絶対私の方がいいよ

ハロプロが好きだ。ハロプロの楽曲の女の子は、圧倒的に自分主導で恋を動かしていくエネルギーがあって、まっすぐな愛があって、でも明るいばかりではなく自分に対して屈折した思いを抱えていたりする。グループを問わずいつも等身大の女を歌ってくれていると感じる。

最近恋をした。実に数年振りに好きな男の人というものができた。彼は優しく、いつも穏やかで安定した精神を持っている。みんなと同じように、私にも優しくしてくれる。

私の恋は一言で言えばストレートだ。絶対自分からアプローチしたいし、自分から告白したい。主導権は自分が握りたい。ずっと自分の方が好きでいたい。ハロプロ流に言えば、これは「あんた名義の恋」ということだ。

そして、困ったことに相手の気持ちはそんなに求めていなかったりした。見返りを求めないと言えば聞こえがいいけれど、結局のところ私の恋は一方通行で自己満足にすぎなかった。これまでは。

でも今回は少し違う。私は彼に触れたいと思っている。私とは質感が全く違う、ごつごつした手とか、血管の浮いている腕とか、細いのに私とはやっぱり全然違う広さの背中とか。いつもならなんとも思われていない方がむしろ都合がいいと思うのに、なんとも思われていなかったら寂しいなと思う。いたら嬉しいというより、いないと寂しいと思う。ふと、私は彼のことがたぶん結構好きなんだな、と思ったりする。私は基本的に大部分の男性が苦手だと思っているから、苦手を軽々こえて「触れたい」と思えるなんて本当に稀有なことなのだ。

彼のほうも、少なくとも私のことが嫌いではないと思う。いつも優しくしてくれるし、私を見る目に特別な色を見出だそうとすればできなくもない、気がする。多少好意が伝わるように努めているけど避けられている様子はない。

もうひとつ自己満足でないと言えるところは、彼の小さな不幸や不運を心からかなしく思うこと、どうにかしてそれから守れないかと思うところだ。これは一部これまでと一緒だけれど、別に私と一緒かどうかに関わらず幸せでいてほしいし笑っていてほしいと心から思っている。ハロプロ流に言うと、「あなたを守ってあげたい」ということ。

私は自分のことがそこそこ好きだけれど、人におすすめできる点はほぼないと思っている。が、そんななかでも、彼に自分をおすすめできる点は私と一緒にいたら楽しいと思うところだ。今のところライバル?の存在は認識できていないけど、これはハロプロ流に言えば「絶対私の方がいいよ」ということ。

恋の結末はわからないけど行く末がどうであれ、私名義の恋にしたい。

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