ゴム型取り動画解説
石膏幼虫のゴム型をとりました。
2度目の型取りです。
初回は「だいたいこんなもんかな?」と見切り発車で大失敗。
反省を込めて動画と記録と解説を残します。
https://youtu.be/mbjd5DDtzGk (5月18日公開)
動画だけだと説明しきれないものを絵と画像で捕捉します。
ゴム型取りたいけど、これとれるかな?
教科書通りのやり方じゃない方法ないかな?
とお困りの方の参考になれば幸いです。
理屈が分かればだいたい大丈夫。なんとかなるもんです。
まずは計画から
原型はこれです。200㎜×150㎜。高さ60㎜くらいあります。
全体的にねじれるような形で、幼虫の頭が立ち上がっています。
この形は「抜け勾配(ぬけこうばい)」(※下に解説画像あり)にしにくいので、少し考えないとむずかしい。さてどうするか。
1.型を分割する。
2.シリコンをやわらかいものにする。
3.原型を簡単なものにする。
3は却下。絶対に違う形は嫌なので却下。そういう妥協はなるべくしない。
この判断をするのは最後の最後がいい。
2を検討して脳内実験。
たぶん、石膏を流した時に圧で型が変形してしまうので難しいかな・・・
なら1か。
では1にするとき、何に注意したらいいか?
分割しすぎない。圧のかかる方向を考える。あと、抜く方向。
分割しすぎると固定が難しいので注意。ズレも出やすい。
悩んだときは絵にかいたり文字化すると解決します。
型を2分割することにしました。これが一番強度もあり、手間の少ない方法。どこを切るかを考えて、この赤点線にしました。
これは抜け勾配という基礎の考えに基づいています。
抜け勾配(ぬけこうばい)とは?
この絵のように、引っかかりのない形。
UVレジンで球体を1型で作っている方は「だめなの?」と思うかもしれません。
柔いシリコン、そしてあの大きさなら全然問題ないです。大丈夫。
金型や焼きゴム型、大きい型どりのためしっかり作るときは十分考慮するべきです。
途中経過
動画でも最後の方に出てきますが、1型が硬化したあと、粘土を外したところです。逆さまから見ています。
金属の鋳造や、樹脂の造形などで型に流すときは、左右分割か上下分割で湯口をつけていることがほとんどです。
そのあたりを省いて最低限のものだけで作ったのがコレです。
大事なものは何か?最終的にどうするのか?それを考えるだけでいい。
最終形態を考えて、そこに行きつくまでの最短距離をいく。
この方法で考えると、教科書通りのやり方だけが正解とはならなくなります。
この幼虫は、置物なので、底面になるところを平らにするためここを広めの穴にしました。これが湯口となり、平らな底の面となります。
型の方向も意味があります。
頭を下に持ってきて、重力でしっかり石膏を流すのが目的です。
湯口が広いので、空気の抜け道も必要ありません。
2分割、一つ穴、バリが出ても目立たない下側のライン。
出来上がりに必要な要素はカバーできている。
これでOK。
この画像は先ほどの1型に2型を付けたものに石膏を流した後の状態です。
生クリームみたいに見えているのが石膏です。
この見えている部分がそのまま置物の底面になり、平らに削ったり平衡をみながら加工しなくてもぴったり平らに出来上がるってぇ寸法よ。
そして無事、型から外して、そのあとは胸脚を後から付けました。
これはどうしても後付けじゃないと作れなかった。
じつは、この足を作る過程の説明も、あと2000文字くらい必要です。
またの機会にします。
私が物を作るとき、アクセサリーもすべてですが、工作や料理、日曜大工、彫金、鍛金、鋳金、お絵かき、折り紙、接着剤の性質、ゴムの性質、木の性質、湿気、天気、重力ありあらゆる脳みそを総動員して考えます。
職人や作家だけじゃなく、作る系の人間は皆そうだと思ってます。
物を作るとき、こうしたいときはどうすればいいか?どうやったらきれいに簡単に楽しく強く素晴らしいものが出来るのか?そう考えているときが一番楽しいし、そこから生まれたものを手に取った人が、爆笑したり元気になったりうれしくなったりしていたら、それはもう大変うれしいことです。
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