刻印、冬


体温と体の重みは好きな男からしか貰えない。

あっち向いてくださいと言われ、横向きで添い寝してもらって後ろから抱きしめられる。腕枕越しの指を触るのが好き。自分の手と圧倒的に違う男の人の手と指が好き。指の輪郭をなぞる行為。

後頭部から響く低音の声、腰で感じるお腹の呼吸、腕の重み、胸板の体温。自分だけじゃどれも得れない。


左肩に刻印はまた。強めに残る。左肩以外にも少し別の場所にも。付けられては、消える。痕跡は跡形も無く消え去る。

朝着替えるたびに思い出して、鏡で跡を見て、あの時間をぼんやりと思い出す。どんどん薄れていく様を見て、また跡をつけてもらいたいと願ってしまうのは本当にまんまだと思う。

寝返って向かい合わせになる。首筋に近付いて匂いを確認する。