見出し画像

マンガ家相原コージさんのうつ病体験記・第2弾「入院編」

本(うつ病になってマンガが描けなくなりました 入院編)

漫画家相原コージさんのうつ病体験を描いた本で、前作・発病篇の続編です。自殺を試みても死ねなかった前作でしたが、今回は入院しての治療となります。この入院生活も通常の入院とはかなり違ううつ病独特の様子が、前作同様にマンガでリアルに描かれています。

先ず入院する閉鎖病棟は外部とのドアが2重に施錠されており、個室はベッド以外に便座以外が金属製の便器が設置されています。次に持ち物検査で紐状のもの(スマホのケーブルやパジャマの腰の紐など)が首吊り自殺防止のために没収されます。
また抗うつ剤の投与による便秘を浣腸で大量に排便することで、入院生活がスタートしたと描いてあります。

食欲は全くなく、入院前からお粥を入院後も続けますが、病院食でもお粥一口と牛乳少々を口にしただけでほとんどを残してしまいます。さらに9時の消灯でも眠ることができずに、2回までの眠剤を処方してやっと眠りにつけるといった状況でした。 

入院2日目午後の検診で、担当医がいうには
「うつ病っていうのは必ずしもメンタル的な原因があってなるものじゃないんです。」「脳内物質のバランスが崩れる病気で原因がなくてもなる人はなるんです」「病気なので適切な治療をすれば治ります」
これは専門家ならではの、客観的で冷静な見解だと思いました。

とにかく筆者の願いは、一刻も早くこの病院から抜け出したいという一言に尽きると描いていますが、その願望はガラス越しとなった家族との面会で、如実に表れることになります。ただそうした絶望的とも感じる入院生活にも、時間と共に心境の変化は生じてきます。

入院生活が2週間ほど経った頃、検温に来た看護師さんのふとした提案でお菓子を食べることになります。うつ病になって以来、食べ物への関心は皆無になってしまったと感じていた筆者でしたが、看護師さんが買ってきたチョコとポテチのチョコを食べた瞬間、
「美味い」「「美味い」の中には「喜び」が含まれている」「不毛の大地に何カ月かぶりにほんの小さな「喜び」という芽が顔を出したのだ」と呟いています。

正に食べることは楽しいこと、そして生きること。どんなに辛いことがあっても、美味しい物を食べると元気になれるのは、私にも経験があります。
回復しつつある筆者の症状は、次回「うつ病になってマンガが描けなくなりました 退院編」へと続きます。(今年発売予定)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?