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【フランス旅行】 中部フランス・オーヴェルニュ地方、クレルモン=フェランの2日間_1日目(その3)

この記事は、《中部フランス・オーヴェルニュ地方、クレルモン=フェランの2日間_1日目(その2)》の続編として書かれています。

列車がクレルモン=フェランに到着したときには雨はやんでいた。しかし、夏も盛りだというのに雲は低くたれ込み、どんよりとして蒸し暑い。旅行用の重いバッグを抱え、少し歩いただけでじっとりと汗がに滲む。日本の蒸し暑さほどではないけれど、それでも、汗で衣服が身体にまとわりつき気持ちが悪い。

数年前に宿泊したホテルに部屋の空きがあれば、そのホテルに宿泊しようと思う。ホテルは、街の中心地にある広場から放射状に広がる細い路地を入り、数分の所にあったはずだ。あの時は駅前でレンタカーを借りたのだが、今回は徒歩。

重い荷物を持ち、そのうえ蒸し暑いこともあり、中心地の広場までずいふん遠く感じた。

広場の中心に立ち、身体をぐるっと一回転させた。それとともに、この街も一回転した。クレルモン・フェランに着いたとはじめて実感できた。「クレルモン」「フェラン」。私は言葉を切ってこの土地の名を告げた。

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ホテルを見つけるのは簡単だった。細く薄暗い階段を上がるとフロントがあった。
フロントには若い女性がいた。部屋の空きはあるのか尋ねてみた。彼女は「先ほど電話された方ですか」と言った。先客が部屋の有無を確認したのだろう。「いえ、わたしではありません」と答え、部屋を2泊で求めた。2泊である理由は少しもないのだが、なにげなく2泊と告げたのだ。
(下の写真は「写るんです」で撮ったため、粗い映像です。)

フランス・クレルモンフェラン・ホテル-01

部屋はあった。フロントと同じフロアの明るい部屋。
内部は改装され、以前よりきれいになっていた。
荷物を置き、ベッドに横になると不意に疲れがでてきた。
今日はあまり動きまわらない方がいいだろう。2泊するのだから、少しも焦ることはない。そう言い聞かせると、わたしの身体はベッドに深く沈み込み、瞬く間に眠りについた。

目が覚めたのは夕刻の6時を過ぎた頃だろう。テラスに面した部屋の窓から、柔らかな光が差しこんでいた。目覚めたのだぞ、と思うとともに、わたしの身体は重力をなくしたような気がした。私はここにいてここにいない。意識と身体は分離して、いまだ眠りの領域いるのだ。

しばらくベッドに横になり光を眺めていると、街の喧噪に気づいた。急にお腹がグーとなった。パリ到着前、機内で軽い朝食をとってからなにも口にしていないのだ。
さあ、これから街に出よう。そして、フランスで最初の食事をとることにしよう。ここは中央山塊。近郊には日本でもよく知られるブルーチーズ、サン・ネクテールを産出する村もある。パリや南フランスにはない、山岳地帯特有の地料理があるに違いない。

《中部フランス・オーヴェルニュ地方、クレルモン=フェランの2日間_2日目(その1)》に続きます。

(日曜映画批評 たまにトラベラー:衣川正和🌱kinugawa)


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