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46:熱い暑い厚い

「あつい」という音で、かつ日常的な単語がこんなにもあると、外国人は苦労するだろう。

今回書こうと思うのは、あつい三兄弟の中でも「熱い」だ。
熱量としての熱さ、それは物理でも表現するが、心情を例えるときも使用する。

少年ジャンプの漫画「呪術廻戦」の登場キャラクターで「秤 金次」という主人公の先輩がいる。彼のキャラクター性が好きなのだが、こんなセリフがあった。


"熱"に浮かされて人は判断を誤る
だが"熱"がなければ人は恋一つできない
俺は"熱"を愛している


彼は熱が思考や行動の起点になる。彼以外もそうかもしれないが、言語化することでより強調される。


そんな熱に関して、強く思う機会があった。


「BLUE GIANT」という映画を観た。
https://bluegiant-movie.jp/

2013年から小学館「ビッグコミック」にて連載開始した石塚真一の人気ジャズ漫画「BLUE GIANT」をアニメ映画化。
仙台に暮らす高校生・宮本大はジャズに魅了され、毎日ひとり河原でテナーサックスを吹き続けてきた。卒業と同時に上京した彼は、高校の同級生・玉田俊二のアパートに転がり込む。ある日、ライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈と出会った大は彼をバンドに誘い、大に感化されてドラムを始めた玉田も加わり3人組バンド「JASS」を結成。楽譜も読めずただひたすらに全力で吹いてきた大と、幼い頃からジャズに全てを捧げてきた雪祈、そして初心者の玉田は、日本最高のジャズクラブに出演して日本のジャズシーンを変えることを目標に、必死に活動を続けていく。
映画.comより引用
https://eiga.com/movie/95954/


原作の漫画を一番仲の良い後輩の自宅で見かけたので、たまには誘うことにした。
彼から今回の映画は、漫画の1巻から数巻分は描かれないとの前情報から、単行本を借り、当日の朝に読んだのがずっと涙が止まらなかった。


大号泣というわけではない。
ただずっと瞳に溜まってる、そんなことは幼少期から漫画を読んでるが無かった。


なぜ泣くか、
それは前述にもある「熱」だ。

ジャズへの真っ直ぐな気持ち、挫折や苦悩を乗り越え、仲間と切磋琢磨する。男が一度は体験や憧れるであろう状況がそこにはあった。

そう、心が熱くなったのだ。

「これは、映画でも泣くな」
そう思った僕は先輩として弱みを見せたくないのか、謎のプライドで目が腫れてもバレないようにサングラスをかけて向かった。


彼と合流し、映画館に向かう。


前もって、「漫画で泣いたからグラサンかけてきた」と正直に伝えて、タモさんよろしく夜でもかけることを正当化する。


チケット受け取り、いざ劇場へ。

予告の波をくぐり抜け、本編が始まった。



予想通り、涙が止まらなかった。

「僕はこんなにも一つのことに熱くなれたのかな。」


この言葉がずっと過る。
主人公に感情移入しつつも、彼らを支える周りに面々にも移入して色んな感情が溢れた。

少年も、青年も、中年も経験しているからこその色んな感情のミックスナッツ。きっ、観る年代で感情は違うのだろう。ただ共通しているのは、「熱い」ということだ。


そっと涙を手で拭う隣で、後輩も目元に手がある。
彼も熱さに打たれたみたいだ。



そんな映画に夢中なはずなのに、ふと頭に過るシーンがある。

高校球児の最後の夏にある試合後の涙、きっと大半が悔し涙だろう。思い出したくない人もいるだろうが、僕にはそれが羨ましい。


泣くほど悔しい、そんな経験をしたことがないからだ。



泣けるほど、努力したことがないのかもしれない。




成果物を手にする人を実際に見たり、SNSで見かけることはあって、嬉しくてたまらないことはある。ウルっとしたことも多い。

けど、業界で最高の賞をとっても、深く謝る失敗をしても大号泣にはならなかった。






僕にはもう青春は残ってないのかもしれない。





けど現在は土曜日の深夜26時半。
想いを文字や図に変えてペンを走らせ、キーボードを叩く。

まだまだ努力は出来るみたいだ。









成功でも失敗でも泣きたいから、今夜はまだ長くなりそうだ。