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魂を撫でて貰えた日

魂が震えたこと、ありますか?


私は今日、心臓という物質のもっともっと奥に光る魂の揺れを、身体全体で感じていた。

画面越しに映る人を見ながら、こうやってこの人は、人の魂に触れて、時に人の人生を大きく変えていっているのだろうと思った。


14時半から始まったzoomで、私は何度も練習した質問をしたり、対話の中で生まれる質問もした。

白い壁の前で白い半袖のTシャツを着ているその人は、私の拙い言葉をすぐに、地図に変換していった。

まるで、迷路の中で迷子になった私に、空からヘリコプターで助けに来るように。
空から、命綱が降りてきて、それに捕まり上まで引き上げてもらう。

恐る恐る地面を見下ろすと、そこには、始まりと終わりがちゃんとある真四角の迷路があった。


私は、30分間のzoomの間、終始、魂が振動していた。

メモも取らず、一言一句聞き逃さないように、目の前の白色の世界に注力した。
今ここで感じている全てのことに、感動しながら。

「人生で初めて」「生まれて初めて」
こういう言葉に信憑性を持たせて、人に伝えるにはどうしたら良いのだろうか。


私は、紛れもなく、生まれて初めて、尊敬する人と出会い、人生で初めて魂が震えて、そして、初めて、この人みたいに生きたいと思ったんだ。

脳が動いて、心臓が動いて、あーもっと、早く動いてくれないと、もっと早く言葉を処理してくれないと、そんなふうに焦ったく思いながら、私は、失礼のない言葉を紡ぐことに必死だった。


「ありがとうございました」という言葉が、心の中で溢れ、口から言葉として、鬱陶しくならない程度のマイルドさを保ち、伝えられていく。

30分間という時間が終わり、窓を全開にする。

緊張で熱った頬を触り、一気にペットボトルに残った水を飲み干す。

初めての感覚に陥りながらも、泣きそうなのか、嬉しいのかわからないままに、私は、魂が震えているんだ、これは、と実感した。


私、そんな人に出会ったんだ、さっき。
いや、そんな人を見ていただんだ、ずっと。

ソファに腰を下ろし、息を整える。

その人の2日前のyotubeの動画が脳内で流れていく。

「実は僕、なかなか人に会いたいとか感情ないんですよ」
「憧れないタイプなんで誰にも」
と話しながら、自分からお願いして会うことが決まったというゲストとの対話が始まっていく。


お礼のDMを作成しながら、私は、30分間という時間について考えていた。

30分間という短い時間を、私もこんなふうに、自由自在に取り扱っていくことができるだろうか。

私が、私でいて良かったと思えるような返信を頂き、今、これを書いている。


少しだけ目に涙を浮かべ、自分が書いてきたものが、”届く”という有り難みを噛み締めた。

次は、これからは、明日からは、
いや、今日から、

私も、人の魂にそっと光を宿せる人間で在ろう。


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