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1番におはようを

「おはよう、〇〇ちゃん。今日も一段と可愛いね。」

好きな子の写真に向かって話しかけるところから、僕の朝は始まる。
日頃の憂鬱と疲れで構成された身体をなんとかして起こして洗面台へ向かう。
「…ぷはっ。…ふぅ。あっ、いけないいけない…」
顔を洗い終えて頭を上げた瞬間、水しぶきが洗面台の直ぐ側に飾っている小さめの額縁に少量だが水滴が飛び散ってしまった。僕は急いでかつ丁寧に額縁の水を拭き取る。
あ、ちなみに額縁に飾ってあるのは、さっきとは違う彼女の写真だ。
あぁ…この写真の笑顔もまた堪らなく愛おしい。

僕は、朝の憂鬱な気分や仕事の疲れを吹き飛ばすために家のいろんな場所に彼女の写真を置いている。
もしかしたら僕は、傍から見ればやべぇやつかもしれないけど、別にそれは人の価値観の押し付けだと思っている。

水滴を拭き取りながら写真の彼女とふと目が合った。
「○○ちゃんは本当に可愛いな…僕が今日も側にいて守ってあげないと。」
そっと呟いたのと同時に
『ピピピッ …ピピピッ…』家を出る目安の時間を知らせるのアラームが鳴る。
「お、もうそろそろ時間か。それじゃあ、またあとで必ず会おうね。」

今日もいつもの信号で  君だけを待っているから。


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