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お酒を卒業して変わったこと

気づいたら飲んでなかった

卒酒しようとか断酒しようとか思い立ったわけではなくて、気づいたら飲み会に行くことがなくなった。友人知人と食事との食事の席でも「あたたかいお茶」をはじめノンアルコールしか頼まなくなった。特に妊娠を疑われはしなかったが、それは元々の体型のせいなのだろうか、それとも友人知人が思慮深いからなのだろうか。

アルコールを摂取しないことに意固地になっているともいえそうだが飲酒する必要がなくなった。大学生のころには「飲み会は吐いてからが本番だ」と意気込んでいたのに。あれは誰だったんだろう。会社の同期と銀座の高級そうな(実際、高かった)バーに「雰囲気いいじゃん」とほざいて迷い込み、挙句1Kアパートに5人で雑魚寝し始発で帰ったのは、きっと生き別れの妹だったんだ。

①グルメになった

3時間飲み放題4,980円, カラオケのフリータイムで飲み放題を付けると7,000円、2人で食事に行ってそれぞれ2杯飲めばそれだけで+2,000円だ。インドカレーに必須のナンが5枚はいける。少し前の私にとっては誰とでも話せるようになる魔法の飲み薬が、今となっては原価率の高い液体でしかない。しかも肝臓に要らない負担をかける。

日本酒やワインの蒸留酒が食事のお供だったが、今ではお冷や温かいお茶(レストランによっては出してくれない)がベストフレンドだ。以前は出費が高くても「楽しかったからいいや」と割り切っていたが今はご飯がおいしくないと納得できない。おいしくて納得感のあるお店を探すようになった。お酒は飲まなくなったから、代わりにご飯の質にこだわるようになった。お酒を飲まない分、少し高い食事も手を出せるようになった。

②夜の外出が減った

一緒に時間を過ごしたい相手がいるとき、なんて誘うだろうか。大学生以上なら、きっと一番使うのは、「今度、飲みに行こう!」ではないだろうか。

今やこのセリフは私の中では死語だ。代わりに「カフェに行こう」「このお店に行こう」「ハーブティ飲みに行こう」「ご飯食べに行こう」という。飲み会に行かなくなるので、誘われることも減った。飲み会に行くのは今の私にとってはお金と時間を使って自分の健康と神経をすり減らす行為なので、願ったり叶ったりである。

彼氏は私が飲みすぎる傾向があることを知っていたので、以前はそのことが原因で口論になることもあった。迎えに来てもらったこともあった。それが減り、一緒にいる時間が増えた。ただ一緒にいるだけではなく、一緒に勉強したり、家族や将来について語り合う時間が増えた。

③不要なストレスが減った

飲み会に行くと、ほぼ喫煙者がいることが多かった。罪を憎んで人を憎まず。喫煙者であるだけではその人のことを嫌いにはならないが、喫煙は私が憎むべき行為だ。臭いし有害だ。私は人より嗅覚が鋭いので服に臭いがつくのもかなりストレスだった。

お酒を飲むと吐くまで飲むことが多かったので、次の日以降の体調も悪い。顔色も悪い。自分のことが嫌いになる。また、だいたい毎回同じ話に終始することも多く、刺激もなかった。その一瞬は楽しくても、反動がそれ以上にあり、自己嫌悪も半端ではなかった。

お酒の席で繋がった縁ももちろんある。否定しない。が、気が向かないものにあえて行く必要はない。新しい場ならまだよいが、すでに知っている人しかいない飲み会は冗長でしかない。断る勇気がつき、その時間で読書や勉強ができるようになった。「飲み会に行かないキャラ」を確立できたので面倒なやりとりもない。

飲まなくなった理由

飲み会には参加して戻すまで飲んでいたがお酒を飲むことが好きなわけではなかった。どちらかというと、その場で楽しく話せること、仲良くなれることの方が好きだった。お酒が飲むことが好きではなくて、飲み会を通じて誰かと心を通わせるのが好きだった。大学生のころはお酒が入らないと、目標とか夢とか人生とか、そういう込み入った話はできないと思い込んでいた。

入社してから何回かお酒の席を経て、それは単なる思い込みに過ぎなかったと知った。退社後の3時間6,000円の騒がしい飲み会よりも、仕事の合間を縫って1,000円のランチを食べながら過ごす1時間の方が濃密だったし刺激的だった。さらに飲み会で仕事のしかたやキャリアの話、人生の目標を話したがる人に出会えなかった。次第に、人と打ち解けるためにはお酒は必ずしも必要でないと気づくようになった。

絶対に飲まないのか?

飲み会に取られていた時間とお金を私は取り戻した。もちろん、仲の良い友人と集まれば1-2杯ワインを交わすこともある。ただし、同じ量の水かお湯と一緒に。お酒がないと腹を割って話せない、は私にとっては幻想だ。なのでそういう主張をする人の前ではきっと本音は話せない。お酒がなくても話したいと思える人といるとき、私はアルコールをきっと拒まない。強要はしないでほしい。

基本的にやることがないから飲み会を開いて参加するのは死期を早めるだけに等しい。それで損している、とか言われる筋合いはないし、もっと別のルートで別の場所で得られるものが他にある。去年の夏ごろまでは付き合いでお酒の席に顔を出すこともあったが、下半期に試してみて不要という認識ができたので2020年はお酒に触れる機会はぐっと減るだろう。私はアルコール抜きでも腹を割った太い関係を築けるかという社会実験を楽しんでいるのかもしれない


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