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三菱電機コアラーズへの愛を語る

V6のファン歴21年に比べると多少見劣りするが、11年にわたって同じバスケットボールチームを応援している。三菱電機コアラーズ。国内女子トップリーグであるWリーグ所属。

11年前大学生だった私は、同学年の日本一の大学のエースが大好きで、その選手が卒業後最初に入ったチームがコアラーズ。彼女は数年後、別のチームに移籍してしまったが、気づけば私の愛はコアラーズに乗り移っていた。

TEAMで戦う①ハドル

魅力は何と言ってもチーム力(最後の一文字は漢字)。選手全員光るものはあるけれど、日本代表の主力を張るような選手はいない。それでも2018-2019シーズンにはレギュラーシーズン3位、プレーオフはファイナルまで進出した。1+1が3にも4にもなるチーム力をもってしての成果だ。

そのプレーオフ記者会見でのエース渡邉選手の発言が忘れられない。「私たちの強みはハドルなので。」参考記事)ハドルとは、試合中にコート上に出てる5人がちょっと集まって話すこと。普通チームの強みと言ったら、スクリーンプレーとか、スリーポイントシュートとか、速い展開のバスケットとか、強固なディフェンスとか、とにかくプレーに関することを言うと思う。それが、ハドル。

試合中に審判の笛が鳴るたびに、シュッと5人が集まり、二言三言交わして解散する。大袈裟でなく毎回、下手したら試合のタイマーが1分進む間に5回くらい集まる。よくも毎回そんなに話すことがあるなと思うが、前のプレーの修正点などを確認しているようだ。

バスケット経験者なら分かると思うが、これ、地味にめんどくさい。いやバスケットを離れても、仕事中にちょっと気になることがあったときに相手に伝えるハードルってそれなりに高くないですか?(それで「まぁいいか」と放置したことは、そこそこの確率で、のちほど大変なことになる。) コアラーズは丁寧に丁寧にコミュニケーションをとってチームの持ちうる最大限の力を発揮しているように思う。

TEAMで戦う②ディフェンス

コアラーズのプレー面での武器は連動した攻めのディフェンスだ。マンツーマンとゾーン、それぞれ何種類あるのか観ている側には全然分からない多彩なディフェンスを持っている。一人が仕掛けに行くと、それに連動して隣の人が動き、さらに連動して次の人が・・・とさながらカラクリ時計のように5人が動き、次の瞬間には流れるようにマイボールになっている。

特に2020-2021シーズンで日本代表の最強センター(デンソーアイリス髙田選手)を止めた試合はお見事だった。髙田選手がボールを持つと、すかさず2人が髙田選手に寄る。コート上には味方が5人と敵が5人しかいないのだから、髙田選手1人に2人寄っていくのがいかにリスキーかは引き算すれば分かる。3人で残りの4人を守らなければならない。にもかかわらず、2人に囲まれた髙田選手がパスする先を探しても、どこにも、誰も空いていないのだ。3人が1.33333333…人ずつきっちり守り、ボールを奪う。体格も技術も格上の選手から、チーム力でボールを奪いとるディフェンスはコアラーズバスケの醍醐味だ。百聞は一見にしかず。後半だけでも是非見ていただきたい。(無料登録で簡単に見られます。広告も無し。)

ディフェンス中にはボールをカットしてコートから飛び出して行ってしまう選手もいる。すると、5人全員がコート外まで迎えに行く。配信で試合を見ていると、5人ともカメラから見切れたところに行ってしまって、相手チームしか見えないなんてこともザラにある。バスケット経験者なら分かると思うが、散々走りまわって笛が鳴ってプレーが止まった瞬間は、(大きな声では言えないが)休憩時間だ。貴重な時間なのに、身体を張ったチームメイトを駆け足で迎えに行く。そんなチーム愛も大好きだ。

絶対に諦めないという信頼

コアラーズは絶対に勝負を諦めない。そして「コアラーズは絶対に勝負を諦めない」と、ファンに信じさせてくれる。

第4ピリオドが始まる時点で15点負けていた試合や、前半が終わって20点近く負けていた試合。大逆転勝利を何度も観た。チームディフェンスでボールを奪って速攻のシュートが決まると、それが反撃の狼煙。あれよあれよという間に点差が溶けていく。俗に言う「コアラタイム」だ。「来た来た来た」という胸の高まり。面白いようにゴールに吸い込まれるスリーポイントシュート。ガッツポーズを繰り出す選手。笑顔で飛び跳ねるベンチ。湧く会場。コアラーズファンは、この蜜の味を知っている。

だからどんなに負けていても、その先の希望を持って試合を観られる。今が苦しくても、10秒後はきっと良いことがある。試合が終わる頃には逆転するかもしれない。負けていてもポジティブな気持ちで試合を観られる。ひょっとすると、勝っている時よりもワクワクしながら応援できる。こんな感覚はコアラーズでしか味わえない。

2020-2021シーズンは、5位で終了。最後の試合もコアラーズらしく、10点以上の差をひっくり返したのだが、後が続かず負けてしまった。でも最後の最後まで「まだまだ!」「いけるよ!」と声が飛び交うコートを見つめていられるのはとても幸せだった。

好きなチームを好きでい続けられる幸せ

私は薄情なファンなので、「これは応援できないな」というプレーが見られるようになったら即ファンを辞める。しかしありがたいことに、10年以上コアラーズを応援し続けられている。

チーム力、そして諦めない姿勢。ベテランや主力選手だけでなく、ベンチや新人選手にも浸透しており、文化として根付いているように感じる。これらが無くならない限りは、コアラーズファンでいると思う。今から既に、秋に始まる来シーズンが待ち遠しい。

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