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2019年映画ベスト10

だいぶ時間が経ってしまいましたが、昨年公開され、映画館で観た作品の中から10本選びました。
時間が経っているので、もう配信やレンタルで全部見ることができます。
家で過ごすのも飽きた人、家にいたくてもいられない人は暇ができたら、気になる作品がありましたら見てみてください。



10位:エイスグレード 世界でいちばんクールな私へ(Eighth Grade)

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あらすじ:中学校生活の最後(=8年生:Eighth Grade)に『クラスでいちばん無口な子』に選ばれたケイラは…

去年観た映画で一番泣いたのは確実にこの映画。
最後の方の、ケイラがお父さんとあるものを燃やすシーンの、お父さんの台詞に泣いた。
ケイラ、この映画の中で本当に思春期のモヤモヤを煮詰めた地獄みたいなものを小出しに体験させられてひどい!というシーンばかりですが、このお父さんがいることで救われる。全世界のお父さんがケイラのお父さんになればいいのに…と思ってたらボロボロ泣けてきた。観た当時、「ロケットマン」とか「ジョーカー」とか、子どもを愛さない親が出てくる話ばかり観ていたこともあってか…子どもを全肯定する親が出てくるだけで素晴らしい。

今の小・中学生は、ああやってYoutubeに自分が喋ってる動画アップするの普通なんですかね。私は無理だな…だから絵を描いたりしてたわけだけど。

でも小学生5年くらいの頃、クラスの新聞係になって、一人だったため独断で「オススメの古本屋さん特集」「ヨーグルトに何入れると美味しいか特集」とか書いた新聞を印刷してクラスのみんなに渡してたな〜と思い出しました。似たようなものかもしれない。



9位:サスペリア(Suspiria)

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あらすじ:1977年、ベルリンのダンス・カンパニーに入団するためアメリカからやってきたスージーは、振付師マダム・ブランに受け入れられるのだが…

ルカ・グァダニーノ監督は「君の名前で僕を呼んで」しか見たことないのですが、
あの映画の後これ撮る!?という驚きがまずあった。
こういうことに言及するのは今の時代どうかとも思うけど、
LGBTQを扱う映画は、その題材を取り扱い続けている監督や、その監督自身が当事者だったりする場合が多いと思うので(これも偏見入ってると思うけど)
ルカ監督もその例に当てはまらないでもない人だからえ?と思った。女性しか出てきませんからね。
しかもクラシックバレエからコンテンポラリーに変えてる!と興奮しました。アレンジが大胆!いや、リメイク元のサスペリアは未見ですが…

人の身体ってこんな風にも動くのか!と驚愕するダンスシーン満載であり、
人の身体、こんな風に曲がったらダメじゃない!?あーダメだった…
というグロいシーンもあるので、好みは分かれると思いますが、私はこういう変な映画が好きなので…

アマゾンプライムで見られるよ!



8位:真実( La vérité)

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あらすじ:フランスの世界的な大女優ファビエンヌが自伝本「真実」を出版し、娘のリュミールは…

是枝裕和監督初世界進出!みたいなうたい文句がついてた気がしますが、いい意味でいつもの是枝作品だったし、私の見たかった是枝作品だ!と思った。
「奇跡」とか「海よりもまだ深く」といった、家族や子どもの扱いが丁寧な、それでいて重すぎない、登場人物が少しだけ変化するような話が好きです。
ジュリエット・ビノシュが是枝作品常連組ですみたいな顔してるのがなんかおかしかった。
あと予期していたけどイーサン・ホーク!ずるいですね!こういう役!子どもの心わしづかむのうますぎ。

是枝監督には今後とも外国でたくさん撮ってほしい、というかもうそれだけでもいい。慣れない場所でらしさを出したまま映画がつくれるってすごいことなんじゃないか?



7位:マリッジ・ストーリー(Marriage Story)

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あらすじ:アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンが離婚します

最初は東京国際映画祭で観ました。アダム・ドライバーが好きな友人と観たのですが、「この夫、そこまで悪い夫じゃないよね?」ということで一致した。
でも2回目見たらやっぱこの男有害では?と思ったので、その場のノリだったのかもしれません。
ただ、赤の他人を思いやり、共感せずとも飯を食う生活っていうのはいいものかもしれない、とは思いました。
離婚する話だけど結婚の話でもあるので。
そしてアメリカで離婚したくない…と、何倍も強く思いました。

精神的にだいぶしんどい話ではあるが、普通にコメディとしても笑えるつくりなのがいい。
瓶の蓋開けられないアダム・ドライバーなんて笑うしかない。
ノア・バームバックは意地が悪いと思う。

★Netflixで見られるよ!



6位:パラサイト(Parasite)

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あらすじ:半地下に暮らす貧しいキム一家の長男ギウは裕福な豪邸で暮らすパク一家の子の家庭教師になり…

1月公開でしたが、年末に日比谷で先行上映を観ました。
正直、最初に観た直後はどう面白がっていいかの着地が難しい映画だと思った。

キム一家はあの時どうすれば良かったのか…と悩んでしまうシーンがいくつもあり、観てからも考えてるけど、正解がない辛さがあって、まあそこが面白さでもある。

アカデミー賞作品賞受賞は本当に嬉しかった〜!私なんもしてないけど。(いや、予想はした)(一緒に予想した友人と盛り上がった)

同じ頃に観た「家族を想うとき」(これも傑作!)と家族構成が一緒でした。題材も同じといえばそうだ。
「家族を想うとき」の父親は社会一般的な父性に囚われているけど、パラサイトの父ちゃんはそれすら無いようで、一種の諦めなのかなと思ったり。
長男の置かれた状況も重なるところがある。こっちの方が希望を捨て切っていないように見えるけど。


5位:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(Once Upon a Time in Hollywood)

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あらすじ:1969年ハリウッド、自身の俳優としての衰退を感じてきたリック・ダルトンは…

いきなりちょっとネタバレしますが、
(というか、この映画はどう頑張ってもある程度はネタバレしてしまうので…)
TBSラジオのインタビューでタランティーノ監督が



「彼女を墓から救い出したかった」

と言っていて、そうだよね、そういう救いもあるよね!とメチャクチャ感動した。
この点について、乗れなければこの映画は拍子抜けで終わる人も多いと思います。
でも私はこの点でもう、タランティーノ様!と平伏したのだった。
神の視点の最上級のものづくりを見た…
ほぼ同時期に見た「すみっコぐらし 飛び出す絵本とひみつのコ」にも通ずるテーマである。

あと知らんかったけどレオナルド・ディカプリオとブラット・ピットって共演したことなかったんですね。
私はここまで洋画を見るなんて思いもしなかった10年くらい前まではどっちがどっちかわかりませんでしたよ。ほんと申し訳ないけど。



4位:フォードvsフェラーリ(Ford v. Ferrari)

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あらすじ:1966年ル・マン24時間耐久レースで王者フェラーリに挑むため、フォード社に雇われたカーデザイナーのキャロル・シェルビーとカーレーサーのケン・マイルズは…

本当は1月公開でしたがIMAX試写会が当たったので去年のうちに観たということで…
見てる間中、こんなに面白くていいのか…とずっと思っていた。
153分もあるのに退屈な場面が1秒もない。
ただ車が走るだけの映画でこんなに面白くできるなんて!製作陣も役者もすごい!

私の祖父は自動車整備士であり、家(母の実家)がそのまま整備工場だったので、マイルズの佇まいがもう、在りし日のおじいちゃんに見えて仕方なかった。これも良かった点のひとつ。ああいう作業着着てるしコロコロついた板に乗って車の裏入るよね!

(実際には私の祖父はトミーリー・ジョーンズとブライアン・クランストンを足して二で割ったような顔をしています)
あと私はクリスチャン・ベイルが元々好きなんですね。2位の映画にも出てるしね。マイルズ可愛い。奥さんも息子も満点だ!
だけど主役はシェルビーだと思う。自分はもうレーサーとして走れない悔しさとか怒りとか全てをマイルズに託してるという話でもあるので…


3位:女王陛下のお気に入り(The Favourite)

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あらすじ:18世紀英国。女王アンと、その幼馴染であり影で国家権力を握る官長サラのもとに没落貴族のアビゲイルが召使いとして現れ…

詳しくは以前こちらで書いてました。オープニングのFOXサーチライトに注目!

私はこの手の、1900年より前くらいの西洋の歴史物はあまり興味がないんですが、こんなに面白いと思って見たことなかったと思う。
ただ、この時代にそぐわない言葉で話してたり、どう見てもコンテンポラリーでは…?というダンスシーンがあったり、衣装も当時のものから新たにアレンジしているらしいので、これ、歴史物としておすすめ!とは言えないかもしれませんが。


2位:バイス (vice)

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あらすじ:ジョージ・W・ブッシュ政権時の副大統領ディック・チェイニーの話

アダム・マッケイ作品が好きなんだと思う。
真実を暴く方法でコメディが使われているというか、真実とは言い難い程度にはこねくり回されているが、私はそのこねくりまわされ方が「マネーショート」から好きだ。編集の仕方とか。

映画として最高!となるんだけど、実話の部分は実話だから恐ろしい。Unitary Executive Theory(大統領執行特権理論)の説明はコメディとしても見られるけど、まあ似たような「都合よく解釈して権力を行使する」ということ、全然他人事じゃないしな…

エイミー・アダムス演じるチェイニー夫人のリンが演説するシーンが大好きなんだけど(NYで流行っているウーマンリブ批判を踏まえての)「ブラは着けてます!」発言、「アメリカン・ハッスル」という映画ではウーマンリブ全開の格好(?)だったのにね〜と面白かったです。
この2本ほぼ同時代の話だし。しかもチャンベとの共演もだからかけてるのかな?考えすぎ?…というあまり話の軸ではないことを考えるほどにはエイミー・アダムス好きです。
あとさっきも言ったけどクリスチャン・ベイルも。
ただ好きだからこそ、もう太ったり細くなったりしないでほしい!演技だけですごいのだから…もう全俳優チャーチルの時のゲイリー・オールドマン方式でやろ!
あとサム・ロックウェルね…この映画、多くの日本人(私も)は予備知識なしだとブッシュ似てる!ということくらいしか素で笑えないと思うけど、本物より愛嬌あるでしょ!

あと最後に、
町山さんがアダム・マッケイにインタビューした動画
監督が後半にすごく真っ当にいいこと言ってるのでますます好きになった!3分30秒あたり!


1位:ロケットマン (Rocketman)

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あらすじ:エルトン・ジョンの自伝映画!

タロン・エジャトンがもともと好きなんです。
「キングスマン」一番好きな映画だし。(いや、一番好きな映画がキングスマンって大丈夫か?と思われそうであまり言いたくないけど…いや、キングスマンが好きと言える人間に私はなりたい!)
なので主演やるよと聞いてから楽しみにしていましたが、想像以上に話も、主演のタロンの演技も歌も、他も全部素晴らしかった!
タロンこんなに歌上手いのは何故なんですかね。うまさだけではなく、本当にエルトン・ジョンはまり役でしょう。この役を演じられて良かったね!これからも楽しみ!何も心配してないよ!(誰目線)

あと相棒の作詞家バーニーをジェイミー・ベルが演じてるところも絶対エルトンご本人の采配だよね…リトルダンサー繋がり。

話は結構辛いです。誰からも愛されない子ども時代は辛い…成長してからも。だからこそバーニーの存在が映えるのだけど。
この映画を見る前はエルトン・ジョンの特にファンでもなかったけど、エルトン、バーニーと出会えて良かったね…とアカデミー賞歌曲賞受賞した時に思いました。
絵に描いた、初めて二人が会うカフェでバーニー入ってくるところで泣く。

監督が同じ「ボヘミアン・ラプソディ」(※クレジットされてないけど最終監督、ということらしい)と比較。
以下はクライマックスに触れます。



エルトンにひきかえフレディはみんなに愛されてます。メアリーにもバンドメンバーにも、そして最後には謎の少女漫画的展開により王子様(ひげのおじさん)が現れるし。
それもいいし、どちらも好きですが、私は「王子様が現れなくて一人だけどそれでもいいです!」という終わり方のロケットマンの方が好き。
ここで"I'm Still Standing"なのが良いですよね。あのシーン、当時のMVが元らしいのですが、初見では知らなかったので、ダサくて衝撃的でしたが。
「他者に頼ること」ではなく「自分を愛すること」で立ち直るというお話でした。



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