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マモの剣 -第二章 遥かなる敵-

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マーモットの長編物語 マモの剣第二章です。
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マモの剣-第二章 遥かなる敵-第六部-初めての戦い-

マモの剣-第二章 遥かなる敵-第六部-初めての戦い-

 マーモスと聡明は人間が住む村にいた。マーモスはかつて、人間から剣を奪ったことがあるだけあって、人間の村のことはだいたい把握していた。マーモスはこれまでの聡明の話を聞いて、ターゲットをマーモットを連れ去り、闇市で売り捌くブローカーに狙いを定めた。マーモスと聡明は村の市場に忍び込んだ。キッキとくい坊を連れ去ったブローカーがいつものように、珍しい動物を売っていた。夕方になると、ブローカーが、「ちぇっ、

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マモの剣-第二章 遥かなる敵-第五部-真剣-

マモの剣-第二章 遥かなる敵-第五部-真剣-

 その日、聡明はヤクの側で寝た。聡明は、マーモスから修行の許しを、もらえたことで、緊張が解けてぐっすり眠っていた。ヤクが聡明に顔を近づけて起こしてくれた。聡明が目を擦りながら辺りを見回すと、まだ外は薄暗かった。聡明がマーモスのいる岩場の中に入っていくと、マーモスはもう目を覚ましていて、木の実を何種類か用意してくれていた。マーモスは聡明に向かって「二度目はないぞ」と釘を刺された。聡明は一瞬、不安がよ

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マモの剣-第二章 遥かなる敵-第四部-修行再び-

マモの剣-第二章 遥かなる敵-第四部-修行再び-

 聡明はどきどきしながらマーモスのもとに向かって歩いてた。険しい坂道を登る足取りも重い。一度、修行から逃げ出した僕を再び受け入れてくれるだろうか。あれだけお願いして弟子にしてもらったのに、きっと呆れているに違いない。何度も立ち止まって引き返そうとしたが、このまま帰っても長老に合わせる顔がない。聡明は覚悟を決めて、マーモスが住む岩場に向かった。近くまで来ると、岩場の外で休んでいたヤクが聡明に気付いて

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マモの剣-第二章 遥かなる敵-第三部-ハピマモ登場-

マモの剣-第二章 遥かなる敵-第三部-ハピマモ登場-

 聡明は行く当てもなくヒマラヤの草原をとぼとぼと歩いていた。修行をして立派な勇者になると宣言して村を出てきたのにこのまま帰ってしまったら長老やさすらい、キッキに顔向けができない。聡明は歩き疲れて草原に仰向けになって寝転んだ。空を見上げると真っ青な空に大っきな雲がゆっくりと流れている。聡明はマーモスのもとを去ってしまったことを後悔していた。僕が崖から落ちそうになった時、素早く手を差し伸べてくれた。川

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マモの剣-第二章 遥かなる敵-第二部-聡明の修行-

マモの剣-第二章 遥かなる敵-第二部-聡明の修行-

 聡明はヒマラヤの奥深くにある断崖絶壁にいた。四肢の爪を小さな岩の出っ張りの部分に引っ掛けてよじ登ろうとしていた。四肢のどこか一つでも出っ張りから外れてしまうとバランスを崩して谷底に落ちてしまうだろう。聡明は落ちまいと精一杯の力を入れてしがみついていた。断崖の上からは、ヤクに跨るマーモスが険しい表情で見つめている。震えながら少しずつ慎重によじ登りながらマーモスとヤクがいる岩場まであともう少しという

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マモの剣-第二章 遥かなる敵-第一部-マーモスとの出会い-

マモの剣-第二章 遥かなる敵-第一部-マーモスとの出会い-

 聡明はヒマラヤ山脈の麓を目指して歩いていた。どれくらい歩いただろう。途中草を食べたり、岩場の下で眠りながら歩き続けた。孤独感が襲ってきて何度も挫けそうになったが、マーモスという強者に出会って修行を積めば強くなれると自分に言い聞かせながら歩いていた。ふと足元を見ると歩き過ぎたためか足先が傷だらけになっていた。少し休もうと小さな岩場の下で休んでいると、険しい斜面の岩壁から「オレの縄張りに許可なく入っ

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