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大人になってから研究をはじめる@Xデザイン学校

この記事では、研究初心者だった私がXデザイン学校アドバンスコースで行った研究活動を通して学んだことを、自分なりにまとめてみました。
「社会人学校に興味はあるけど、実際どうなの?」「研究に興味があるけど自分にできるかな?」と思っている大人の方々にとって、少しでも参考になれれば嬉しいです。

学びはじめた理由

UXやサービスデザインについて本や実務を通してだけではなく、きちんと専門家から学びたいと思ったのがきっかけでした。
私は自分のテーマを追求できる「研究」に興味があったのと、リーダーコースorリサーチコースも聴講できるということでアドバンスコースを選びました。
私は研究なんて全くやったこともなく、やっていけるのか不安でしたが、とりあえず入っちゃおう精神で飛び込みました 笑。
このとき、自分には無理かもという気持ちに負けず、学校に行く決断をして本当によかったと思います。

研究テーマはどう決めたか

そんなこんなで入学したわけですが、研究をはじめるにはテーマが必要です。
結論からいうと、私は「どうすればサービスへの愛着を高められるか?」を研究テーマとして設定しました。理由は大きく2つあります。

1つ目に、仕事をしている中でモヤモヤを抱えていたからです。
私は今まで、アートディレクター・デザイナーとして仕事をしていました。ユーザーに「魅力的だ!」とか「使いたい!」と思ってもらえるように、クライアントの課題を整理・デザインコンセプトを設計し、広告やWEBサイトなどを作るのが主な仕事でした。
ターゲットにはこれが好まれるだろうとか提案するわけですが、「好きとか愛着ってそんな単純なものなのだろうか?」「自分は本質的な提案ができているのか?」とモヤモヤを抱えていました。

2つ目に、愛着を持てるものに囲まれていた方が人の心は豊かだと考えたからです。
自分の暮らしを考えてみると「便利でよく使うもの=愛着のあるもの」というわけではないことに気付きました。特にデジタルサービスはそうです。形がなく、愛着が生まれにくい。他に便利で安価なものが登場したら、そちらに移ってしまうのだろう。
なんだかそんなものに囲まれているのは、心が貧しいなと感じました。
これから世の中はもっと便利になるんだと思います。しかし、そこに愛着が生まれないなら、少し寂しいんじゃないか?と。

このように、自分が普段生活している中で感じたモヤモヤを研究で解消してやろう!というのが私の研究テーマの決め方でした。何か大義があったわけではなく、それだけの理由です。

このように軽い感じではじめた私の研究は、結果的にはサービスへの愛着を高めるためには「思い出の活用」が有効だと仮説を立てるに至りました。そして、論文執筆にもチャレンジしたのですが、それまでの過程でたくさんのことを学びました。

研究活動で学んだこと

まず、研究活動は自分が動かないと何も動きません。なので、必然的に受け身ではなく主体的にいろいろ調べたり、インタビューしたり、分析したり、様々なことをします。ときには遠回りもして、いろんな道を通りながら徐々に1つの道に絞っていく…そんな感じです。
そうして試行錯誤したからこそ苦しいことも多かったですが、学びもたくさん得ることができました。
中でも特に心に残った3つを紹介します。

1.考え続けること

研究にはこれ!という答えがありません。わからないことに何らかの答えを出すために行うのが研究なのだと思います。
とにかく調べる・考える→こうじゃないか?いい発見だ!→いやでも待てよ(再び考える)→こういうことか?最高!→いや違ったかも(再び考える)・・・と、考えるループの繰り返しです。
考えるなんて誰でもできそうと思うかもしれませんが、研究活動を通して、今までの「考える」と比べて深さも広さも変わりました。先生方に研究の相談をしたときには大体自分の詰めの甘さに気付かされます。その視点持ってなかったな…とか、深掘りできてなかったな…とか、まだまだ考えられることがたくさんあることを教えられます。フィードバックを得て何度も考え直すことによって、考える脳が拡張されたと思います。
「なんか違うんだけど、なにが違うかわからない…」と、ブレイクスルーできずに前進できない時は苦しかったです。ですが、悶々と考えた先に、あれ?!こういうことだったかも!と考え付いたときは、とても気持ちが良いです。
私は学校での最終発表を終えて、論文にまとめる段階になってもまだ悶々と考えていて「あ、こういうことだったかも」と調べ直したり、まとめ直してました 笑 。
自分が出した答えを疑い、考え続ける姿勢を研究を通して学びました。

2.思考と実践を繰り返すこと

仕事で感じたモヤモヤを研究で深掘りし、得た知見を仕事で実践する。実践することでまた新たな発見をし、研究で深掘りをする・・・というように、研究は日々の生活と切り離されたものではなく、仕事や生活に役立てることができます。この点は社会人として仕事と研究を両立させる大きなメリットですね。

研究と仕事を行ったり来たりすることで相乗効果が得られる

仕事だといかに効率よく成果を出すかが求められることが多く、疑問を感じても深掘ったり試行錯誤する「思考する時間」がたっぷりあることは少ないです。研究でじっくり思考する時間をとることで普段仕事で使っている能力とは別の能力を開拓できていると感じましたし、それによって仕事の質も上げられたのは良かったと思います。

3.わからないことが増えたこと

わからないことが増えた、というとネガティブに聞こえるかもしれませんが、私はとてもいいことだったと思っています。わからないことが増えたということは、自分を拡張できている、伸び代が生まれたことと同じだと考えているからです。

フィードバックを受けたり会話することで、自分が見えていなかった部分を認識できる

わからないことを知らないままでいるより、わからないことを知っている方が成長しますよね。
学校で学べば学ぶほど、調べれば調べるほど、考えれば考えるほど、わからないことは増えていきました。学校に来るまでは本を読んで理解した気になっていることもたくさんあったように思います。先生とクラスメートのフィードバックや会話を通して、自分がいかに無知で、まだまだ勉強不足であることに気付かされました。大人になっても学ぶことは想像以上にたくさんあります。

このように様々なことを研究を通して学んできたわけですが、学校に入らずにいたらここまで学べなかったのではないかと思います。
以下で私が感じた学校で学ぶことの価値をまとめてみました。

学校で学ぶことの価値

1.初心者が走り出しやすい

初心者でもサポートを受けて研究活動をはじめることができます。独学でもできなくはないかもしれませんが、学校でフィードバックを受けることで自分が躓いているポイントに気付きやすいですし、結果的には効率も良いのではないかと思います。研究の問いの立て方、進め方、まとめ方の一通りを学び、初心者に必要な基盤を作れるのは学校ならではかなと思います。Xデザイン学校ではオフィスアワーで個人相談できる時間も設けていただいていたので、それもとても助かりました。

2.サプライズが起こること

学校という場のメリットは、自分の力だけでは起こり得ないサプライズが起こることだと思います。自分の見える範囲だけで学んでいるだけでは知り得なかったことを知れたり、関わることのなかった人と関わる機会があることで、予想以上に自分の考え方に変化があったと思います。実際私はデザインや仕事に対する考え方が変わったことで、転職しました 笑 。
特に、自分にはハードルが高いのでは?と思うコミュニティに飛び込むことがたくさんの学びを生むのだろうと思います。

3.仲間がいること

立場も年齢も職業も関係なくフラットに学び合える場があるのはとても良いです。会社ではどうしても上司部下の関係になってしまったり、プライベートでは年齢の離れた人と話す機会が少なかったりすると思います。Xデザイン学校は様々な人がごちゃ混ぜになってディスカッションし学び合える環境がありました。しかも皆さん向上心が高いので、毎回刺激と元気をもらっていました。
論文を書くときも、みんなでコメントを入れあってブラッシュアップを行いました。いい仲間に恵まれたからこそ論文へのチャレンジもできたのだと思います。このような仲間に出会えたことは大きな資産です。

miroを使ってみんなでコメントを入れあって論文を完成させた

最後に

研究活動に関して語ってみましたが、私はベースの知識が浅い初心者なので、上手くできずにもがくことが多かったですし、仕事の繁忙期+転職活動が重なったときは時間と体力的にしんどい時期もありました。ですが、研究や学ぶことはとても楽しいですし、この活動を通して自分の人生を前に進められた実感もあります。
研究活動を趣味にするのも人生の選択肢としてありではないでしょうか。きっと人生を豊かにしてくれると思います。
私は今後もずっと何らかの形で学びを続けたいと思います!

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