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看護師の制服に着替える時間は勤務時間に含まれるの?


こんにちは、マサです。

私は職員数1000人の病院の採用人事・労務担当として、毎年50人以上の採用業務や労務管理を行なっています。

そんな病院運営側として、最近、当院で物議を醸した「看護師の着替えの時間」についてお話しします。



看護師は着替ることも仕事?

事の発端は、看護部からの問い合わせ。

『ある看護職員が、「着替える時間も勤務時間に含まれる」と言って勤務終了時間前に病棟から更衣室へ行ってしまうのだが、それは問題ではないのか?』という問い合わせでした。

よくよく詳しく背景をヒアリングしてみると、看護師のAさんは師長のBさんと上手くいっておらず、ある口論以降から「制服に着替えるための時間は勤務時間だ!」と主張し始めたそうなんです。

そのため、17時が日勤勤務時間の終了時刻であれば、その10分前には病棟を離れて更衣室に行っているようなんです。

当院の看護部の認識は『17時が日勤勤務の終了時刻なら、17時以降なら病棟を離れてもいい』という認識でした。


Aさん:「着替えも勤務時間だから勤務終了時間の10分前に病棟を離れても良い。」
看護部:「勤務終了時間までは職場である病棟にいなければいけない。」


さて、あなたはどちらが正しいと思いますか?


ポイントは義務なら労働時間

先に結論。

今回の当院の案件については、Aさんの主張の「着替えも勤務時間だから勤務終了時間の10分前に病棟を離れても良い。」が正しかったんです。


「えぇ!?何それ!?ウチの病院も勤務終了時間までは病棟にいなきゃなんないんですけど!!」と、フンガフンガしているそこのアナタ、順番に説明するので少し待ってくださいねw。

まず、私はBさんの主張の方が正しいと看護部に報告したエビデンスはこれ↓。
https://apj.aidem.co.jp/column/1966/

上記の案件を簡単に要約すると、『業務に必要な被服の着用を義務付けている場合は、その着替えの時間も労働時間とみなす』という内容です。

看護師という職種の特性上、私服で業務を行うわけにはいかないですよね。

当院も職務規定の中に『医療職はその職務を遂行する場合は、医療安全や衛生管理上、制服に着替えること』と明文化されていました。

つまり、制服に着替える事を業務上指示されていたわけです。

そのため、制服に着替えること時間も使用者(病院)の指揮命令下に入っていると考えられるので、その時間も勤務時間に含まれるわけです。
(注意点として、制服に着替えることを義務としていない場合は、勤務時間としては認められません。)


さぁ、労務担当の事務方としてはクソ面倒臭いことになって参りましたっ!!

労務管理的にはAさんの主張は至極当然なんですが、看護部を敵にも回したくないっ!

しかし、今回の案件については、正しく事実を看護部に回答しなければならない!

「はぁ・・・、気が重い。」


当院での事の結末とまとめ

看護部から相談を受けた翌日に「どう返事をしたら良いかな」と、鼻くそホジホジしながら考えていたところ・・・、いきなり、看護部長がBさんを連れて事務局にやってきたではありませんか!?

「いよいよ来たか(ゴクリ)」と身構えたところ、Aさんから「私、今月末で退職します。今月の残りの勤務は有給消化します。」とのこと。

結局のところ、Bさんは前々から退職を考えていたようで、今回の一件でプッツンして退職の運びとなったわけで、Bさんと看護部と全面戦争の板挟みになるようなことは避けられました。

「ふー、危ね!」

しかし、労務担当としてはきっちり看護部に回答しないといけないので、その後、着替えが勤務時間に含まれることは看護部長に報告をすると、看護部長からは「私も調べてみたけど、そうなるよね。ありがと。」との返事でした。


結局のところ、今回のBさんの一件で病院側も制服に着替える時間は勤務時間だと認識しながらも、病院側はそれを踏まえて病棟を離れる時間を画一的に決めるなどの具体的なアクションを起こしませんでした。

そして、今後もこのことについては慣例(勤務終了時間まで病棟を離れない)に従ったままで、表立った話題にはされないような感じで、労務担当としてはなんだかモヤモヤした感じのまま終わってしました。

本来は就労環境はその全てが正しくあるべきで、そのために労務担当がいるんですが、私の場合はまだまだ道半ばだなと気付かされた案件でした。


あなたの病院ではどうですか?

今回の一件から、あなたの勤めている病院の当たり前だと思っている慣例も、実は就業規則や労働基準法では違法だと疑われる事例は数多くあるはずです。

あなたの職場で「あれ、これっておかしくない?」なんて思うことがあればコメントください。

分かる範囲でコメントしますね。

今回は以上です!最後まで読んでくれて、ありがとうございました!

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私のnoteでは、病院の運営側である人事・労務担当が実際の業務に基づいた内容から、看護師の転職活動のコツや、勤める病院で気を付ける労務環境などについて発信していきます。

このnoteの特徴は、毎年50人以上の採用業務を行なっている職員数1000人の病院の採用人事・労務担当が、実際に経験した内容から採用側の視点での情報発信をしていること。

その内容は、時にドロドロギスギスしていて、綺麗事・忖度は一切ありません。

もし、あなたが転職を考えていた場合、看護師の転職サイトや個人の看護師転職ブログも参考にはなりますが、その主観は看護師側であくまで経験談に過ぎませんよね。

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