと刻まれていない。寝るのにも飽きて、散歩がてらフロアを歩くことにした。場所を変えればもしかしたらwifiがあるかもしれないと期待しながら。

端から端まで歩いて、そろそろ荷物をのせた肩がつかれてきた。wifiは見つからなかったが、ショッピングカートは見つかった。荷物をそれに載せ、どうせ時間が余ってるしコーヒーでもと思い、スタバを覗くが、カフェラテいっぱいに1400円もした。馬鹿らしくなり、なぜかここで「飲んだら負けだ」と変な意思が働いた。他のカフェを覗くが、1杯8€が一番安かった。


1杯のコーヒーを飲むのにそんな払えるか!!!


と学生貧乏を泣かせにかかるトルコイスタンブールであった。

乗り継ぎのフライト2時間前、やっとモニターに搭乗ゲートが表示された。成田と同じくらい遠い308ゲート。どうやらそのまま搭乗はできないらしく、一度バスに乗るみたいだ。表示を見てすぐさま移動したからか、まだ二つ前の同じゲートの飛行機搭乗の案内中だった。とにもかくにもやっとまた座れるところを見つけたので、ここで本を読みながらこのノートを書きつつ待つことにした。

まだ暇なので、ここで私が読んでいる本の紹介をしよう。この本は"Neither here nor there"というBill Bryson氏によって書かれたヨーロッパ旅行記である。今回の旅の前、2015年秋に行ったハワイで友人におすすめされ、ラッキーにもいただいたのである。実は先ほどイスタンブールに着いた時もこの本のイスタンブールの章を読み終え、そしてさっきまでミラノの章を読んでいた。読む章の順番は順不同になってしまっているが、まぁいいとしよう。

--1月24日10:47


1月24日 11:43 ゲートを出ると、外は雪だった。なんということだ。先ほどの305は嘘だった。待てども表示が変わらないのでおかしいと思いもう一度フライトチェックしてみると503と表示されていた。フロアのマップを見てみるとまさに真逆。真反対のゲートだった。時刻はもう出発まで1時間を切っている。私は急いだ。頭上の案内板を見ると500~505ゲートまで15分と書いてある。私はさらに急いだ。

やっと着いたらまだ搭乗は始まってないかった。だが乗客はしびれを切らしているのか、ゲート前に押し寄せていた。ここも同じくバスで移動するのだが、周りを見渡してもやはりアジア人は私だけのようだった。やっと席に着いたら3人がけの真ん中の席だった。また真ん中。私はアフリカ系の男女に挟まれる形になった。

私の右にいる男性はスマホでしきりに自撮りをしている。飽きないのかと突っ込みたくなるくらい撮っている。まるで初飛行機のように撮りまくっている。時折私と窓側に座っている女性も写そうとばれないように撮っているようだが

ばれてるぞ。

ちなみに我々の席はビジネスの後ろ。04のBだ。私からしてみるとこの機体でのビジネスとエコノミーの差はあまりみられない。なぜなら席のタイプが全く一緒だからだ。きっとサービスが違うのだろう。しかし狭い機体だなぁというのが私の印象だ。

ーー1月24日 11:56(もう出発時刻は過ぎている。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?