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環境省×経済産業省が考えるEVモデル事業とは?

こんにちは。MaaSHack編集部の横山です。

みなさん。電気自動車を購入する際に、国から補助金が出ているのをご存知でしょうか?
令和2年以前まで経済産業省が中心となり、購入金額に応じて補助金を交付していました。
令和3年についても、電気自動車・燃料電池自動車等の普及拡大を目指し、補助金が出る形になっています。
ただ今年は大きく異なる点があります。それは、ある条件を満たすと環境省からも補助金が出るのです。国の狙いやその制度についてご説明いたします。

令和2年度補正予算で実施される新しい補助金の目的は
グリーン社会の実現を進めるため、下記の3つを目的としています。

1.電気自動車・燃料電池自動車等の導入拡大 と同時に
2.日常・非常時ともに活用できる充放電設備/外部給電器の普及
3.再エネ電力を使ったゼロカーボンのライフスタイルの普及を促進

1については、言わずもがな、次世代自動車の普及拡大のためです。
2については、日常・非常時ともに活用できるV2Hを普及させるためです。
V2HはVehicle to Homeの略。クルマを家庭用電源として利用する仕組みです。

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《V2Hのイメージ図》


今回環境省も補助金を支払うことになった大きなポイントは、3つ目になります。

それは
3.再エネ電力を使ったゼロカーボンのライフスタイルの普及を促進


こちらは2よりはイメージしやすいかと思います。「再エネ」=再生可能エネルギーの需要を増やしていこうという狙いとともに、電気自動車と組み合わせることで電気自動車が「発電から使用までゼロ・エミッション」に近づくことになり、カーボンニュートラルを目指すというものです

キーワードは「EV」と「再エネ」です。
電気自動車の購入とセットで再生可能エネルギーに自宅の電力を切り替えると補助金が増額されるのです。国が電気自動車を販売普及とセットで再生可能エネルギーを普及させることにより
カーボンニュートラルの実現を目指しているのです。

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■EVは動く蓄電池?
EVの普及は、温暖化対策をはじめとするエネルギー問題にも大きな変化をもたらすと考えられています。
走行中に温室効果ガスを排出しないという環境貢献はよく耳にするとおもいます。
ただ、それだけでなく大きな可能性を秘めているのです。それはEVを動く蓄電池としてとらえるということです。
現在、EVには外部に電力を供給する機能が備わっています。V2Hと太陽光発電システムを組み合わせることで、電気代の削減に貢献できます。
太陽光発電システム(4kW)とバッテリー(20kWh)の組み合わせで、1 年間の家庭の消費電力(4,980kWh)と EV走行(約1 万㎞)に必要な電力の59%を賄えるという試算もあります。

 またよりEVが普及していていくと、家庭だけではなく、各地域や各電力会社との連携も実証が進められています。
EVに蓄えられた電力を大手電力会社が管理する電力網に供給する技術は「V2G(Vehicle to Grid)」と呼ばれています。
現在、太陽光や風力など、再生可能エネルギーの導入が各地で進んでいますが、太陽光や風力の発電量は天候に影響されるので、悪天候などによって出力が大きく変動する可能性があります。
出力の変動は、電力の品質に影響し、最悪の場合、停電などの原因にもなりかねません。
そこで、再生可能エネルギーの発電量が潤沢なときに電力をEVに蓄電し、必要なときにEVから電力網に電力を供給することで、安定的に電力システムを運用することも考えられています。

 例えば、日本の離島では、EVを、再生可能エネルギーと組み合わせて送電網の代わりに活用する実証実験が行われています。

 このようにEVは新たな自動車という側面だけでなく、社会の新たなインフラとしても期待されています。
バッテリーの低価格化と高性能化、そして充電設備の充実、EV100に代表される企業や各国政府の後押しによって、EVの普及は今後加速する見込みです。
EVが「動く蓄電池」として社会インフラを担う日は、すぐ近くまで来ているのです。

今までのEVは走行中における「温室効果ガスの削減」効果だけでなく、より広義で捉えることで可能性は広がってきます。
RE100やESG投資の文脈の中で、企業における環境貢献の重要性が高まってきています。
環境負荷の少ない企業経営について考えるときも、EVは今後ますます重要なキーワードになっていくはずです。

<参考>

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<作成者プロフィールを記載>
株式会社リブ・コンサルティング
チーフコンサルタント
横山 賢治

同志社大学経済学部経済学部卒業後、大手電機メーカーを経て現職
モビリティ業界をメインコンサルティングに従事
《主なコンサルティング実績》
大手自動車部品メーカー事業開発支援
MaaS(ライドシェア)の実証実験構築支援
ベンチャーにおける事業戦略立案・グロース支援
カーディーラー様向けCRM構築支援
カーディーラー様向けマーケティング戦略構築支援




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