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「知らないのがいい」の言葉の意味を家族を亡くした時に学んだ

全てを知らないのがいいのかもね

うちの猫を拾ってくれた人が、つぶやいていた言葉です。
猫を家族に迎えてから、色んな人や、拾ってくれた夫婦が会いにきてくれました。不思議と人に注目されて、あちこちにファンが出来るインフルエンサーキャットでした。

拾われた時なボロ雑巾のような風貌で怯えきっていたので、誰も引き取り手が見つかりませんでした。家族になってから、こんなに可愛い子を捨てた人がどんな人だったのか、猫がどんなに辛い思いをして一生癒えない心の傷を負ったのかを知りたいと考えるようなりました。そして、それを超える愛情を注ごうと思いました。

その猫は、我が家に来てわずか5年で骨髄腫という手の施しのない病気で死んでしまいました。家族を亡くした時に「知らないのがいい」という言葉の意味と深さを知りました。

病気の原因究明と、生存できるなら可能な限りの手術をお願いしました。結果、何時間も病院に連れ回し、苦痛を伴う治療をしました。その時は絶対死なないと思い込んでいたし猫のためと藁にも縋る思いでした。

亡くなる前日、病院通いが少し落ち着いて久しぶりに家で抱きかかえた時に、猫は長いため息のような深呼吸をして体重を私に預け、ぐっすり眠ってくれました。ずっとこうして欲しかったんだなと気づきました。そして、とっくに自分が死ぬことを覚悟していたんだなと。

猫は私達の事を何も知らなくても無条件になついてくれました。たった5年間でしたが「大好きな家で、大好きな家族と一緒に居たい」と思い続けてくれました。
いつかはどちらかが先に居なくなっちゃう。生まれも育ちも知らないけど、あの子は私にとても大切なことを教えてくれた気がします。

猫が大好きだった庭のキャットミントを摘んで火葬場へ

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