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私の家への道順の推敲ー詩ー

山手線を中央総武線が貫いた図は陰陽道を模していることは周知の事実である。総武線は成田山からの気を持ち込み、中央線は高尾山からの気を持ち込む。そのほぼ真ん中にあるのが市ヶ谷である。
JRの地上改札を出て前方右手に書店が見えるが、向かうのは左。3台並んだ自販機の前を通り、市ヶ谷橋を渡る。下に、数々の作品で見慣れた釣り堀が見える。多くの人にとって見たことはあっても入ったことのない場所。フリー素材化していると言っても過言ではないが、その傍に併設された小さな熱帯魚屋は、あまり目立たない。
橋を渡るとこの近辺には少ないスーパーと、多すぎる薬局に突き当たる。コンビニより薬局の方が多い街。医学部を目指す予備校生は左に行くが、今は右に向かう。
美術大学のキャンパスにしてはあまりに地味な居抜きのビルを左に眺め進むと、印刷会社の運営するショップがあるのが目印になる。カフェ以外はほとんど暇そうで、店員はいつも店内のレイアウトを見直し続けている。ここを左に曲がる。
左手に蔦の蔓延る大きな壁。少し進むと急な坂を見つけるだろう。見つけるだろう?この坂がデリバリーの店員には見つけられないようなのだ。追跡アプリで見ていると、何度もこの坂の下を行ったり来たりして、遂には電話がかかってくる。
坂があるでしょう?と言うと急に出現するその坂を登ってもらうか、坂の下までに迎えに行く必要がある。
ともかく、その坂の存在に気付けたならゴールと言って良い。買い物帰りや妊婦には何でこんなところに家を借りたのだと思える急な坂を登りきった先にあるのが我が家だ。
言うまでもなく、この辺りは駅が密集しているので飯田橋駅や牛込神楽坂駅からでも坂さえ見つけられれば簡単に訪れることができる。


感想

谷川俊太郎「私の家への道順の推敲」のオマージュです。
今はこの家には住んでいないので私を訪ねる場合はTwitterでDMでもください。オープンマイクかMCバトルか居酒屋で会いましょう。

7月29日、主催を務めたKotoba Slam Japan 東京中央大会が無事に執り行われました。
4時間強のイベントの司会を一人で行ったのは初めてでしたが、運営に慣れた皆様、参加者の皆様、観覧の皆様のおかげで素晴らしいイベントとなりました。

次の自分の大会参加は10月のKotoba Slam Japan 群馬大会となります。その前にどこかのオープンマイクなど行っておきたいものですが。

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