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実録・赤名リカを追え。vol.1

東京ラブストーリーという社会現象


「東京ラブストーリー」に今、どハマりしている。アマプラで観られるのだ。1991年のドラマである。当時、オンエア時間帯に街からOLが消えたという逸話があるらしいが、30数年ごしにアラフォーOLにまで中毒性伝播してて草しか生えない。名作なんだな、つくづく。

実はリアタイで一度観たドラマでもある。でも当時私は小学生で、しかも人生初の恋愛ドラマだったりしたもんで、正直内容をほとんど覚えておらず。恋愛うんぬんというよりは、社会人って華やかで楽しそうー的に眺めていた記憶がある。一丁前に、なんだこの女(さとみ)と思ったり、結末納得いかねーと思ったりしたのもそれなりに覚えている。そういう意味では分からないながらもなんとなくリカ派だったのだな、当時から。そう、今改めて私は圧倒的にリカ派だ。猛烈にリカ派だ。語りたい熱がほとばしって久々にnote立ち上げるぐらいにはリカ派だ。

客観的にはどう見てもうざいのだ。重いのだ。田舎から出てきてしょっぱなあんな女に出会ったら、その後恋愛恐怖症に陥る未来しか見えない。田舎に帰る理由にすらなりそうだ。「永尾完治の厄難」という副題でもおかしくない。それでも私は壮大にリカ派なのだ。語りたい。なぜ自分がこんなにもリカ派なのか自己分析的な方面でも書き残したい。というわけで、書く。主にリカの言動について超絶に寄り添いながら書く。半ば暴走気味に書く。情熱とともに書く。まじでなんだこの情熱。ハートスポーツのロゴグッズ欲しいまであるわ。(ネタバレします)

ポジティブとネガティブの同居した女

いきなりだけど、赤名リカと永尾完治の出会いのシーン。あそこで流れるあののっぴきならないBGMいいよなーしかし。この先待ち受けるものが”恋愛”の枠組みに収まりきらないであろう予感をびりびりと感じさせる。主題歌「ラブストーリーは突然に」も含めて劇中曲がことごとくいい。てか刺さる。たまらない。

まさに今愛媛から出てきて今後の東京生活を不安がる完治だが、一方で「今この瞬間を生きろ」などとアドラーみを見せるリカ。ど頭から複雑なんだよ。一見して「過去も未来も意に介さない」ふうなんだけど、元気を押し売りしてくる辺り、元気を正義だと思っているふしが垣間見える。元気でなくてはならないという自動思考には、元気な私でなければ価値がないという強いスキーマが隠れている気がする。それは幼少期の体験からくるものであり。その点、過去の荷物を今なおめいっぱい抱えているわけで、裏腹なのだ。このリカの裏腹に直面したとき、完治はほとんどアクシデント的に嵐への切符を手にしてしまった。そこであのイントロどーん。たまらない。

おもしろいのは、そんなリカが「東京代表」としてじゃなく、ちゃんと風変わりな人物として描かれているところだ。完治は出社早々、あいつとは関わらない方がいいと同僚に釘を刺されている。厄介な女としてしっかり周囲に認知されている。だからやっぱり冒頭の私のインプレッションは間違っていない。リカは単なる陽キャ姉さんなのじゃない。奔放な都会の女でもない。竹を割ったように見えて全然割ってない。一筋縄ではいかないキャラクターなのだ。そう明確にキャラ設定されている。こうなると恋愛はもう、分かってあげられる奴は誰だ選手権になる。エントリーナンバー2番は永尾完治くん。1番はもちろん和賀部長。

ここまで書いてふと思ったが、柴門ふみの原作はどんななんだろう。買おうかな。たぶんもっといろんな伏線とエピソードあるんだよな。今ウィキってみたら、リカんとこ「パニック障害を抱える」って書いてあるじゃん。すご。え、そうなん? こんなに共感できてしまうのはそういうことなの? え、柴門ふみの疾患解像度高すぎん? てかリカやっぱ何かしらの疾患抱えてたん。俄然読みたくなった。全巻ドットコムでポチろうか。ポチった。文庫版全3巻。えー楽しみーー。

あ、ちなみに三上健一くんと関口さとみさんのこともまあ色々思うところはあるけど、対リカへの情熱ほどには感情が動かないので、まあ、ほどほどに眺めようと思う。

まさに終わりが始まった第1話

それはそうと、会社でばんばん私用電話してるのは時代なのか? や、会社やぞ、と毎度突っ込んでしまうが、でも考えてみれば当時携帯電話なんてないわけで、コードレス電話がタケノコのようにデカいわけで、私用だろうが何だろうが会社の回線使うしかなかったのかもな。地味にカルチャーショックでおもしろい。

1話目ラスト、あの名ゼリフ「ずっちーなーーー」が聞けて、めちゃくちゃ舞い上がった。その後の「カンチ」「なに」「カンチ」「なんだよ笑」「カンチ」「だからなに笑笑」の応酬もエモい。これが最高の伏線なんだよなああああ。30年前の記憶が引きずり出されて、フライングで悲しくなってきた。いや、こののっぴきならないBGMが終わりの始まりを予感させるのもあるんだよー。ポチった原作の到着も楽しみだが、いったんドラマとしてはまず間違いなくプロの仕事だと思わせられる。坂元裕二23歳の時の仕事らしい。うなるしかない。

あ、ちなみにリカが完治を好きになるのはもうsky is blue, clouds are whiteなのだよな。ピスタチオ(?)の殻をひょいと割って渡してくれるナチュラルな優しさ、ケセラセラを地でいく根っからの大らかさ、他者評価への無頓着(高校時代のモテエピより)。むしろアドラーみあるのは完治の方だ。この真逆ぶりにリカが救いを見るのはどう考えても必然。そう、リカの求める愛は救いでもある。選手権開幕。そして、実録・赤名リカを追えはvol.2へ続く。

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