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ロック史の転換点と既存の社会を揺るがしたアート・ロック/サイケデリック・ロック

©English Wikipedia

1967年、ロック・ミュージックは、大きな変化がシーンに訪れ、一つの転換点を迎え、その歴史にとって非常に重要な年となりました。

アート・ロックまたはサイケデリック・ロックと呼ばれる前衛的/実験的な作品群が発表され、従来のコマーシャルなロックと一線を画する同ジャンルは、そのステージ・パフォーマンス面も含め、ラディカルな表現スタイルから既存の社会に対するアンチテーゼを示しました。

アート・ロックは、ニューヨークやロンドンのアンダーグラウンド・シーンで形成され、サイケデリック・ロックは、米西海岸のフラワー・ムーヴメント・シーンで想起され、両ジャンルは、ヘロインやLSDといったドラッグ類との密接な関係性の中で確立されていきます。

アート・ロックとサイケデリック・ロックは、70年代以降、グラム・ロックやプログレッシブ・ロックなどへと派生し、80年代代以降、オルタナティヴ・ロックやネオ・サイケデリアなどへと進化していく事になりますが、同ジャンルの長きに渡るその影響力たるや驚きを禁じ得ません。

『The Velvet Underground&Nico』/The Velvet Underground&Nico(1967)
作品評価★★★★☆(4.5stars)

アート・ロックの始まりは、某レーベルの専属作家であったユダヤ人の青年と前衛音楽を志すウェールズ人の青年との邂逅から結成されたNY出身のこのバンドが起源となった。

VUの処女作は、ルー・リードとジョン・ケイルによる異形のロックンロールに対し、マネージャー兼プロデューサーを名乗り出たアンディ・ウォーホルによってモデルのニコが宛がわれ、そこへシュールなアートワークがあしらわれる事で成立した特筆に値する1枚である。

白昼夢に似たポップネスを覗かせつつ、冷めたビートと狂気に満ちたノイズで大都市の路地裏にある退廃美を描写した今作は、1つのモダン・アートとして提示された事で風化を逃れ、後世からの狂熱的な再評価によって今日における古典の地位を占める事となった。

『The Piper at the Gates of Down』/Pink Floyd(1967)
作品評価★★★★(4stars)

ロンドンにおけるアート・ロックの始まりを告げたのは、UFOという怪しげなクラブから現れた奇才ソングライター/ギタリスト擁する新進気鋭のバンドであった。

ピンク・フロイドの1stは、周知の通り、かのシド・バレット在籍時に創作された作品であり、同SSWのイマジネーションから抽出された不可思議な歌詞を乗せた可笑しなメロディと型にとらわれない先鋭的なギター・ワークの交錯が印象的な1枚に仕上がっている。

彼らは、数年後に完成させる例の大作でシーンの覇権を制する事になったが、その後のポスト・パンクやインディ・ロックへの影響を鑑みれば、やはり今作も選盤しておきたい。UKらしいと言えばらしい奇矯な作風ではあるが。

『The Doors』/The Doors(1967)
作品評価★★★★(4stars)

花盛りのヒッピー達が暮らすサマー・オブ・ラヴで彩られた米西海岸、その闇夜に最もふさわしいサウンドトラックは、ベースレスから成るこの4人組のロックバンドから発表された処女作であろう。

ドアーズが目論むコンセプトは、1stにして既に明確であり、主役/フロントマンを務めるジム・モリソンによって繰り広げられる観念劇に沿うように、奇妙なキャバレーを連想させるサイケデリアなアレンジ・ワークが展開されていく。

ロックに演劇性を取り入れたモリソンらは、エロスとタナトスの戯曲を世に問うた後、シーンを扇動していく存在となった。しかしながら自ら創り上げたロック像を長く演じ続ける事はやはり不可能であったし、そして、それは、ある種のロックにおける限界をも体現してしまった。

『Mr.Fantasy』/Traffic(1967)
作品評価★★★★(4stars)

白いレイ・チャールズの異名を取った神童は、巷の騒々しいナイトクラブから一転、郊外にある怪しげな館へ移り住み、1967年の特色且つ流行である実験的なロックの創作に着手した。

クリス・ブラックウェルが主催するアイランドからプロデューサー/ジミー・ミラーを迎えてリリースされたトラフィックの1stは、あらゆる鍵盤/管楽器の持ち込みやギミックを施したスタジオ・ワークの結果、独特なグルーヴ感となり、UKサイケ・シーンの中でも特に際立つ作風となった。

彼らが真骨頂を発揮するのは、キャリアの中で中期に位置する70年代前半となるが、今作の時点で既にその潜在力を垣間見せており、表題曲においては、抜群のインプロヴィゼーションを堪能する事が出来る。

それでは、最後に、今日ご紹介したアルバムの中から筆者がお気に入りの一曲を♪



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