冗談を流せない

我ながら面倒な性格だと思う。
幼い頃から、人の言うことを受け止め過ぎるところがある。何か引っかかることを言われると、たとえその言葉の後で「冗談だよ」と言われても、その言葉がずっと心に刺さり、ジワジワと悲しみが広がってしまう。
そして自分が人に対して言った言葉も、後になって「あれは失礼ではなかったか」「傷つけてしまったのではないか」と延々と考えてしまう。

そんな私が結婚し、夫の親戚との付き合いが始まった。夫の近い親戚は同じ県内にほとんどいるため、親戚付き合いの機会も多い。さらに娘が生まれたことで、行事や食事のお誘いも増えた。

その親戚の中で、私が会う度に身構えてしまう人がいる。

その人は思ったことをすぐ口に出す。初めて会ったときに「私は思ったことは何でも言う。言わなきゃ損だと思うから」と言われた。

その人の未だに忘れられない言動がある。

娘がまだ1歳にならない頃、その人の家に行くことがあった。その人は壁に飾ってあるトラの絵を娘に見せ「これはトラ!トラ!」と教えた。そしてその後、私を指差して「これはオニ!オニ!」と言った。

その人にとっては冗談のつもりだったのだろう。しかしその言葉は私の心に突き刺さり、傷が癒えることはなかった。私はいい母親なのか、厳しくし過ぎているのではないか、そんな風に悩んでいた頃だった。そのため、余計に忘れられなかったのだと思う。

それから数年経った今も「本人は冗談のつもり」のいろいろなことを言われ、その度に傷ついている。

自分が考え過ぎであることは分かっている。そもそも自分に自信が無いから、言われたことが引っかかるのだ。自分の改めるべき所を改めたら良いのだ。全く身に覚えの無いことを言われたのならば、気にしなければ、相手にしなければいいだけの話だ。

それでも時々思う。
傷つく私が悪いのか。
さらっと流せない私が悪いのか。
冗談であれば何を言っても良いのか。


妻となり、母となり、人付き合いの難しさと自らの気難しさを改めて感じている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?