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ミュージアム探訪2021年2月 インド更紗の驚くべき手仕事

先日、とっても素敵な個人美術館を訪れました。
自由が丘駅近くのビルの一室にある、岩立フォークテキスタイルミュージアム。
「インド 砂漠の民と美」という展示を開催中で、ラージャスターンの木版更紗をじっくり見てきました。

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木版を彫るところから始まり、染色は自然由来の染料を使い、何段階にも分けて行われる。
十数もの工程を経て染め上げられた更紗は、グラデーションが艶やかに、木綿なのに絹のような光沢感を放って見えました。

布一枚の形状の被布や、身分の高い女性が身につけた、生地を30〜50枚程度もはぎ合わせたフレアースカートが多数展示され、鮮やかなプリントに見入るとともに、カーストの下層の女性のための柄は地味で(まっさらな気持ちで見ると素朴で愛らしい)、また、それぞれのカーストを象徴する柄もあったとか。

それを知ると、綺麗綺麗というばかりではないのでしょうが、手仕事の美しさは全てに感じられました。

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豪奢なマハラジャのターバンが、その白眉。
片手にすっぽり収まりそうなほど、薄く織られた繊細な木綿(モスリン)に、幾何学的なまでの絞り染めや金彩が施され、ため息もの。
(ターバンを巻く専属の人がいたそうな!)
その技術は、もう途絶えてしまったそうです。

館長の岩立さんが50年間かけて、インドや他国の美しい手仕事を集めてオープンした美術館。その偉業がなければ、絶対に見ることができなかった温かな手仕事を見られ、とても満ち足りた時間でした。

またこちらでの展示をチェックしたいなと思いました。おすすめの個人ミュージアムです。
※撮影OKの入り口コーナーと、パンフレットから。

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