朝の宣言
「私、最近なんか焦ってる。子どもたちに絶対、余計なこと言いそう。今日は学校の話はしないって、今ここに宣言しておく。そうしておかないと、台無しにしてしまいそうだから。」
朝のニュース番組を見ながら、パンを食べている夫。
私は顔を洗ってから、決意表明するように、唐突にそう夫に宣言した。
子どもたちはまだ眠っている。
新学期が始まって1週間が経った。
相変わらず、不登校の我が子たち。
のんびり、私たちのペースで向き合っていこうとスタートした2学期だったけれど。
不意にインスタで流れてきた『ゲームと不登校』という本。
一気に読んだ。
私の気持ちは焦っていた。
早くゲームをやめさせなくては。学校に行かせなくては。
なぜこうも、私は影響を受けやすい性質なのだろうか。
本を読んで、ゲーム依存の恐ろしさや、それに伴い長引く不登校への影響を知った。
不安が襲ってきたのだ。
居ても立っても居られず、方向転換を試みた。
子どもたちに、学校の話を持ち掛けてしまった。
長男には、明らかに、時期尚早だった。
長男の反応を見たらすぐに分かった。
そこで、私は冷静になることができた。
何事も段階というものがある。
落ち着いて、一歩一歩だ。
子どもたちの様子を見ながら、一歩ずつ。
今までやってきたように。
焦る気持ちは抑えなくちゃ。
今まで大事に育んできたものを、台無しにし兼ねない。
だけど、襲ってきた不安は拭いきれてはいない。
きっと私は、不安をそのまま子どもたちに投げかけてしまう。
それをしない為に。
心で思うより、声に出す。
そのほうが良い気がした。
感情に引っ張られそうになる自分を、抑えられる気がした。
だから私は、夫へ宣言したのだった。
「そうだね」と夫は言った。
やっぱり、そうだよね。
話して良かった。
揺れていた不安な気持ちが、少し落ち着いた。
焦らずに、一歩一歩。
この調子で、大丈夫。
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