選ばれたくても選ばれなかった 話

小さい頃からいわゆる、「2人組を作ってください!」が苦手な子どもだった。

仲が良い子が少なく、狭く深くタイプだった私は

仲良しの子はクラスに1人 といった感じで

その子がいなければ当然 グループを作ることができなかった。

先生からしたら、グループ分けをする魔法の言葉かもしれないけれど

私にとっては呪いの言葉のようだった。


高校に入って、女子が少ないクラスになってからは 以前よりも生きやすくなったように感じた。

そもそもの母体が少ないので ひとりひとりと関わることが多い。

また、私自身もやっと自分と仲良しの2人だけ という人付き合いをやめることができた時期でもあった。

やめることができたというよりも、やめざるを得なかった というのが正解かもしれない。

高校で仲良くなった子は 交友関係が広く、私なんかと一緒にいなくても 周りに人が集まるような子だった。

そういう子だからこそ仲良くさせてもらえたのかもしれないけれど

たくさん寂しい思いもした。でも、それではいけないと思って 私もいろんな人と話すようにしてみた。

そうしたら世界が少し広がったような気がした。


そのとき仲良くなった人とは今でも親交があるから不思議だ。



それからは世界が広がっていった。

私は 何人かで集まるときに 気まずそうに隅っこにいる子のことを

会話の中に巻き込むことが上手になった。なぜなら気持ちがわかるからだ。

他人から 貴女は誰とでも仲良くなれるよね!と言われるようにもなった。


でも、心の中にはやっぱり 「2人組になってください」に怯えていたあの頃の私がいるのだ。



ここまで書いて、もう一つ苦手なことがあったのを思い出した。

花一匁だ。

あの子が欲しい!この子が欲しい!と取り合う中に私はいなかった。

最後に残って仕方なく名前を呼ばれるのだ。


人気のある子は、何度も取り合われ 左右のグループを行き来するのだ

私は 手を繋ぐ仲間がいなくなるまでずっと同じグループにいるというのに…

あぁ…また嫌なこと思い出しちゃったな。



大人になった私も 仕事では選ばれたいので がむしゃらに頑張る。

その結果ぶっ倒れてしまったり メンタルが壊れたりと散々だ。


身体は大人になったというのに

心は 選ばれないという恐怖に 今日も怯えているのだ。





選別のない世界に行きたい という話。



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