見出し画像

高校教師はデザインに目覚めたかもしれない。

私は昨年広告代理店をやめた45歳の中年なのですが、ある高校教師と一緒に「あの県のあそこにホテルを作るプロジェクト」をやっています。

約10歳下の彼は、彼の地ではそこそこ名の売れた「名物教師」で、その地のテレビ局に紹介されること多数、その地のスタートアップ界隈でもけっこうな有名人です。

高校でダンス部を立ち上げて1年で全国大会に導いたり、企業と高校生のコラボでイベントをしたりしてます。

もう、隠すのもめんどくさいな。

「鳥取砂丘にホテルを作るプロジェクト」を一緒にやっているのですが、教師一筋10数年の彼の常識は、代理店一筋20数年の私の常識とは全然違っていて、日々、切れそうになったりします。(そして、間違いなく彼も切れてる。)

ちょうど昨日の朝、クラウドファンディング用のサイトを立ち上げたのですが、その立ち上げ作業はまさに戦いでした。

彼からあがってくるサイトイメージは、高校の学園祭レベル。

大人向けのサービスのサイトなのに、少女漫画のようなピンク系統の配色+丸い文字。色調の全く整わない画像、冗長な文章。指摘すると「え?なにかまずいですか?」と、素で言ってくる感じでした。

「大人向けなのにこの自体、色使いはどう思いますか?」

「今回のお客さんを考えたときにどういう写真だとお客さんが気にしてくれますか?」

まがりなりにも20数年代理店にいた私からすると、1年目の社員でも気にするようなことを彼は全く気にしていない。

気にしていないのではなくて、気になってすらいない。

「この文章はあなたが言いたいことを言ってるだけで、受け手がどういうふうにとらえるかを考えていますか?」

「説明は、あなたの知っているすべての情報をいったんゼロにして、ゼロ知識の人が読んでもわかるように書いてください」

などなど。

あーだ、こーだと2週間くらいやりとりをし、いよいよあと3日後にはサイトをUPしないといけないとなった日。高校教師からこんなメッセージが入りました。

「あそこの説明の部分はもっとオシャレな感じにしようと思って画像を加工してみましたけど、どうでしょう?」

「え?オシャレにしたい?」

そんなこと初めて言われたので驚きながら、見てみるとこれが見事なまでにオシャレになってなくて吹き出してしまいそうだったのですが、しかし、彼はサイトの中のある部分を「オシャレにしたい」って言ってきました。

「ここの部分はオシャレにしたい」と彼は思い始めたのです。

そして、今日。イベントで配るチラシを一緒に見てたら、

「ここのところ、ちょっとなんですけど画像と文字のキワがあってないんですよ。昨日は深夜まで作業してたので気づかなかったんですが、深夜にプリントアウトしたのを朝見たら気づいちゃって」

と、おっしゃる。

実際にはキワがあってないところは他にもあって「そこだけじゃないっす。。。」と思いながら、でも、彼はデザインをする上で数mm、0.数mmというところ調整しながら、バランスを取っていくということが重要ということに気づき始めたのです。

デザインで何を伝えるか、文章で何を伝えるか、そういうことに無頓着だった彼は明らかに変わりつつあります。早晩、オシャレにしたいページはオシャレに作れるようになるはずですし、キワがあっていない画像にはたちどころに気づくようになるはずです。

「こうしたい」と思うこと。とか、
「ここが違うのかな?」と思うこと。

それがすべての始まりだと思いました。


しがない(ほぼ)無職の中年ですが、サポートしていただけたら喜びます。