「そこにいて」と思い続けてきた 

 今まで20数年生きてきて、少ないながら友達もいて、密度はさておき恋みたいなものも一応してきて、そんな中で腑に落ちないというか、これを感じているのは少数派なんだなとぼんやり思うことが多々あった。

私の恋愛感情で他の人と違うかもしれないと感じたところ

・自分から告白したのに、思いを伝えられただけで満足してしまう。何が満たされているのか自分でもわからないけどそこで終わってしまう

・好きな人、あるいは嫌いではない人に告白してもらい、嬉しい気持ちはあるけどなんとなく居心地が悪いような気持ちになる。場合によっては気持ち悪く感じてしまう

・恋ばなで「好きだけど相手の気持ちは関係ないというか、いらない」等と言って友達を困惑させる

・嫉妬心が皆無ではないけど、少ない。嫉妬や焼きもちを焼かれたり束縛される感じがすごくしんどい

 高校生の頃から今にかけて、「おや…??」と思うことがざっとこれだけあって、私にはなんというか一般的な恋愛が難しいのかな?と思ってきた。

相手の気持ちはそこまで欲しくなかった

 つまり私の好きには「相手の気持ちを自分のものにしたい」だとか「相手にも自分をみて欲しい」というような、「相手の目線」があまり関係していなかったように思う。こういうと自分でも身勝手だなと思うのだけど、相手の気持ちは私のなかでそこまで大きな問題ではなく、「自分が相手を好きであること」が一番大切だった。

そこにいて、とずっと思っていた

 一般的な恋愛がここにきて、そばにいてという感情を伴うものだとしたら、私にはその気持ちがすっぽり抜け落ちているようで、私の恋愛感情はそこにいてというだけだった。このことを友達に話してみると、相手の気持ちがなくてもいいなんて変わってる、と言われたり、いてくれるだけでいいなんて純粋な気持ちだと感心されたり、いずれにせよ私にとってはなんとなくモヤモヤする経験になった。

 これは私が持って生まれたもので、とりたてて変でも立派でもないような気がしていた。一方で、あまりに理解されないので「私はなにか大事なものが欠落しているんじゃないか」と悩むことも時々あった。

発見

 恋愛において自分はなんとなく人と違う部分があるのかな、と高校生の頃から思い続けて、それでも「いつかいい人が現れたら気持ちが変わるかも」と淡い期待を抱いて20歳になり、25歳を越え、一向に気持ちは変わらず、これは出会う相手に原因があるわけではなく、いよいよ私側になにかあるのかと思いはじめて探してみたら、あった。

わたし、たぶんリスロマンティックだ!!

 リスロマンティックとは、"相手に恋愛感情を持つが、相手から恋愛感情を持たれることは望まないセクシュアリティ"だそうで……

 まさに自分が感じてきたことそのもので、あ、こう思っていたのは私だけじゃないんだと思うと気持ちがスッと楽になった。

 特にこれ私だ!と唸った部分は意外にも恋愛に関する記述ではなく、"ぬいぐるみなど実在する人以外が好き"という部分で……先日友人と話していたときに「ぬいぐるみが好き。思うさま愛でられるから安心する」と正直に言ったことを思い出して笑ってしまった。

これから

さて、これからどうしよう。

 これまで自分が感じてきた違和感に名前をつけてもらったようで、リスロマンティックというセクシュアリティがあると知ることができたことは自分のなかでもかなりの収穫だった。

 私はこれまで恋愛したいなという気持ちはあって、友達に紹介してもらったり出会いの場に行ってみたりはしていて、それでもなかなかうまくいかなくて。人と比べるものではないとはわかりつつも、周りの人が自然にできることができない、という劣等感や焦りを感じていた。

 これは子どもの頃、家族がみんな寝てしまったのに自分は寝付けなくて1人布団のなかで途方にくれている感覚に近かった。

 でも、自分がそもそも寝付きにくい、なんなら眠らなくても平気な人だったのかも知れないとわかることでスッキリしたような、そんな気持ちになった。

私はこれからも好きな人に、そこにいてほしい。  

 もっと言えば、あなたでいて、と思っている。自分らしく、なるべく自由で楽しくいてくれたらいいなと思う。自分との関係はそんなに大きな問題ではないと思っている。勝手な気もするけど、やっぱりそれが今の自分の気持ちだ。もし、同じような思いでお互い大事にできるような相手ができたら恋愛してみたい気持ちはあるけれど、見つからなかったときのために、1人でも楽しく生きていけるように工夫していこうと思う。

参考文献
Job Rainbow リスロマンティックとは?【両思いを望まない?】
https://jobrainbow.jp/magazine/lithromantic


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