バチ襟の付け方
浴衣に多いバチ襟の付け方はおおむね4パターン。
身頃は紺色の布です。
地襟白い布で、掛襟はピンク色の布です。
本来は全て同じ色柄の布でできていますが
説明をしやすいように、違いがわかるように色を変えています。
見た目で、バチ襟の付け方が違うな!とわかるのは4だけですよね。
でも、色を変えているから気がつくのであって
同じ布でお仕立てしていたら
なかなか気がつかないと思います。
【1の仕立て】いちばん手間のかかる仕立て方です。
1:地襟を縫います。
2:次に襟おさめをします。
3:洗濯した時などに縫い代が動かないように、裏からしのびを入れます。
(中で閉じるだけのやり方もあります)
4:掛襟をつけます。
5:掛襟おさめをします。
なかなかの工程の多さでしょう?
襟付け側、おさめ側ともに、横から見ると地襟(白布)が見えます。
こういう仕立てて方だと、掛襟だけを外して洗うことができます。
昔のように、よく着物を着ていて、自分で縫えた頃には
掛襟だけ外して洗うことも珍しくなかったのだと思います。
【2の仕立て】襟おさめを省略しています。
1:襟を縫います。
2:掛襟をつけます。
(洗濯した時などに縫い代が動かないように、中で縫い代をとじます。)
3:地襟と一緒に掛襟おさめをします。
襟付け側は1と同じで地襟が見えるけど
襟おさめ側は掛襟しか見えません。
【3の仕立て】掛襟つけを省略
1:地襟に掛襟を重ねて襟付け
2:地襟と掛襟一緒におさめる
襟付け側も襟おさめ側も掛襟しか見えない。
【4の仕立て】掛襟がない
用尺が少ないとか仕立て直して掛襟が取れない時に
掛襟をかけている風に見せる仕立て方。
私が習った学校ではつまみ掛襟と言っていました。
プレタの安い浴衣はこういう襟の時があるので
掛襟先を解いても襟芯を入れられません。
浴衣の仕立て代が単衣長着よりも安いので
3や4のやり方で対応しているところもあります。
え〜ずるいな〜と思いますか?
でも、それが当然だと思います。
浴衣と単衣長着とで1万円の仕立て代の差があるということは
何かを省略しないと仕事としてはやっていけないということです。
私は学校で教えられたとおり、1のやり方でお仕立てしています。
浴衣と単衣長着とで、ほとんど仕立ての手間に違いがありません。
違いと言えば
後身頃にしか内あげを作らない。
襟下の三つ折り幅を太くしている。
バチ襟である。
まぁこれくらいです。
手間と工賃が見あっていない…と思って仕事を続けています。
何かを省く、というのが、どうしてもできない性格です。
単衣長着は、仕立て方が浴衣と同じなのに
仕立て代が浴衣と同じでないのはなぜ?というような書き込みを
どこかの質問箱で見たことがあります。
たいていは、多少、浴衣の方が手間を省いていますし
木綿なので、縫いやすいから、しょせん、浴衣だから…
という理由で、浴衣のお仕立て代は安いのです。
浴衣のほうが柄合わせに相当時間がかかるし
硬くて縫いにくいこともあるので
安い工賃に、納得ができていない和裁技能士も実は多いです。
でも、お店とのやりとりで、仕方なく、とか
お店のいう工賃では縫えないから、浴衣は縫わないとか。
浴衣や木綿は、海外縫製になっているというのも納得かもしれません。
私は、浴衣でも、木綿、綿麻、ウール、化繊という普段きものでも
水通しをし、丁寧に手順を省かず手間をかけた仕立てをしているつもりです。
大変心苦しいのですが、手間に見合った仕立て代に、と考えています。
少し前に宣言した通り、来年1月お仕立て代を値上げいたします🙇♀️
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