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茶葉をケチっていた話

私は非常に紅茶を飲む。
おそらく年間5万くらい使っている。
父方はコーヒー、母方は緑茶の家だったようだが、私は紅茶が好きだ。次に僅差で緑茶。コーヒーは稀にしか飲まない。すまない父方の遺伝子。なぜか酔うのだ、同じカフェインなのに。

物心つく頃には既にお茶を飲んでいた。帰宅したら麦茶、宿題しながら緑茶、塾では紅茶、夕飯のときは烏龍茶、寝る前は……さすがに白湯。

立派なカフェインジャンキーである。

そんな年間お茶エンゲル係数が推定5割(さすがに嘘)の私だが、最近まで紅茶の本当の美味しさというか、嗜好品と言わしめる真価が解っていなかった。
というのも、私は分量というものを全く意識していなかったのだ。ぐらぐらに沸かしたお湯に茶葉を入れて時間通りに蒸らし、あつあつに温めたカップをスタンバイしていたにも関わらずだ。

ある日、私は職場に持って行くための紅茶をステンレスボトルに淹れようとしていた。ティーバッグを取り出そうとしたら、ふたつがもつれて濡れたキッチン台に触れてしまった。仕方がないので「ちょっと濃いかもなァ」と思いながらふたつ投入し、そのまま出勤。そして休憩時間に蓋を開ける。

まず香り。この紅茶、何かが違う。口に含む。これは……お前、紅茶なのか?脳裏にダウントン・アビーがよぎる。この瞬間、私は領主一家が嗜んだ紅茶を生まれて初めて口にしたのだった。バターの香りのスコーン、たっぷりのクリーム、瑞々しいコンポート。確かにその瞬間、魂だけがダウントン家に飛んでいったのである。

同時に私は今までの飲み方を後悔した。単純にカフェインを欲していたに過ぎないと否応なしに思い知ったからだ。すまない世界の茶畑とその農家の皆様。これからはパッケージの分量通りに淹れようと誓うのであった。

そういうわけで、最近はお茶がますます楽しくなってきたのである。資格の一つでも取ってみようかと思う今日このごろ。ダイエットには甘い香りのフレーバーティーがおすすめなので脂肪が気になる方はぜひ。

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