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「ずんだもん」が人工音声動画の覇権をとるのでは、という話。

 2022年5月15日、人工音声系YouTuberたちを震撼させる事件が起こりました。それが、YouTuberの柚葉氏による「ゆっくり茶番劇」商標登録です。そもそも、「ゆっくり」とは2ちゃんねるに投稿されたアスキーアートに由来します。このアスキーアートでは、ゲーム群「東方Project」の登場キャラクターである霧雨魔理沙と博麗霊夢を模した一頭身のキャラクターに「ゆっくりしていってね!!!」というセリフが添えられており、ここから「ゆっくり」と呼ばれるようになりました。また、ここから派生した動画ジャンルとしての「ゆっくり動画」は(様々な定義がありますが、ここでは筆者の主観に近いものを選んで)東方Projectキャラクターの立ち絵に人工音声を当てた動画群を指すという定義も存在します。結局、一連の騒動は商標の取り下げにより鎮静化しましたが、この騒動により「ゆっくり動画」の存在が世間により広まったのも事実です。

 さて、人工音声を用いた動画はゆっくり動画だけに留まりません。その例として挙げられるのが、「VOICEROID」を用いた動画です。VOICEROIDとは株式会社エー・アイにより開発された文字読み上げソフトで、代表的なキャラクターに結月ゆかりや東北きりたん、琴葉茜・葵などが存在します。VOICEROIDとゆっくり(正確には「Softalk」という読み上げソフト)の大きな違いは、イントネーションを調節できるか否かです。ゆっくりの場合には読み間違いの修正は可能なもののイントネーションの修正を行うことができない一方、VOICEROIDではイントネーションも修正可能です。

 ただ、VOICEROIDの大きな欠点としては、収益化して動画投稿を行う際のライセンスが高額なことが挙げられます。ゆっくりのライセンス料が年間6380円なのに対し、VOICEROIDのライセンス料は1ソフトごとに11万円を要します。これに加え、VOICEROIDの場合にはそもそもソフトを購入する必要もあり、動画投稿の参入障壁が高いと言えるでしょう。

 こうした読み上げソフト業界に2021年8月、とてつもないソフトが登場します。それが、ヒホ氏により開発された「VOICEVOX」です。このソフトの大きな特徴が、商用・非商用問わずライセンス料がかからないことです。VOICEVOXは音質こそVOICEROIDに劣りますが、イントネーションの調節も可能であり、ソフト自体も無料でダウンロードすることができます。このようにVOICEVOXは利用障壁が非常に低く、最近ではVOICEVOXを用いて動画投稿に参入する者も増加しています。

 このVOICEVOXにもVOICEROIDと同様に様々なキャラクターが存在しますが、ここで注目したいのが「ずんだもん」というキャラクターです。

 ずんだもんはVOICEROIDのキャラクター「東北ずん子」の武器・ずんだアローに変身する妖精という設定で、頭に枝豆がウサギの耳のようにくっついたデザインが特徴です。私はこのずんだもんが人工音声界で覇権をとると予測しています。その根拠が、ずんだもんの音声にあります。どのような音声なのか、実際に聞いてみましょう。

 このように、ずんだもんの声は非常に可愛らしい声をしています。具体的に言えば、(ちゃんと音声を分析したわけではないので話半分程度に収めていただきたいですが)声帯から口までの距離が近い声の特徴を有しています。これは以前の記事「魂魄妖夢の人気の理由をアカデミックに考察してみた。」でもお話しした通りですが、この特徴を有する声は「萌え声」の典型例と言われています。つまり、あくまでも私見ですが、ずんだもんの音声は非常に人心を惹きつけやすいと考えられます。

(上の記事は厳密に分析したものではありません。与太話程度に考えてください。)

 どうせ同じ人工音声動画を視聴するなら、聞き心地の良い声が流れた方を選択したい、と考えるのが普通でしょう。また、動画投稿を始めるなら手軽な方を選択したい、というのも当たり前でしょう。これら視聴者と投稿者の双方にとってメリットのある動画が、ずんだもんによって完成されると私は考えています。

 皆様もぜひ、ずんだもんの音声に思いの丈を乗せた動画をYouTubeに投稿してみてはいかがでしょうか?

【参考資料】
ニコニコ大百科(仮)「ゆっくり茶番劇商標登録問題」


AHSホームページ「製品情報 VOICEROID」

〃「VOICEROID個人向け商用ライセンス」https://www.ah-soft.com/licensee/voice_individual.html

アクエスト オンラインストア https://store.a-quest.com/categories/618932

ヒホ氏のTwitter https://twitter.com/hiho_karuta

VOICEVOX ホームページ





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