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炎上CMでよみとくジェンダー論

本「炎上CMでよみとくジェンダー論」(長文失礼します)

様々な炎上CMの実例を取り上げて分析し、それらの問題からジェンダー論を展開した本です。元々は東大の人気講座を書籍化したものですが、炎上CMは元来興味があってネットで話題になると、即ユーチューブで観ていたぐらいですから、本屋で見つけて購入しさっそく読んでみました。

序章の「なぜCMは炎上するのか」から第6章の「履いている下駄の高さ」までありますが、やはり個人的に最も興味があったのは第3章「何が「性的」とみなされるのか?(性的なメッセージ×男性)」であり、ユーチューブで観た実例も登場します。

結論として述べているのはゾーニングの間違いであり、ネット上での男性というようなフィルタリングをすれば問題が起きないケースでも、女性を含む広いゾーニングにしたために炎上してしまったというものです。さらに最終決定者(自治体の首長や企業の社長など)が男性であったがゆえに起こった悲劇であり、女性の場合は違う結果になったであろうとしています。

他にも女性らしさや男らしさに対する古い価値観のメッセージや、服装や化粧など女性に強くかかる圧力、マイノリティに対する言葉の政治による抑圧などが挙げられています。

ただ私が個人的に一番衝撃を受けたのは、最終章の6章で、地方の公立校の進学状況の図表でした。この高校は地元の進学校で、東大・京大・地元旧帝大の3校の進学数が男女・現役浪人別に書かれていますが、何と現役での地元旧帝大の合格者は女子の方が多いのです。

これは何を意味するかというと、東大や京大に合格する学力がありながらも、親元から通える、浪人できないなどの学力以外の理由から、東大などの受験を断念している。つまり「下駄を履かせてもらえない」訳です。逆に男子が東大を受験しようと言おうものなら、無理してでも「下駄を履かせてもらえる」のです。

この結果は浪人になると逆転して、地元旧帝大でも男子が圧倒的に多くなります。つまり女子は受験に失敗すると多くが浪人できなくなるのが現状なのです。
筆者も東大に女子学生が2割にも満たない理由を、上記の数字から説明しています。

男女間に学力や実力差がないのは、この数字からも明らかですが、男性の「履いている下駄の高さ」への認識と自覚を踏まえながらの、社会意識の改革が長い時間をかけて必要であると改めて感じました。

最後蛇足になりますが、オヤジ目線で選んだダメ出しCMベスト3を挙げておきます。
・サントリー第3のビール「頂(いただき)」
・ホクトのきのこ「菌活シリーズ」
・鹿児島県志布志市のうなぎ「少女U」

壇蜜さんの宮城県観光キャンペーンはあまりに過激なので、敢えて選外としました(笑)
また巻末付録の広告の“炎上”史も、結構楽しめました(再笑)

#炎上CM #ジェンダー #ジェンダー論 #大学講座 #東京大学

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